表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眩しさの中、最初で最後の恋をした。  作者: 織原深雪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/42

7


文化祭も終わり、だんだんと季節も移ろい寒くなってきた今日この頃。

周りは一気に受験モード。

受験でなくても就職組も就職活動が活発な時期になってきた。


そんな中、文化祭からお付き合いを始めた私と要くんはお互いの時間を融通して少しずつ関係が深くなってきていた。


要くんは理系の大学の推薦入試のため現在結果待ち。

ひと段落しており、今度の週末初めてふたりでデートすることになった。


学校でも毎日会ってるし、帰りも一緒。

付き合ってからは毎日がドキドキして新鮮で、でもそんな時間が幸せだと思う。


「今回は二人で出かけるし、また少しずつ遠出もいいかと思うんだ。どう?」


その要くんの問いに、私もうなずく。


「うん、いいと思う! 楽しみ」


自然と笑顔で返事をする私に要くんも微笑んでくれる。

そんな私達を日菜子や蒼くんが羨ましげに見ている。

日菜子と蒼くんは受験勉強をしている。

日菜子は模試の結果から、親に説得されて文系大学に進路変更、蒼くんはJリーグの入団テストはやはり厳しかったらしく、体育の先生目指して現在は体育大学に進路を希望しているのだとか。

ふたりは今まで以上に勉強漬けなのである。


「出かけた先でお土産買ってくるから、ふたりとも頑張って!」


私の励ましにふたりは笑顔で言った。

「とりあえず学業お守りとかが切実かな。神頼みも大事だよね!」


日菜子は既にそこなの? と思いつつも私は返事をした。


「行った先にいい神社があったらお参りしてお守り買ってくるね!」



私と要くんで話し合った結果、近場だからこそあまり行かなかったよねという話になり電車で一本。

県庁所在地にして観光地を今回は選んだ。

絶景スポットあり、グルメ、ショッピングスポットあり、更には遊園地まである都会だ。


お昼前には現地に行き、そこの中華街でお昼を食べてブラブラ散歩して、その後ショッピングモールからの遊園地で観覧車というコースを組んだ。


初めてのデートに楽しみな気持ちが大きく、私は週末まで終始浮ついていたと思う。


だから、ゆっくりとだが確実に進んでいる症状にはまだ気づけていなかった。


週末、デートの約束をした土曜日。

朝からクローゼットと鏡の前でアレでもないコレでもないと着ていく服を選んでいると、ドアがノックされて声が掛かる。


「有紗! 入るよ」


声を掛けてきたのはお姉ちゃんで、その手にはメイクボックスとコテが握られている。


「初めてのデートでしょ? 綺麗にしてあげるわ! あ、服はこれとコレで合わせて私の低めのブーツ履いて行きなさい。歩きやすいから貸してあげる!」


お姉ちゃんが選んでくれたのはキャメルのニットと焦げ茶のフロントボタンにチェック柄のロングフレアスカートだった。

今年らしく少し落ち着いた大人っぽいコーディネート。


「うん、コレにする!」


そうして慌てて着替えると、私を椅子に座らせて髪をいじり始める。


お姉ちゃんがいじり始めた髪はあっという間にゆるふわカール。

それを更にゆるく右側にまとめて流し、そこを可愛らしいパールとリボンのバレッタで留める。


髪型が決まると、次にすぐさまメイクボックス開けてメイクを始める。

下地とフェイスパウダーを叩かれたあとに、アイシャドウとチーク、唇にはグロスを乗せられる。

ブラウンに差し色はオレンジの秋らしいナチュラルメイクが施され、服装と合わせて少し大人になった感じだ。


「やっぱり、お姉ちゃんはすごい!」


鏡で仕上がりを見て、思わず声をあげればお姉ちゃんは胸を大きく張ってドヤ顔を決める。


「お姉ちゃん、そこそこ腕のいい美容部員だし! 彼氏は美容師だもの」


昔から器用で、色んなことを上手く出来るお姉ちゃんは私の憧れ。

今もってそう、だからギューって抱きついてお礼を言う。


「お姉ちゃん、朝の忙しい時間にありがとう! コレで少しは自信を持って出かけられそう」


私の言葉に目を丸くしたあと、お姉ちゃんは言った。


「元々の有紗が可愛いからメイクも服装も映えるのよ! 自信持ちなさい! 有紗は私の妹なんだから」


ウィンクひとつを投げて、お姉ちゃんは道具を片して部屋を出ていった。


改めて鏡を見る。

そこには少し大人びた私が映る。


「首元が少し寂しい?」


そう思った私は、日菜子や蒼くんたちと出かける時にお姉ちゃんから貰ったネックレスをつけた。

今日もお守りがわりだ。


準備が済んで、このコーデにGジャンを合わせ鞄を持ち玄関でお姉ちゃんのブーツを履く。


「それじゃあ、行ってきます」

「気をつけてね! あんまり遅くならないように」


お母さんからの言葉にしっかりうなずいて、家を出てバスに乗り駅へと向かう。

スマホでメッセージアプリを開き要くんに送る。


【今バスに乗ったよ!】


【了解!電車に乗ったらまた教えて?】


【わかった】


そんなやり取りをしているうちにバスは駅に着く。

ICカードを取り出してかざす。

そのままカードを持って駅の改札を通り抜けた。


今日の天気は清々しいほどの空気の澄んだ秋晴れ。

楽しい一日になりそうで、空を見上げて自然と笑顔になった。


駅で待つこと5分。

電車が来て乗り込むと、要くんへメッセージを送る。


【今、電車に乗ったよ!四両目の三個目のドアの側に立ってる】


すると、直ぐに既読がついて返信が来る。


【了解、そこに乗るから待ってて】


それに了解と可愛らしいスタンプを送って、私は車窓から外を眺める。

まだいつもの見なれた街並み。

もうすぐ、いつも降りる駅から乗ってくる要くんと出かける。


ドキドキとワクワクとした、気持ちでいつになく私は浮き足立つ自分の気持ちに素直に従うことにした。


あっという間にいつも降りる学校の最寄り駅に着き、要くんが乗ってきた。


要くんは黒のデニムにインナーがチェックのシャツでその上にベージュのセーターを着ている。

靴はハイカットのスニーカー。


背の高さもあってモデルさんのようにカッコイイ。

お姉ちゃんにヘアメイクしてもらっていて良かったと、要くんの姿を見てホッと一息ついた。


「おはよう。有紗、今日すごく大人っぽい。キレイでちょっとドキドキする」


照れくさそうに、私を見て言う要くんに私もキュンときてしまう。


「要くんも、カッコイイよ」


ちらっと見上げつつ言うと、照れくさそうに笑いながら手を繋いでくれる。


「ありがとう。あっち空いてるから座ろうか?」

「うん」


少し移動してふたり分の空きをみつけて座る。

そして、要くんのスマホでこれから行く先の中華街で口コミの良さそうなお店を探してみたり、ショッピングモールでなにを見ようか話したりしているうちにあっという間に乗り換えの駅。

ここから歩いてもいいけれど少し距離があるので今回は主要駅から乗り換えだ。


市営地下鉄に乗り換えると、数駅で目的地の最寄り駅へとたどり着く。

地下鉄はさすがに観光地に向かう電車のため混んでいて、ドア付近にふたりで立っていた。

駅に着くとまた手を繋いで歩き出す。

今日は前に出かけた時とは違い、初めて繋ぐ恋人繋ぎ。

手の繋ぎ方ひとつでこんなにもドキドキするなんて、初めての恋に私はなんとかついていく感じだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ