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プロローグ 残りの時間

眩しさの中で


あなたを初めて見た時。



ずっと諦めていた、人を好きになるという事を


痛い程に、初めて知ったの……。


言いたくても言えない気持ちが


胸を苦しくすることも……。


みんな、あなたに出会えて知れた……。



諦めていたこの気持ちを知ることが出来て


私は良かったと思ってる。




だから、これが私の……


きっと最初で最後の恋になる。



暖かく、柔らかな陽射しの中をそよぐ風に泳ぐ花びら。


そんな美しく暖かく、優しい季節と景色の中。


私は無事に高校生活最後の年を迎えた。



「今年の目標は、やりたい事は何でもやる。美しい物をひたすら目に焼きつける」



そう、口に出す私の目は今綺麗な桃色の花びらを散らす桜を眺めている。



そこから、視線をずらすと去年同じクラスになり意気投合して仲良くなった日菜子が走ってくるのが見える。



「有紗、おはよう!クラス発表見に行った?」


「私も今来た所だから、一緒に見に行こう?」


「うん、今年も有紗と同じクラスが良いな!」


「そうだね。私も同じクラスになりたい」



そうして向かった先には、クラス分けされた名簿の貼られた掲示板。


(だいぶ、見えにくくなってきたかもしれない……)



「やった!有紗!私達今年も同じクラスよ!」


「本当に!?何組だった?」


「三年二組!」


そう聞いて、私はもう少し近づいて掲示板を見ようと動いた。


「あ!本当に同じだ!嬉しい」


私たちは跳ねながら元気に手を取り合って喜んだ。


きっと、今年も楽しく過ごせる。


日菜子は良い子だし、一緒に居てとても楽しい。



きっと、この一年が私にとって忘れられない一年になる……。



悔いも、後悔もしたくないから……。



私は、全力でこの一年を過ごす……。



それは十年前に告げられた時から決めていたこと……。



なによりも、誰よりもきっと濃い。


そう自信を持って言える過ごし方をする。



私自身のために、そう決めた。


それを昨夜両親にも話した。


そんな私の決意を聞くと、泣きながら微笑んで両親は言った。



「すべて有紗の思うままに。私たちはそれを全力でサポートするわ。有紗の思うように過ごしなさい」



そうした理解ある両親の言葉と思いを胸に、私の高校生活最後の年はスタートを切った。




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