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第9話 猫好きのあの子

「ふふふ。かわいいなあ」


ペン太にほおを擦り付ける香菜。もうかれこれ二日はこの様子だ。正直猫はめちゃくちゃ嫌がっている。その代わりに、香菜がめちゃくちゃ上機嫌だから釣り合いは取れているのかもしれない。


目が覚めても、日が暮れてもペン太ペン太。俺のことなど一向に構いやしない。まあ、負担が減っただけだから別に構わないが。


「あ、逃げるな!」


唐突にペン太と香菜の壮絶なデッドレースが始まる。一目散に逃げるペン太、猛然と翔け、ペン太を追い詰めんとする香菜。二十秒程度の追いかけっこの結果、ペン太に軍配が上がったようだ。


「はぁはぁ。な、なかなかやるな。だけど!そこは私の席。私の席を取るなー!」


香菜がソファーの一角に向けて飛ぶ。こら!女の子がルパンダイブなんてするんじゃありません!


見事自分の席を奪還し、ペン太を捕まえた香菜。とても満足げだ。


「楽しいか?」


「うん。めっちゃ楽しい!」


香菜は目を輝かせて言った。クソォ。俺は香菜のこの笑顔を引き出すのに二週間もかかったのに、この猫は二日で引き出しやがった。ポテンシャルの違いを感じるぜ。


「悟さんもやる?」


スッと香菜がペン太を差し出す。


「いや、俺はいいよ。動物苦手だし」


「そうなんだ。もったいないなー」


何がもったいないんだ。昔犬に吠えられて以来、動物全般が苦手になったんだ。


「可愛がるのはいいが、可愛がりすぎるなよ。いつか手痛い反撃を食らうぞ」


「大丈夫。匙加減はわかってる」


香菜はドヤ顔でそう言った。本当かよ。ひっかかれる未来しか見えないぞ。


「俺は風呂入ってくるから。ペン太をちゃんと見とけよ」


「言われなくてもわかってる」


その返事に多少の疑念を抱くが、一応信用して風呂に入る。あ、シャンプー切れてたの忘れてた。


「香菜。シャンプー取ってくれ」


ドアが少しだけ開き手が伸びる。


「お風呂いくんだったら先に用意しといてよ」


「悪い。次から気をつけるよ」


「共同生活なんだから、少しは気を使ってよ・・・。恥ずかしいじゃん」


「なんか言ったか?」


「な、何にも言ってない!」


「そ、そうか」


香菜は何に怒ってるんだ?もしかして、ペン太にでもひっかかれたか。だから、気をつけろと言ったのに。後で手当てをしとかないとな。

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