表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眩しさの中、最初で最後の恋をした。  作者: 織原深雪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/42

13


午後の競技は女子全員参加の棒引き。

日菜子も茜も行ったので、私は蒼くん、要くんと見守っていた。

中央に置かれた奇数の竹の棒を取り合い、多く取ったほうの勝ち。

ルールは単純だが、なかなか見ていて楽しい競技だ。


一回戦目は、なんと日菜子ひとりでスタートダッシュで一本運んでいたのだ。


「日菜子、すごい……」


私の言葉にふたりもうなずきつつ言う。


「これ、実に日菜っちらしいよね」

「確かに。あれは人が少なそうなところを見越してダッシュで稼いだな」


瞬時の判断と行動力と機動力がものをいうという事か……。

確かに、テニスが好きな日菜子らしい動きだ。


そんな日菜子の活躍もあり 一回戦目は赤の勝ち。


二回戦目は白対黄色。

黄色が勝って、次は青対白だ。

そこは白が勝ち。

黄色対赤は、またも日菜子のひとりで一本スタートダッシュがあり、更にすぐ様人数の少ない所に日菜子が戻り二本目確保。

三本目の途中で笛が鳴り試合終了。


またしてもうちの赤組が勝っている。


その後、白と赤でやる。

すると、見ていた白組応援は日菜子の正面の所に数人来ていた。

それに気づいていた日菜子はスタートダッシュの目的位置を変えてまたしても成功していた。


「本当に日菜子ってすごいね」

「ここまで来ると日菜っちの才能を感じるね」

「負けず嫌いだからな……」


そんなこんなで赤組は全勝してこの競技で一位を獲得した。


棒引きが終われば男子全員参加の騎馬戦だ。


グラウンドは囲むように女子が応援に入っている。

大半の女子の目当ては蒼くんと要くんだろう。


一回戦目の青対黄色は多少の声が上がるものの静かだったから。


二回戦目の白対赤では、一気に女子のキャーキャー叫ぶ声が上がる。

要くんと蒼くんが、騎馬戦で上に乗っているのが見えた女子達のテンションが一気に上がったようだ。

さすが、校内で人気のふたり。

応援する女子のテンションはヒートアップの一途だ。


この試合で騎馬と息を合わせてふたりはどんどん相手のはちまきを取っていき、赤組が勝った。


その結果にもキャーキャーと黄色い叫び声が上がるので、茜は辟易とした顔で言った。


「校内で人気のふたりだもんね。こりゃ苦労するね、日菜子……」


茜の声掛けに、日菜子もちょっと複雑な顔をしつつ、うなずいて言った。


「たまに、イイ感じに突っかかってくるのもいるからね……。体育祭後は面倒だよ……」

「大変ね」


私も溜息をつきつつ、日菜子の背中をポンポンと軽く叩いたのだった。


総当たり戦のため、まず先に一回戦目負けた方がまた試合をし、次は勝った方。


赤対黄色の試合もまた女子のテンションを上げに上げて、接戦の末に赤組が勝って、またもや大きな叫びが上がったのだった。


最後に青対赤の試合でもきっちり勝利した赤組は男女どちらの全員参加種目で一位を獲得して現在色別順位でもトップだ。


ただ、黄色や青とは僅差のため最後のリレーで総合優勝が決まる。


色別対抗リレーは、配点も高く気合が入っている。


先程、我がクラスでは先生がうちのクラスのメンバーを鼓舞させる一言を言って去ったので、俄然やる気のメンバー達がいる。

応援する方も気合が入る。

これで勝てば先生の奢りでジュースとシュークリームが配られると決まったからだ。

食べ物に釣られるあたり、我々はまだまだ単純なのかもしれない。


でも、食べたい!!

先生が奢ってくれるといったのは、学校から近いこの辺りでは美味しいと有名な洋菓子店のシュークリームなのだ。


小さな洋菓子店でなぜこんな人数分まとめ買い出来るのか、疑問に思って聞いてみたところ、なんとお店の店主が先生の同級生のお父さんで、同級生も今はお店でお菓子を作ってるため前もってお願いして融通してもらったのだとか。


勝てなかったら先生達職員で頂くらしい……。


日菜子はそのシュークリームが大好物だ。

俄然やる気になっていて、背後にただならぬオーラを纏っている。


「日菜子、ものすっごく食べたいのね……」

「そりゃ、あのシュークリームは日菜子の好物だもん」


茜とふたりそんな会話をしつつ、準備が始まったリレーを応援にコース脇に移動した。



先生にそんなツテがあるとは知らなかったが、このシュークリームは私も大好きなので食べたい。


応援にも力が入る。


「日菜子! 蒼くん! 要くん! 頑張って!!」


私の声が届いたのか三人が振り返って、ニッコリ笑って手を振り返してくれた。


その、要くんの珍しい笑顔に周りが大きな悲鳴をあげる。


「松島先輩がすっごい笑顔!!」

「かっこ可愛いんですけど!!」

「いやー、もうたまんなーい!」


これを聞いた茜は、ため息ついて私に言った。


「有紗、目立ったよ。あんたこれから大変になるかも……」


それに、キョトンと首をかしげてしまう。

なにが大変になるの?


「うん。分かってないよね。ま、日菜子も日々近くにいるし大丈夫だろうけど、なにかあったら言うのよ?」


心配気に言われればうなずくしかなく、私はなんの事かわからぬままに答えた。


「うん、わかった」


目の前では第一走者が並び、準備が整ったらしくスターターの先生が耳を抑えつつピストルを掲げている。


「位置について、よーい……」


パーン!!


さすが、最後のリレーに選ばれるメンバーだけありどの子もとても早い。


赤と黄色と青でかなりのデットヒートを繰り広げ、下の学年から次々に走り、最後は三年生が三組走る。



三年の第一走者は女子で赤組は日菜子。

二番目でバトンを受けた日菜子は、ぐんぐんとスピードを上げて前を走ってた青組の女子を追い抜いて次の走者の蒼くんへとバトンを渡す。


「蒼、いっけぇー!」


そんな日菜子の叫びとともに受け取ったバトンを握って、蒼くんはぐんぐん走り抜ける。後続の走者と距離を広げてアンカーの要くんにバトンを渡す。


「見せつけてやれ!」


さすがアンカーに選ばれるだけあり他の色もみんな早く、バトンを受けると次々に走り出し要くんとの差も少し縮まっていく。


それでも要くんはバトンを受けたあとは後ろを見ることもなく、風と一体になるような、軽やかな走りで駆け抜けてゴールテープを最初に走り抜けた。


その姿はとても眩しくて、私は目をそらすことなく見つめ続けた。

赤組のリレーメンバーに囲まれながら、笑顔を浮かべて語らう姿も。


今日は終始かっこよくて、眩しくて。

そんな要くんをたくさん見ることが出来た。


リレーでも勝利を収めた赤組は今年、総合優勝を果たした。

日菜子や蒼くん、要くんの活躍は大きくクラスのメンバーにももみくちゃにされつつ、閉会式を終えて教室へともどる。


そこには先生が約束してくれたシュークリームとジュースがあった。


「みんな、よくやったな! おつかれさん」


こうして、笑顔でみんなで甘くて美味しいシュークリームを食べて、楽しくたくさんの輝く思い出を詰め込んで、高校最後の運動会を終えたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ