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ビバ☆就活体験記  作者: マナブハジメ
最終章 「内々定と、就職活動と、百パーセントジュース」
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四月四日  二条院

 四月四日  二条院


 いやはや最近は忙しすぎて書くにかけなんだのだ。すまんすまん。俺は二菱銀行残ってます。他の金融は全部相性悪きかな。うんともすんともいきません。まあ、相性ばかりはどうしようもないから仕方ない。合わぬようならそんなもんこっちから願い下げ願い下げ。俺の人生託してたまるか。俺の遺骨を埋めてたまるか。俺に会えただけでも感謝しとけよこん畜生。見る目がないこと後悔しとけ。そしていずれは泣き喚け。はてさて。

何やら明日が大勝負。電話口で決心しとけと言われましたが、はたして何を決心すべきか。俺は超絶多忙な男ですから日々決心の連続なわけで。無論人生が決断の連続なのは言うに及ばず。俺は生まれてこの方大小様々な決心をしてきたもんだとやや感傷にふけってみたものの、振り返ってみてもやはり後悔というのは些か程もござらんござらん。

決心とは、やはり頭で考えるものであるというのが俺の信条。行動しました失敗しましたでよきはずがないのだアンポンタン。あらゆるリスクを想定し、それを脳内シュミレーションで回避してこそ安心安全な人生設計ができるはず。少なくとも俺はそうやって生きてきたし、これからもそう生きていくつもり。お主ら喚こうが、んなこと知らんよ知りません。

行き当たりばったりの人生の方が楽しき幸せ、なんぞとほざく阿呆がおるがそれはそいつの趣味趣向だから知ったこっちゃあないんだよ。お前の価値観俺に押しつけるな馬鹿野郎。所詮俺たちゃでっかい箱の中で生きている。箱の外装が一人で、箱の形が文化で、箱の集まりが社会なわけだ。要は、隙間なくぴったり合えばいのだこの世の中は。中身なんてどうでもいいのだ。何考えてるとか、何しようとしてるとか、そういう中身は不問な世界ということだ。秩序は外装にあるんだ、外装に。外面さえ合えばそれで世界は完成だ。なんて素敵なジグソーパズル。我が教え子たる中坊にやりたいくらいだ。勉強そっちのけで遊び始めることだろう。楽しいだろうな。楽しいだろう。

我思う。そんな俺って何なのだ? 俺が単なるピースだとしたらそれを動かすのはどこのどいつだ。中坊の指先かはたまた仏の爪先か。我思う。何たる受動か何たる受け身か。成り行きというのは実に楽ちんな時間で、何もせんでも明日が落ちてくる。阿呆なら歩き方すら忘れてしまうさ、忘却の彼方。我思う。だから阿呆は頭が重いし腰が痛くなる。至るる結果は寝たきりだ。動こうとせん。されどもいつか立ち上がれると思っとる。いつか治ると思っとる。タイミングさえ合えば何とかなると思っとる。我思う。だから想像が得意なのだ。常にイメージしとるから。毎日が練習レッスンだから。いつ本番が来るとも知らん癖に。本番を作るのは己自身だということを知りながら。我思う。変わりたいと。

 たぶん明日が最終面接。その場で内定出ること期待して何が悪い。そして必ず高笑いしてやるから覚悟せい。いろいろ決めねばならんのだ。タイミングではないのだ。変わることができるか否か。おそらくきっと、それだけなのだ。うむ。良きかな決心!

 以上。


(追加)  田中麻美


 天通受けてきました。人生で一番緊張したよう。個人面接で、自己紹介シート通りの質問をされました。ところどころ、「その場面であなたが工夫したことって何かある?」みたいなことを聞かれたけど、全然困るような質問ではなかったよ。私の印象では、私がいることでチームにどんな付加価値を与えられるのかっていうことを見られていたんだと思います。そういう意味では私なりにうまく答えられたと思ってるの。でもやっぱり、不安は不安です。残ってる企業も片手で数えられるくらいだし。天通入りたいです。人に何かを伝える仕事がしたいです。今日は改めてその思いが強くなりました。明日は武畑薬品の二次面接です。落ち付いて、普段の自分を出せるようにしたいです。じゃあね。バイバイ。


(追加)  谷本直毅


 今日は朝から晩まで面接だった。正直疲れたぞ。まずは朝一で二井物産の面接。めちゃくちゃたくさんブースがあって、一対一の面接だった。俺の相手をしてくれたのはハンサムスーツがよく似合う素敵社員さんだった。なんかESとか全然見てなかったな。自己紹介、自己PR,志望動機を合わせて三分でしてって言われて、そこで言ったことに対してどんどん突っ込まれてく感じ。前半は無難にこなしたが、後半は、「上司に提案を跳ね返されたらどうする?」(改善してもう一度提出します)「フワッとした感じでダメだと言われたら?」(周りと相談しながらもう一度)「そうじゃなくて、なんとなくダメ、みたいな。理由なくダメ、みたいに言われたら?」(飲みに行きます。本音で話せる雰囲気作りです)みたいなやり取りの応酬だった。なんかもう、掴みどころなかったなあ。でもまあ、楽しかった。OB訪問八人したのにそのことが言えなかったのは反省点だが、最後に、「じゃあ、次も頑張って」って言われたからたぶん大丈夫だろうというのが俺なりの予測。

二井物産の後はすぐさま本日放送の面接だった。遅刻しなくてよかったよかった。相変わらずディレクター職で受けてるのだが、一対一の面接官がいきなり結構齢いってる人でびびったぞ。なにやらESの内容は完全にインプットしてるらしく、ブースに入った瞬間から面接終わるまで一秒たりとも俺の両眼から視線を外してくれなかった。質問内容というか口調が若干厳しいような気もしたが、それより何より面接官の目ん玉クリクリなのが怖かった。おかげで初めて面接しどろもどろを経験しました。あんまし対策してなかったのもよくなかった。キー局みたいに声張ればなんとかなると思っとったが大間違い。なんか全部白髪のおっさんに吸収されちまったって言う感じです。久々にテンション下がりまくりの面接だった。

その次は九紅の一次面接。経費削減か知らんが蛍光灯ついてなかったから暗いイメージを抱いてしまった。一対一で聞かれたのはESの内容だった。面接官が面接始まる直前に読んでたが、あれで頭に入ってるんだろうか。聞かれたのは特にバイトの話が多かったかな。あとはいつも通りどの部署に行きたいかとかそういう話。だんだん商社の面接にも慣れてきた頃だから問題なかった。蛍光灯以外は気分もルンルンで、最後に臨んだのは天通です。

本日放送の悪夢が脳裏をよぎったが、商社のテンションで声馬鹿でかくハキハキしゃべったら、眠そうにしてるお兄さんたちも起きてくれたさ。最後の方は俺が答える前に片方の面接官が誘導的に答えてくれて、俺は、「はい。その通りです」って言ってるだけで終わっちまった。なんかちょっぴり拍子抜け。商社も広告もやっぱテンション大事なんだな。改めてそう思いました。あ~あ。志望動機クルクルかえるの大変だったー。明日一発目から本日放送四時間耐久筆記試験だけど、どうしよう。起きる自信がありません。天通の自己紹介シート徹夜したもんな。今日の面接の感触から考えるに、本日放送のテスト受ける意味ないような気がするし。よし。決めた。起きれたら行こう。そうだ。そうしよう。それがいい。んじゃ、またねー。


(追加)  山井里央


 青色銀行受けてきたよ。まだ電話は鳴らないけど、手ごたえはあるんだぁ。うちもそろそろ大詰めかなって感じなの。二条院君も順調みたいでよかったです。ミッキーはどうなのぉ? そろそろまた洋平の家で騒ぎたい頃なんじゃないのぉ? 遊びにおいでよ~。そして、報告してよ~。でわでわ。また明日~。


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