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「日菜子自身は水を得た魚ね。楽しくて仕方ないみたい」
とっても楽しそうにサーブを決めてく日菜子。
「私、このまま日菜子が勝つと次で当たるのよね……」
ちょっと嫌そうな茜。
「でも、あのサーブなんとか出来るの茜くらいじゃないかな?」
私が言うと、要くんと蒼くんが驚いて茜を見る。
「え? 茜ちゃん経験者?」
「あの力技サーブなんとか出来るのか?」
二人は驚いている。
知らなきゃ分からないわよね。
「あ、茜は中学時代がバレー部でね。関東ベスト4入りしてた時のキャプテンでアタッカーだよ? 高校では辞めちゃったけど、私立高校からスカウト来てたくらい上手なの」
ニコニコと伝えれば、二人は納得して頷くと言った。
「あれとの対決楽しみにしてる」
「日菜っち悔しがりそうだね」
二人はそれぞれ言うと、試合に向き直る。
いい音は続き、日菜子のチームはしっかりと勝利をもぎ取ってきた。
「有紗! 勝ったよー!」
ぴょんぴょん元気よく戻ってきた日菜子を撫でつつ、言った。
「次の試合は茜とだよ?」
「えぇ!! チーム競技とはいえ、あの茜ちゃんと? 茜ちゃん調子は?」
それにピースで返事する茜は既にやる気だ。
「お手柔らかに、お願いします」
あの日菜子の態度に男子二人が驚いてるんだが、それをものともせず返すのが茜だ。
「私が勝負事で手加減すると? しかもバレーで」
がっくり項垂れた日菜子は言った。
「せめて、せめて決勝で当たりたかった……」
「チーム対戦表の運が悪かったわね」
私はそう返したのだった。
「負けないからね」
実に楽しそうに茜は返すので、男子はやり取りを見るばかり。
「茜ちゃん。有紗ちゃんと家庭科部なんだよね?」
「でも、家庭科部は週一だからね。それ以外では趣味でフットサル、バレー、ラクロスまでこなすスポーツ女子だよ?」
それを聞いて驚く二人は、日菜子の肩を叩いて言った。
「ま、頑張れ」
「これは、仕方ないね。日菜っちファイト」
日菜子を慰めるのだった。
「ぐッ! 全力は尽くす。けど茜ちゃんとの対戦だけは勝てる気がしない……」
「ま、私一人じゃどうにもならないから、どう転ぶかは分からないけどね?」
そうして、二試合後この対決は始まり。
日菜子のチームは奮闘するも、茜の容赦ないアタックにより日菜子のチームはここで敗退となったのだった。
「やっぱり勝てなかったー!」
そう悔しがりつつも、とても楽しそうに笑って帰ってきた日菜子。
「茜ちゃん! 今度テニスしようよ!」
「あー、テニスは初心者だよ?」
「いや、茜ちゃんならすぐ出来る!」
それには、私と男子二人はすっごい首を縦に振り同意を示したのだった。
そんな楽しい球技大会は、二日目。
男子のバスケは決勝敗退。
女子のバレーは二回戦で敗退。
サッカーは準決勝敗退。
野球は優勝して我がクラスは総合優勝!
先生がお菓子とジュースを差し入れてくれて、教室で打ち上げをして終わった。
「バスケは本当に惜しかったね」
「あの3Pが入ってれば」
「仕方ないさ、あっちには巨大な壁が居たからな」
「ま、こんなもんよね。体育祭は勝つ! 打倒茜ちゃん」
そんな日菜子を三人で笑いつつ、飲んだり食べたりして帰宅。
明日は終業式。
明後日からは夏休みが始まるのだった。
今年の夏は何が出来るかな。
みんなと夏祭りに行きたいな。
花火大会も。
海に遊びに行くのも良いし、キャンプとかも面白そう。
やりたい事はいっぱいある。
楽しい夏休みにしたい。
そう思いながら、今日もワイワイしながら四人で帰路に着いたのだった。
夏の太陽は燦々と降り注いでいた。




