1話 乱入?教師
話が変わって混乱しますと思いますが、次の話で合流するつもりです。
「さて。君が推薦した加賀くんだが」
そこには荘厳な面持ちした男が悠々とした態度で机に置かれたお茶を嗜んでいる。
彼の名は 林道 忠 。
この建物「仲波高等学校」の校長である。
その目の前に立っているのは 国山 遥 という。この学校の教員のひとりだ。担当は古文。
何故彼が呼ばれているかと言うと、それは新しくこの学校にくる事が決まった教師・・・加賀についてだった。と言ってもこれは加賀が仲波高等学校につくと決定する前の話である。
「奴は必ず暴走するぞ。この資料が物語っている。」
林道はそう言ってティーカップを丁寧に受け皿におく。
その一つ一つの動作が紳士的であった。
そして黙秘することは許さんとばかりの視線を国山へと送った。
「そりゃ、大丈夫でしょう」
国山は閉じた目でそう語った。いつもの様に。
「根拠は?…なるほど。あの方がお前に勧めたから、お前は推薦したのだな」
「そうですよ、全く。私としてもあの人に巻き込まれたくなかったんですので避けてきたんですが…今回は親友の名前が出てきたので」
林道は本来完璧主義者であり、根拠や証拠がない限り動かないことで有名だった。しかしそんな彼が根拠もなく動くことが極々稀にあった。それはまるで今のように。
その背景にはあの人と呼ばれる者がいる。その者の力は絶大であり、いくらエリートの林道であっても逆らうことはできないのだ。
まぁしかし、あの人は無駄なことはしない。今回も何か意図があるのだろうと林道は割り切ることにした。
(しかしそれにしても。加賀の奴がまさか教員免許を取るとは…)
加賀を知る国山にとってはありえない事だった。
国山は加賀と高校時代からの仲である。だから誰よりもその事実に驚愕しているのだが、穏やかな笑みを浮かべるだけで表情には一切出さなかった。
「それに暴れれば私と信薙で止めるしな」
これは建前でしかない。実際は多少暴れても良いと思っている。多分あの人が求めているのはそういう起爆剤なのだろう。
「国山はいるか?」
今の言葉で思考に耽る直前の林道は邪魔をされてしまった。
そしてその言葉を発しそれと同時にドアを乱雑に開けた男
加賀がそこには立っていた。
加賀が入ってきた理由は次話になると思います。