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リバーシ!  作者: 大野 大樹
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56.リバーシ誕生の、下地。

 リバーシは突然変異だ。


 今まで、リバーシ誕生に何の法則性もないとされてきた。

 それは、魔法使いもそうだ。

 だから、貴重だし、発見しずらい。

 だけどそれは、「解明されていなかったから」に過ぎなかったからなんだ‥。

 リバーシと魔法使いの誕生には、ちゃんと法則性があった。

 そして、共通点があった。

 リバーシと魔法使いは、

 驚く程似てるんだ。

 その結論が浮かんだ時、‥その結論からさかのぼって考えると驚く程それが良く分かった。

 その結論である、リバーシと魔法使いの共通点。


 ‥共通点は、「時」


 否、「時」という属性を持っている者も、あの世界にはすくなからず存在する。だけど、それらの者が総て魔法使いやリバーシにはならない。父さんも然り、だ。

 だけど、これが、これだけが唯一「リバーシ誕生の下地」だったんだ。

 魔力量の多少は問題じゃなかったんだ。

 王家が、100%リバーシか魔法使いか、その中間だった理由。それは、魔力の多い者というだけではなく、時の属性の者が常にいたからなのか‥そして、多分王家はこの法則を知っていて、婚姻を決めている。‥俺が取り込まれようとしているのは、そう言った理由だ。時という属性が確実に遺伝するための婚姻ってわけだ。

「時」の属性を持ち、時間に干渉することが出来、魔力量の多い者が、リバーシ。

「時」の属性を持ち、時間という概念がないものが魔法使い。(魔力量は関係はない)

 魔法使いのみが魔法を使い、リバーシは使えない。

 ‥リバーシの中で魔法を使える者がいると思っていたのは間違いだったんだ。歴代のリバーシの「魔法」って言われてた物は俺の魔法っぽいものと同じだったんだ。

 高速で早送りし、‥それを固定。

 これが、リバーシの魔法の正体だったんだ。


 例えば、水から氷にする時、

 通常は、水と冷却の混合スキルをつかう。

 リバーシは時という属性でもって、水→水を凍らし得る未来の時間→氷

 となり、冷却というスキルを使用しない。

 そして、その水を凍らし得る未来の時間を早送りする。

 魔法使いなら言わずもがな、「氷よ出ろ」だ。

 今までは、魔法使いは、勝手に氷を作っていると思っていたが、‥どうも違うらしい。水を凍らし得る時間のスキップなんだ。

 時は、魔法使いにもリバーシにも人間にも同様に流れていて、未来も過去も、まるで記憶媒体に入ったデータ同様にある。

 そう。まさに、その考え方なんだ。

 記憶媒体の再生機を想像してもらいたい。

 時間は「再生」される。「停止」を押さない限り。

 普通の人は、その「データ」に従ってゆっくりと人生を過ごす。

 リバーシは、その「データ」内を早送りしたり巻き戻したり、

 (早送りってのは、時の属性のスキルだから、リバーシでなくても、出来る。スキルって言うのは、つまり、早送りか、検索(シーンサーチ的な?)なんだ)

 魔法使いは、その「データ」内をスキップしたりコマ送りしたりして人生を過ごす。

 特に「何かを」作り出しているわけではないし、編集をし直しているわけではない。‥大部分のリバーシや魔法使いは、の話である。

 リバーシや魔法使いは、多分、バグなんだ。そして、それは条件や確率、組み合わせの問題で生まれるであろう、‥生まれることが避けらなバグ。

 ‥時々、早送りしたり、スキップしたりそんなのは、問題がない。リバーシの「固定」は「一時停止」だから、また動き出せばやっぱり問題はない。


 そう、‥データのストーリーが変わりさえしなければ、‥何の問題もないんだ。


 俺たちは未来をつくってきたようで‥結局は、決められた未来を歩んできたに過ぎない。

 バグである、魔法使いやリバーシも、時に(それこそたまたま)人に感謝され、時に人に恐れられ問題なく生きていたんだ。

 問題なのは、そのバグの出かたなんだろう。

 バグに影響力があるか、ないか。

 あいつ変わってるな、で済まなかった場合、その誰かの疑問、不満‥何らかの影響が「データ」に残る。

 リバーシや魔法使い自体が付けるわけではない。

 リバーシや魔法使いが見せた、たったちょっとの未来や過去、それに対して誰かが何かを思い、時に恐れ、時に喜び、時に怒り、

 そのエネルギーが未来を変える。

 それが、‥データにつく「傷」である。

 傷をつけるのは、リバーシでもなく魔法使いでもない。

 

 王族が、リバーシや魔法使いを一般の人と隔離するのはそういう意味だったんだ。


 その綻びを直すのが、王であり、そして‥特別なリバーシと魔法使いである。

 別にロボットや人造人間なわけではない。この世に突然生まれて来る‥神による所業であるということには変わりはない。だけど、それは、神の意志であるという。遺伝や、確率によって生み出されたバグとは別なのだという。

 神々は、時々そんな「作られた」リバーシや魔法使いをこの世におつくりになるという。救世主的なものだね。

 

 この世界のどこかで、バグが生まれていようとも、救世主様がおられるし、王様がいるからこの国は‥世界は大丈夫なんだよ。

 って。

 因みに、バグは反政府組織のこと‥らしい。城がそう言っているわけではないんだけど、皆はそう信じてる。

 ‥なんか、洗脳みたいで怖いね。


 とにかく‥。

 リバーシや魔法使いが神聖化されるのは、このせいなんだろう。

 おかげで、リバーシも魔法使いも神聖化され、尊敬されている。

 だけど、同時にバグでもあるから、普通に恐れられているけどね。

 ‥王族はそう民間に知らしめることによって、リバーシと魔法使いの隔離を強化して、正統化して‥彼らをより近くで見張っている。そして、リバーシと魔法使いである王族に対する配慮って意味もあるんだろうね。


「時の属性か‥」


 ぼそっと呟いた俺を父さんが振り向いた。


「生命の誕生の神秘をあれこれ解明しようとするのは、‥無粋だ。神への冒涜だ」


 うっすらと微笑んで、俺を窘める。

「ヒジリは只のヒジリで父さんと母さんの子供だ。そうだろ? 」

 いつもと同様に穏やかに微笑んでいるだけに見えているその表情が、‥視線が如何にも不安げで、俺はそれ以上父さんに何も言えないって思った。

「ああ‥そうだね」

 そうだ。

 それでいいんだ。

 俺は、‥ただのヒジリで、父さんと母さんの子供。


 時の化け物なんかじゃ‥ない。

 

 気が付いたら、泣いてた。

 ‥なんだよ。魔力量が多いだけの火薬庫どころの話じゃないじゃないか。存在自体がでたらめなリバーシの中でも化け物クラス‥時の破壊者って感じじゃねえか。

 ‥俺、ガチでマジで半端ない‥。

 吉川が聞いたら

「なんだ、ヒジリ若者ぶってるのか。似合わんからヤメロ。品性を疑われるぞ」

 って怒られ、ミチルなら‥

 ちょっと驚いて、困った様な顔されるかな。

 あの二人は、俺が汚い言葉遣いしたり、行儀が悪いことすることに対して、凄く厳しいから。

 女だって知ってるミチルならともかく‥吉川は、ちょっと俺のこと子ども扱いしてるのかな。‥ちょっと、癪だな。

 なんて、‥無理にどうでもいいこと考えたら‥考えても余計に泣けてきた。

 ぼろぼろぼろぼろ涙が止まらない。

 なんなら鼻も出て来そうで、吸い込んだら‥しゃくりあげるみたいになった。

 雨で、もう顔中濡れてたんだけど、暖かく頬を濡らしているそれを間違うことは無かった。

 だけど、そんな涙でも、あったくって、俺は冷え切った自分のたった一つの生きてる証にすら思えた。

「ヒジリ。大丈夫だ。何も変わらない。‥何も変わらない」

 俺の後ろに立った父さんが俺の肩に優しく手を添えた。

 母さんが、その横に立って、反対側の肩にすがる。

「何の責任を感じることもないわ。ヒジリは‥ただのヒジリ。私たちの大事な大切なヒジリよ」

 母さんなんて、もう感情を抑えられてもいないじゃないか。ボロボロボロボロ、涙が滝みたいに流れてる。

 雨はやっぱり降り続けていた。



 俺が、怒り過ぎると天災が起きる。

 俺が‥データ自体を壊すわけじゃない。‥俺のせいで、皆の未来が無くなり、そして結果データが修復不可能なくらいに破損する。

 ちょっと感情を爆発させただけで、俺の持っている魔力分、時は暴走する。

 俺の属性である土と水‥がそれこそ天災級の被害を及ぼす。

 土の記憶分、巻き戻されるかも。

 それとも、未来にそこに降る雨全部をいっぺんにそこに貯めてしまうかも。

 怒涛の様に水が押し寄せて来るってわけじゃないのが、地味だ。

 正直そういうのを想像してた。

 国が‥押し寄せられた水に飲みこまれちゃう奴。

 俺は、世界の災厄だからそれ位の事をしてしまうんだろうって。

 暴走して、水が地面から吹き出したり、地面が割れたり‥そういうの想像してた。

 ちょっと悪の帝王みたいな派手目の奴。

 だけど、違ったみたいだ。

 俺が出来ることなんて、もっと地味だった。

 俺ができるのは、早送りで、もしくは巻き戻しで、俺が生み出し得る水をそこに貯めること。

 数分か、いや‥もっと早くか。

 俺は、きっと国を丸ごと水に沈めることが出来る。

 世界はでも広いんだろう。だから、流れだした水は、流せばいい。だけど

 俺が作り出したその水は、そこから動かない。壁でもあるのかって程。

 そこから動かない。

 その壁を作っているのが、時だ。

 そう‥俺が「持っている」もっとも最悪なもの‥水でも土でもない‥時の属性。

 時だよ?

 時。

 世界の覇者かよ。

 魔力がすさまじく高い俺は、

 一日や二日じゃない。

 きっと、‥考えつかない程の時間を俺は「自由にできる」

 俺が、‥極悪人だったらどうするつもりだったんだ。「神様」よ‥。

 俺にこんなとんでもない能力与えたのは、‥神の仕業だとしか、思えない。

 試練?

 それとも、もっと意味があるのか?

 なんにせよ、俺には過ぎる能力だ。

 そんな、爆弾を‥なんで‥

「なんで‥」

「なんで俺に‥っ! 」

「ヒジリ‥」

「ヒジリ‥! 」

 

 

 ヒジリは、きっと神様に、信用されてるんだよ。


 って母さんが言った。


 神は人類をお試しになられているのかもしれないな。


 って真面目な顔をしたのは父さんだ。


 その信頼も、試練も‥。

 俺には重荷でしかない。


 悪い夢から覚めて、夢だって気付いてほっとした。

 悪い夢なら覚めてくれ。

 普通の人が良く言うけど、俺は夢なんて見たことすらない。

 夢を見ることは、人間にとって意味があることだっていう。

 ストレスを解消したり、‥何かを整理したり。

 そう書いてあった。

 そういう、頭の中を整理する時間を与えないで、時間に対する「特別な権限」与えるなんて、どうかしてるんじゃないか?

 俺は、ストレスを解消しないでいいのか。


 ん?


 夢‥

 現実に近いが、違う‥。

 ミチルについて考える。

 sideAが現実、‥sideBは‥夢?


 俺にとっては、ここが‥

 夢だったんだ。


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