3話
更新遅くなってごめんなさいぃぃぃ。
湖に向かったアラタは、真っ先に手を洗った。
ゴブリンの目に刺したせいか、手についた臭いはなかなか落ちる気配がない。
そのため、汚れだけは落として諦めてその場から少し移動し、右手で水を掬って飲んだ。
ゴブリンと戦う際、自分でも意外なほどに汗をかいていたようで、かなり喉が渇いていた。
アラタは、湖のほとりで休憩がてらステータスの確認を行い、ある事に気づいた。
ステータスを開いてスキル名をタップすると、説明が表示されたのだ。ステータス、めちゃくちゃ親切設計である。
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名前 宵月アラタ
種族 人間
職業 戦人
Lv.3
HP 193/193
MP 605/605
STR 181
VIT 145
AGI 169
DEX 121
INT 133
MND 157
スキル
武術・時空魔法・気配感知・気配遮断・魔力感知・魔力操作・危険察知・理力感知・身体強化・先読・威圧・暗視・物理耐性・毒耐性・言語理解
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・武術
あらゆる戦闘行動に補正がかかる。
・時空魔法
時空を操る魔法。
使用可能魔法
・アポート
・気配感知
動体の気配を感知する。
・気配遮断
自らの気配を薄くする。
・魔力感知
魔力を感知する。
・魔力操作
自らの魔力を操作する。
・危険察知
自らに迫る危険を察知する。
・理力感知
世界の理の力を感知する。
・身体強化
魔力によって身体能力を向上させる。
・先読
相手の行動を先読する際補正がかかる。
・威圧
周囲を威圧する。
魔力を込める事で効果が上昇する。
・暗視
暗闇でも目が見えるようになる。
目に魔力を纏うと効果が上昇する。
・物理耐性
物理的な攻撃に対する耐性を得る。
・毒耐性
毒に対する耐性を得る。
・言語理解
人間種のあらゆる言語を習得する。
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全体的にそのまま過ぎて、使用可能な魔法がわかった事以外あまり意味がない気がした。
効果は分かったが、実際に使ってみない事には、いざという時使えないと困ると、アラタはそれぞれのスキルの効果を試した。
結果は次の通りとなった。
『気配感知』
意識して周囲の気配を読み取ろうとすると、自然とどこで何が動いているのかが分かる。
具体的には、風に揺れる植物や、茂みに隠れている小さな生物の息づかいまで、手に取るように分かる。
『気配遮断』
周囲に溶け込むイメージで、呼吸を小さくし、音を立てないようにすると、何となく自分の気配が薄れた様な気がする。
実際に試してみないとなんとも言えないと、結論を出すのは保留にして、次へ行く。
『魔力感知』
まずは、自分の体内に意識を向ける。
集中していると、心臓のあたりから出たエネルギーが血管付近を通って、全身をゆっくりと巡っている事が分かる。
そして、外側に意識を向けると、『気配感知』の時の様に周囲の様子が分かる。動物や植物、自然界に存在する薄い魔力などを感じ取っていた。
『魔力操作』
『魔力感知』で体内の魔力を捉え、それを意識して循環させるようイメージする。こうして循環させているのと、自然に循環しているのではスピードが段違いだった。さらに、意識して循環させていると、体に力が漲り、疲労がみるみるうちに引いて行く。
今度は腕を突き出して、魔力を手のひらに集め、凝縮して、限界になったところで前に飛ばす。
飛んで行った魔力の塊は木にぶつかり、表面を少し抉って霧散した。
魔力の塊飛ばしただけなのに威力高過ぎやしないだろうかと思いつつも、今はスルーするアラタ。
『理力感知』
『魔力感知』の時の様に体の内側に意識を向け、魔力を意識から排除。さらに深く集中してようやく、体の中の温かい力の奔流を感じた。
体の外側でそれを探すと、茂みに隠れた生物の、アラタよりは小さいが、確かに存在する力を感じることができる。
『身体強化』
魔力操作の応用で、循環させていた魔力を全身の細胞に染み渡る様なイメージをする。
その状態で軽く跳んでみたアラタだったが、十メートルほど跳躍し、何のダメージも受けずに着地する事ができた。
『威圧』
周囲に向けて、殺気と魔力を同時に放つ。
すると、茂みに隠れていた生物が気絶した気配がした。
『武術』
ほとんど誤差の範囲だが、普段よりはほんの少しだけ動きにキレがあった気がした。
つまりあまり効果がない。
そして、せっかく使える魔法が分かったのだからと、手を伸ばしてソレっぽいポーズをとり、とりあえず魔法名を言ってみたアラタ。
「『アポート』!!」
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
しかし、何も起きなかった。
正確には、魔力は放出されたが、そのまま霧散したような感覚があった。
アラタは少し考えて、ステータスのスキル欄から時空魔法を選択し、更に、魔法名をタップした。
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・アポート
指定した対象を、自らの周囲に転移させる。
生物に使うには多くのMPを消費する。
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先ほど、アラタは対象を指定する事なく魔法を発動させようとしたせいで、失敗したようだ。
アラタは、気を取り直して、気絶した生物を目の前に引き寄せるイメージで、
「こんどこそ『アポート』ォッ!!」
アラタの魔力がごそっりと減り、小さな気絶した兎が目の前に出現する。
ステータスを開いて確認すると
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MP 105/605
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MPを五百も消費していた。
なお、魔法を使う際香ばしいポーズを決める必要も、思いっきり叫ぶ必要もない。
他のスキルに関しては、今は何も出来ないので放置。
その後、兎を捕まえたはいいが今のアラタにはどうする事も出来ないので、そっと茂みに戻し、その場を離れた。
アラタは、一旦洞窟に戻り、『暗視』の効果を確かめつつ棍棒を一つ回収すると、探索に乗り出した。
ゴブリンが襲撃して来た様子を見るに、ゴブリンの集落があった場合、“あの洞窟に人間がいる”という情報が出回っている可能性が高かった。
そのため、今回の探索のメインとなるのは、新たな拠点探しだった。
もちろん、食料となる木の実を回収する事も忘れない。
探索を開始して一時間くらい経ったころか。
アラタは、完全に迷子になっていた。
武術は仕込まれていても、森の歩き方なんかは全く知らない。当然と言えば当然の結果だった。
そんなアラタの耳に、鉄と鉄をぶつけ合うような音が届いた。
読んで下さりありがとうございます。
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リアルの事情で、今週の投稿は厳しそうです。
書け次第投稿しますが、いいとこ二話くらいかと思います。
申し訳ない……。