十月十一日 谷本直毅
十月十一日 谷本直毅
セミナー行ってきた。書く。
小日本印刷は少々遅刻したので全部の話はわかりません。でも、本とかパッケージの印刷だけじゃなく、家の壁紙とか木目調の印刷とか案外幅広くやってるみたいだ。事業自体もウェブの領域に踏み込んだりして幅を広げてるらしい。事務系の募集人数も二百人弱位を予定してるみたいだから、応募しといて損はないかも。なんだか引っかかりそうな予感。営業の転勤も他社と比べて少ないそうだから、彼女と別れる回数も少なくて済みそうだ。ところで中林よ、なんかあったのか?
さっきから詳しいこと書けんくてすまん。というのも、人事の人とは別に、俺たちの大学の先輩社員がОB訪問的説明に来ていたんだが、その人のパンツスーツがムッチリパツパツでやたら破廉恥だったのだ。だからそのことしか覚えておらんのだよ。その魅惑の琴線がいつ弾けるかということに意識が行き過ぎた。あんなスーツをこしらえた職人はまさに職人だ。尊敬に値する。お前らの中から魅惑のスーツ職人が誕生することを俺は切に願うよ。
次はシャプーを見てきた。結構歳のいってるおじさまが話しておられたから、ちいとばかし緊張感があった。全体の印象としては、理系の企業だなあと思ったよ。経済学部人としてパンフレット見たけど、全然惹かれなかった。まあ、まだ薄っぺらいパンフだったから仕方ないかもしれんがね。OB訪問でもすればやる気が出る可能性は大いにあると思う。やっぱ文系は文系の人の話を聞かにゃ駄目ですな。プレゼンの内容はソーラ―パネルの話が多かった。世界の四分の一がシャプー製なのだそうだ。こいつはすげえな。ソーラーパネル向かって適当に指させば、四回に一回はシャプー製なんだぞ。すげえよ。求める人材像は「スマート」「しなやか」「タフ」を兼ね備えた学生で、いろんな分野に詳しくなりたいという学習意欲のある人材がお好きなようだ。残念ながら二条院は落選だな。お前にはしなやかさの欠片も感じられん。せいぜいストレッチにでも邁進せい。
イズビーという得体のしれぬ企業の話も聞いた。ブースの回転率を重視していたらしく、話を聞く時間がすごく短かった。眼鏡をかけた坊ちゃん刈りの社員がやたら早口でしゃべくり倒しておられたよ。よくもまあそんなに速く舌が回るもんだと、俺は感心したもんだ。でも、口調が速すぎて結局何も覚えてません。プレゼンのボリュームがあるならもっと一コマに時間をかければいいのに。完全に作戦ミスだぞありゃ。そのくせ業界としてはコンサル会社らしいから、目も当てられんとはこのことだ。ただ、会社自体はまだ若いから、早いうちから活躍できそうな印象は受けたぞ。コンサルは外資というイメージを払しょくするには至らんかったが。
今日の最後は佐藤忠商事だ。俺が憧れる総合商社だよ。とにかく繊維が強いらしい。ここは有名な海外ブランドのほとんどと提携しておるから、規模の威力まで持っておる。こりゃあちょっと敵なしだ。あと、サトウ忠と言われるだけあって、砂糖も無敵らしい。川上から川下まで全部請け負ってるんだと。ここの社風としては風通しがよくて、若いうちから大きな仕事を任せてもらえるのだそうだ。あと、新人海外派遣制度というのがあって、入社後四年以内に百パーセント海外を経験させてもらえるらしい。なんて魅力的な制度なのだろう。ちなみに、サトウ忠のエントリーの仕方はちょっと変わってて、普通のエントリーの他に配属先決めエントリーというのがあるそうだ。これで内定もらうとその時点で配属先は決定らしい。でも、一般採用の方が有利に感じた。やりたいことが決まってる奴にとってはいい方式なんだろうがな。
今日はこんな所です。
そういえば、この前のゼミは最高だったな。キム先生が気を利かせて紅茶を買ってきてくれたあたり、さすがさすが。あんないい先生は他におらんよ。俺はこのゼミの幹事であることを誇りに思う。キム先生もパイナップルケーキをおいしそうに頬張られておられて何よりだった。二条院がやたら喜んでいたのはなにゆえか。まあ、中林のお土産がチョコレートだったのは予想通りだったがな。裏の裏を突いたつもりか知らんが、裏の裏は表だぞ間抜け。お前は超絶色男の癖に、そういうおっちょこちょいな所があるから、野蛮な輩どもから僻まれんで済むのだ。世の中うまいこと出来ておる。ただ、キム先生へのお土産がゴディバだったのはいかがなものか。もっとアメリカ色に染まったもんを選んでこいよ。お前のセンスを見せてみろ。食べ比べ的には、甘さと口溶け加減でお前に完敗だよ、好色一代色男。だが、紅茶との相性は俺の勝ちだな。パイナップルケーキの美味しさを引き立てる、見事なまでの組み合わせだった。むしろパイナップルケーキが紅茶の美味しさを引き出していたのかもしれん。まあ、どっちでもいいか。
豚キムチ定食が食べたいので帰ります。バイチャイチャ。
(追加) 笠井
日にち変わってるけどここに書く。谷本、シャプーのパンフレットくれ。
あと、学園祭当日、俺は参加できません。すまんな。演劇部の公演があるのだ。後片付けくらいなら参加できるはず。今は本番に向けて猛稽古中だから、そっとしておいてくれ。学祭当日はぜひ見に来てほしいな。俺の迫真の演技を見れば、お前らもきっと、俺に一目置くようになる。平伏せ平伏せ。頭が高い頭が高い。ちなみにこれだけは言っておくが、三木森だけは連れてくるなよ。百パーセントの確率で野次を飛ばすだろうし、あやつの声のすさまじくデカイこと迷惑千万。雰囲気ぶち壊しも甚だしい。演出の泣き顔が目に浮かぶ。今年の春にあった新入生歓迎公演における恨み、忘れておらんぞ。あの阿呆はいちいち規格外なのだ。たかがくしゃみ一つに、なぜ舞台の音響が敗北せねばならんのか。おかげで一番グッとくるセリフが、観客の誰にも聞こえておらんかったそうだ。皆の鼓膜がハクション大魔王に侵されておったらしい。花粉症ならマスクくらいつけろ。そしてお前は、芸術を鑑賞する権利を剥奪されればいい。うちの団員が泣いて喜ぶぞ。とにもかくにも、シャプーの件よろしく。アンド、打ち上げ絶対行きます。
雀の千声おそろしや。ばいばい。