第10話 ただならぬ関係
別にエッチくはないです。
日常はなんでもないようなところから、突然崩壊を始める。ご飯を食べながら見た、机の向かいにあるテレビが、澄ました顔をして言った。
「6月2日から村瀬香菜さん、14歳が行方不明になりました。警察は、拉致された可能性・・・」
ブチッという音と共にテレビが消える。
「香菜」
「家族の元には帰りたくない。私は拒絶された。親は汚い物を見るような目で見られた。弟には気持ち悪いって言われた!」
「ダメだ。ニュースになってるってことは、捜索願いも出てる。家族は君を心配している」
「そんなことない!嫌だ!絶対帰りたくない!」
「ワガママを言うな!」
あたりが静まり返る。時計のカチッカチッという音が、やけに耳に入る。静寂が痛い。
「良いか、香菜。きっと、香菜の家族は香菜のことを思って、心配して必死に探してる」
「でも・・・」
「大丈夫だ。もし拒絶されたらまた俺のところに来ればいい。俺が絶対に香菜の逃げ場所を守る」
「悟さん……。ありがとう」
ゴクゴクと水を飲む。少し、苦い。
「悟さんは、寂しくないの?」
「え」
「あはは!変な顔」
「むぅ」
突然聞かれたから、つい顔がこわばってしまった。
「そりゃあ。寂しいよ。少しの間だったけど、二人で生活していたわけだしね」
「ま、悟さん友達いなさそうだもんね」
ケラケラと香菜が笑う。クッソ。途中まであんなシリアスだったのに!流れが変わっちまった。
「じゃあさ、私が悟さんの親友になってあげる」
「親友・・・か。良い響きじゃん。わかった。今から香菜と俺は親友だ」
「ふふふ。まさか男と親友になるとは思わなかったよ。多分何回かグチ言いに行き来することになるからよろしくね」
「ああ。ドンと来い。ただ、彼女といるときは遠慮してくれよ」
「彼女いるの?」
ウッ。痛いところをついてくる。
「・・・いないです」
「じゃあ、いつでも来て大丈夫だね」
「まだいないってだけで、いつかできるから!きっと、多分、おそらく・・・」
あははと香菜が笑う。俺も笑う。寂しかった。本当のことを言うと。だけど、それを悟らせまいと俺はただ、ただ笑いながら話し続けた。
「案外、寂しいもんだね。最初に会ったときは、ここまでただならぬ関係になるとは思わなかったよ」
「ただならぬ関係・・・か。確かにそうだな。香菜がいなくなると寂しくなるよ」
「なにそれ。新手の告白?私はホモだから男には興味ないよ」
「告白ちゃうわ!」
二人で笑い合う。多分、これが最後になると思ったから、思いっきり笑い合う。話し合う。
会話が、途切れた。俺は立ち上がった。待って!と香菜が言う。香菜は、なんとか会話を捻り出そうと言葉を紡いだ。
香菜に微笑みかけて、俺は受話器をとった。
遅れてしまい申し訳ありません!アイデアもありました、構想もありました。でも、やる気がでなかったんです!どうか、お許しください!




