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リバーシ!  作者: 大野 大樹
69/78

68.そういえば、サラージ様は年上だったって、今更なこと思い出した。

 そういえば、

 リバーシは時々「眠る」

 否、

 気絶することで、肉体を休める、らしい。身体が、強制的にスイッチを切るんだ。それは本人の意思ではなく、生存本能? みたいな奴だ。俺は魔力量が半端なくあったから、今までに「そこまでの状態」になったことはないから、その「強制終了」を体感したことは無かった。ミチルも普段はsideAで暮らしてるから、それ程魔力を使ってしまうことは無かったらしい。

 魔力不足による、生存本能からの‥「強制終了」

 魔法を習い始めた「魔法使い見習い」‥っていうか、魔法学校の学生さんは割とよくあることらしい。

 魔法を習ったのが嬉しくって、自分の魔力を考えずに使っちゃって、一気に自分の使った魔法に魔力を奪い取られちゃう‥っていうね。魔法使いは、魔力量が少ないことが多いからね。

 魔力量が少なかったら魔法自体が発動しない‥ってわけじゃないらしい。魔法が発動して、でも魔力量が足りなくって、途中で強制終了っていうね。(大概が、呪文がまちがってたりするから、らしい。結果は同じになるけど、呪文の組み方が回りくどくって、余計な魔力を使う‥とかね。魔法にも相性があるから、自分に相性が合うように呪文を組み直すことって多いらしい。パソコンのプログラムみたいだね)

 で、急にパタン。

 その為に、魔法使いの学校の寮は相部屋なんだって。

 どっちかが危険な状態になったら、同寮の子が医務室に連絡するためだ。

 そんなことを繰り返しながら、自分の魔力量を上げていったり(10歳を過ぎると魔力量は上がらないけど、10歳までは、訓練によって多少上がったりするらしい)限界なんかを知って行く。だから、学校側も一応は説教はするけど、そう厳しくは言わない。ちょっと注意する程度。

 時々その注意が

「人がいないところで倒れたら困るから、今度は人のいるところでやりなさいね」

 と

「人がいる場所で魔法を使うとは何事だ。怪我をさせたらどうするつもりだ」

 になっちゃって、

 ‥?? 結局どうすればいいんだ??

 になっちゃうこともあるけど、それも1年の内だけで、その内「そういうこと」もわかってくるんだって。

 なんか、身体で覚えろ‥的な感じ? 魔法使いの学校って、凄いね。

 俺には、魔法は使えない。

 魔法は魔力の量で使うんじゃなくって、センスで使うもの!

 なんだって。

 ‥俺は、センスというか‥想像力やら、これをこうすればこうなるだろう‥っていうような一手先を予想する能力に乏しい、ってそういえば昔、学生の頃の先生だったインテリ眼鏡に言われたことがある。

 ‥単純なお馬鹿さんって言われたのか? もしや‥。‥あの時は気付かなかったけど‥。

 そのことに今の今まで気付かなかった辺りがお馬鹿さんって感じなのか??(それは、まあ、おいておいて)

 魔力量が低いけど、魔法が使いたいっていう「こころの渇望」‥っての? そういう、「死ぬかもしれないけどやりたい!! 」って気持ちがないと、凄い魔法使いになれないらしい。

 魔法学校に行った総ての学生が「偉大なる魔法使い」になれるわけではないのは、そこ、らしい。

 そこまでの‥「死ぬかもしれないけど、やりたい、やるしかない」って覚悟がないと、偉大な魔法‥大魔法は使える様にならないらしい。限界を知って、その先を‥っていう、クレージーな向上心? みたいなものが必要ってことだね。

 一般的な魔法使いっていうのは、自分の限界を知って、魔法学校で習う魔法を総て取得して、問題なく魔法が使える‥っていうレベルをさすらしい。‥それでも、十分すごいよね。

 ラルシュ様は‥どうなんだろ。

 凄いらしいから、何度か「向こう側」見たのかもしれない‥。(王子なのに)

 

 魔法使いと比べて、そうない事‥だけど、そりゃあリバーシにだって、魔力の枯渇はある。そうなった時に慌てない様に‥って、それこそ危険防止の為に凄い結界を張りまくった所で、リバーシの魔力枯渇体験が行われる。

 魔力の枯渇という感覚を知るためと、それこそ、自分の限界を知るためだ。リバーシみたいな危険人物が、初めてそんな状態になったとき、自分の力を加減できなかったら危険だものね?

 それは、城に呼ばれたあと(10歳のお披露目の前だ)行われるらしいから、俺はしたことがない。

 ‥今出来てよかった。

 ああ、あれが‥魔力完全枯渇前の強制終了。

 ホントに、スイッチが切れるみたいに切れた。

 で、バッテリー残量1の状態で一時的に目が覚めたに過ぎない状態で、俺は「運命の相手」であるラルシュ様と「手を繋いでしまった」。これで、完全シャットダウンだ。完全枯渇(向こう側寸前)。

 

 ‥完全枯渇って、‥ちょっとヤバかった。

 ホント、死ぬかと思った。

 おかげで、走馬燈‥なのかな。昔の事、色々思い出したよ。

 ナツミと友達だった頃。

 ‥楽しかった思い出。

 毎日、一緒に遊んだ。

 遊んだっていって、「新しい技披露会」だとか、死の「鬼ごっこ」だとか、ああ、そうだ女の子らしいこともしたな‥アクセサリー作り。‥実は魔道具だったけど。しかも、俺の魔力を魔石に吸い込む為の‥。抜け目なかったな。

 ン? 魔石‥。

 あの時、ナツミは‥素手であの魔石に触ってなかったか? ‥魔道具屋は、魔法使いじゃないから魔石を触っても、魔力を吸い取ってしまう恐れはない。だから、問題はない。だけど、‥魔法使いのナツミは‥

素手で魔石を触ったら、魔力を吸ってしまって商品価値を損ねてしまうんじゃないのか?

 いや‥、ナツミがそのことを知らなかったのかもしれない。‥だけど、魔道具屋が「嬢ちゃんが魔力を吸ってしまって、魔石の価値が下がってるよ。取り扱いには気をつけて」っていうんじゃないか? 

 扱う時、ナツミの魔力が常に満杯で、魔力を吸い取る必要がなかったってこと?

 いや、‥そんなことはないだろう。

 ナツミは、俺といつも(遊びで)死闘を繰り広げてたから、ほぼほぼ毎日魔力不足状態だった。



「ナツミはどうして‥」

 呟くと

 急に、目の前が眩しくなった。

 ‥目が覚めたんだ。


「ヒジリ!! 」


 目が覚めたら、

 ミチルの部屋じゃなくって、

 かって見慣れた王宮の部屋だった。

 おお、‥久し振り。

 先ず目が合ったのは、俺を心配そうな顔で覗き込んでいるミチル。

 泣きそうな顔をしている。

 ‥心配かけた。

 その後ろには、若干呆れ顔でラルシュ様を見るナラフィスさんと、心底反省している顔しているラルシュ様と、完全に俺を呆れ顔で見ているサラージ様。

 サラージ様は、皆の後ろで皆より若干離れた壁際に立っている。

 ‥腕を組んだ立ち姿。‥迫力あるわ~。

 ちびっ子だのに。

 そういえば、‥年はそんなに変わらなかったっけ? ちょっとサラージ様の方が年上だったね?

 でも、サラージ様って弟っぽいんだよな~。

 なんてどうでもいいことを考える。


「で、なんで、第一声がナツミなんだ。ヒジリ」

 つい、っと不機嫌な顔で近づいて来て、ベッドの横に置いてあった椅子に座った。

 王子とは到底思えない様な、粗野な感じで、口調もこの上なく不機嫌そうだ。

 ‥ツンデレだしゴシップだし、普段から優雅さなんてないって思ってたけど、そういえばこういう態度、サラージには珍しい。いつもは、‥いつもはどうだっけ‥

 ‥でも、この態度に違和感を感じるんだから、いつもは、粗野でも不機嫌そうでもないんだろう。

 そう。不機嫌っていうより、‥いつもよりも、余裕とか遊びとかがない感じ。いつもは、つんつんしてるけど、怒ってる感じじゃない‥素直に表情に出すのが恥ずかしくってそんなツンツンになってるって感じで、‥そういえば今みたいに仏頂面でテンション落ちてるって感じの話し方じゃない。

 今のサラージは、変に落ち着いてて、素で不機嫌。

 怒ってるって感、満載。

 ‥嬉しいな。うん。友達って感じだ。少なくとも、ラルシュ様より友達度は高いな。(友達度ってなんだよ)

 そんなこと思ってたら、思いの外じろじろ見てたらしい。

「見んな! 」

 ってマジ切れされた。真っ赤になって。

 ‥君、ホントに年上? 

 ごめんごめん、まだ頭がぼーっとしててね‥って誤魔化したら、今度は目を見開いて、心底落ち込んだ顔で、謝られた。‥いや、こっちこそ御免。‥全然、ぼうっとしてないです。誤魔化しただけです‥もにゃもにゃ‥。

 で、仕切り直し。


「ん? 俺、ナツミなんて言った? 」


「言った」

 サラージの言葉に、皆も頷く。

 ‥言ったのか。

「いや、‥昔の事思い出して‥。走馬燈的なやつだな『縁起悪いこと言うな! 』ナツミと俺が遊んでて‥ナツミが俺にアクセサリーを作るって言って、魔石に魔力を吸引してて『吸引!? なんだそれは!? 』‥サラージ様、さっきからうるさいです。後で説明するから、今はとにかく聞いて‥黙っててください。『なんだと! 』‥その出来た魔石をナツミは素手で触ってたな‥って。魔法使いって、魔石を触ったら、魔力を吸収しちゃうんじゃないんですか? それで、‥吸収しちゃったら魔石に込めた魔力が減っちゃって、魔石としての価値が下がっちゃうんじゃないのかな‥って思って」

 途中何度か、サラージに邪魔をされ、サラージに苦情をいいつつ‥最後は睨み付けてしまったが、許してもらおう。

 ‥なんせ、まだ頭が本調子じゃないから。(という言い訳)


「その時のナツミちゃんの様子にもよるんじゃない? 魔力は、一定以上減らないと、補充できないから。‥一定以上減ってなかったってことじゃない? 」

 って、応えてくれたのはナラフィスさんだった。そうですね。さっきその話をしてくれましたね。

「でも、それって、自分で分かるもんなんですかね? 」

 首を傾げて、ラルシュ様を見る。

 だって、ここに居る魔法使いは、ラルシュ様だけだ。

「訓練すれば、ある程度分かるようになるね。それまでは、予防予防‥って感じで魔石で魔力を補充するって感じかな。だけど、学生の頃は、魔石の使用は禁止だった。‥自分の可能性を狭めてしまう可能性があるからね。魔石の使用方法を説明されるのは、3年生位で大きな魔法を使うようになってからだよ。だから、ナツミちゃんは、まだ学校にも入ってなかったから、魔石に魔法使いが触ったら魔力を吸収してしまうってことが分かってなかったんじゃないかな? 」

「‥なるほど。でも、その場合、売った先の魔道具屋が「これは満タンじゃないね」って言ってこないんですかね」

「満タン? 」

「ガソリン満タンって感じで、魔石にも入る量が決まってて、その量まで入ってたら、満タン‥ちがうんです?? 」

「‥いや、そういうのは‥聞いたことないな。大体、重さだな‥魔石になる前の元の石の状態での重さを石に書いておいて、魔力を注入する。その後に、重さを量る。その重さが値段の違いだね」

「魔力って重さがあるんですね」

「若干ね」

「‥じゃあ、俺‥重かったですか? 」


「え!! いや、そんな重さはないって!! 」

 落ち込む俺、焦るナラフィスさん「え、ナラフィスが運んだの!? ラルシュ兄が魔法で転移させたんじゃなくて!? 」ナラフィスさんを睨むサラージ、なんとも複雑な顔になってるミチル。

 ‥その場は、

 今思っても、中々に

 カオスだった。


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