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プロローグ2

 神と名乗るこのおっさんが言うには、俺が生きてきた世界の他にも様々な世界が存在すると言う。


 剣と魔法が主流のありがちなロールプレイングゲームのようなファンタジー世界、文明が進みすぎて退廃を辿るサイバーパンク世界、蒸気機関が主流のレトロフューチャーなスチームパンク世界等々。


 地獄に行くような極悪人を除いて、それぞれの世界で死を迎えた者には転生の権利があるということ。


 そして、その転生先の世界で課せられた使命を果たすと死を迎えた世界に還ることができるということ。


「つまり、お主が魔王を倒したり悪のアンドロイド組織を壊滅させたりオーパーツを巡った争いに終止符を打つことができれば、その褒美に心肺停止一歩手前のお主の体に魂を還すというわけじゃ」


 聞けば聞くほどに胡散臭い話だった。


 俺は悪い夢を見てるんじゃないか。と何度思ってみても覚める様子はない。


「素直に天国に行かせてくれないのか?」

「や、お主が望むならそれでもいいんじゃがの。お主先ほど死んでる場合じゃないとか言ってなかったか」

「ああ言ったよ。まだ死ぬには惜しい。やり残したこともたくさんある」

「だったら、チャンスと思って転生してみ。別に死に急ぐこともあるまい」


 もうすでに死んでるのだからこの会話はなんだかおかしい。

 死の概念がわからなくなってきた。


「で、どこに転生するんじゃ?ちなみに魔王がいようが凶悪なアンドロイドがいようが、その世界が気に入ったなら、そこで新しい人生歩んでもいいんじゃぞ?」

「待てって。焦らせんな。いくつか確認したいことがある」


 自称神はめんどくさそうに顔をしかめる。

 なんだこいつ。早くしろよとでも言いたげだな。

 鼻に付く態度だが、堪えることにする。



「まず、大事なことなんだが俺がその異世界でお前が定めた目的とやらを達成するとして、俺の魂は現実世界のどこに還るんだ。さっき心肺停止一歩手前のところに魂を還すとか言ってたがよくわからん。何年もかかって元の体が墓の中なんて洒落にならないぞ」


「心配するでない。お主が異世界での目的達成に何年かかろうが、還る魂はお主が病院で生死の境を彷徨っている時間軸に帰結する」


 どういうことかと考えると頭が痛くなりそうだが、とにかく俺の懸念してるようなことにはならないってことらしい。


「……そうか。じゃあもう一つ。俺、日本語しか読み書きできないんだけど異世界語とかどうすんの?」

「あー……その辺はなんとなく読み書きできるようにしとくわ」


 そんなノリでできるのか。もう深く考えるのがバカらしくなってきた。


「もういいかの、答えを聞こうか。強制はせんぞ」

「ああ、わかったよ」


 俺にはまだやり残したことがたくさんある。

 不慮の事故でくたばるつもりなんて、さらさらないんだよ。



「異世界転生だ」


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