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ビバ☆就活体験記  作者: マナブハジメ
第四章「面接と、リクルーターと、魔法の言葉」
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三月一日  山井里央

 三月一日  山井里央


 二井積友銀行に行ってきたよ~。この前電話があったやつです。麻美もいたから、ちゃんと電話かかってきたんだね。よかったよかったぁー。内容は、一年目の社員さん一人に学生二人でおしゃべりっていう感じでしたぁ。うちのテーブルは一緒にいた学生さんがすごくよくしゃべる人で、私、ほとんどしゃべれなかったの。その人、下敷き代わりに某経済雑誌を取り出して社員さんにアピールしてるんだもん。正直、ちょっとひきました。おまけに、時間のほとんどをその人のES添削にとられちゃったし。涙目って感じだよぉ。だから、会が終わった後社員さんに、「今日はあんましお話しできなくてすいませんでした」って謝ったら、「そんなことないよ。雰囲気だけでもどういう学生さんかっていうのは伝わるものだから、全然心配しなくて大丈夫」って言ってくださいました。すっごく嬉しかったし、安心しました。なんか、無理に自分を作る必要ないなって思えたの。これは今後の就活にとってプラスになりそうです。

 お昼ご飯食べた後は、本日生命に行ってきました。これも電話がかかってきたの。会場に行ったら、笠井君もいました。テーブルは違ったけど、笠井君がひきこもりじゃないことは、うちが証言するよ~。セミナーの内容は普通の会社説明と、社員さんとの交流会でした。銀行の人も言ってたんだけど、本日生命の人も、「会社が大きすぎて何をやっているのかよく分からないんだよね」って言ってました。うちは最近、大きな会社で働いた方がいいんじゃないかって思い始めたの。その方が福利厚生も整ってると思うし、女性社員も多いだろうし。だから、うちにとっては興味ある会社になりそうです。もしかしたらうち、金融をメインに回るかも~。金ゼミで金融メインの人っているのかなぁ? 谷本君は商社で麻美は広告でしょ? よーへいはもう決まっちゃったし、ミッキーは最近就活始めたばっかだし。二条院君と笠井君はどうなのかなぁ? 今日も見かけたし、もしかして金融かな? もしそうなら、情報交換しながら頑張ろうね。チームプレイで就活を乗り切ろうとしている里央でしたぁ~。またね。


(追加)  中林洋平


 里央へ。二条院は金融らしいよ。日銀に行きたいんだって。この前、一緒に飯食ってる時に言ってた。俺としては、あいつは公務員向きだと思うんだけどね。

二条院へ。五日なら空いてます。


(追加)  二条院


 ゴディバ。助かる助かる。あと、一言追加。

確かに俺は就職万能型に見えるやもしれん。それはあながち間違いではないと思う。べつに自分でそう思っとるわけじゃない。周りがそう囃し立てるだけのこと。官民問わぬこの適応力に皆が恍惚の視線を交えるのも無理はない。なに、否定はせんさ。俺は頭ごなしに否定するような野暮な男でないからな。物事事象を寛容に受け入れるだけの器をもっておる。だからゴディバが俺の事を公務員向きだと考えるのも無理なきこと。

でも、だが、しかし。俺は公務員試験を好いておらんのだよ。べつに解けないわけじゃない。ただ好いとらんだけの話。なんかこう、試されておるようで不快なのだ。試験という選抜形式が。俺の能力は、学力だけでなく、この対人適応能力にもあると自負しておるからな。

左様然ればパピルス試験に重きを置いておる公務員試験は、俺の真なる能力を見抜いとらんことになる。そんな節穴どもの巣窟に、俺のこの才能、預けたくは、ござらん、ござらん。

これこそ俺が公僕を目指さぬ理由なり。金融行きたいのは、俺が大学で学んできた経済学の知識が生かせるからにほかならぬ。俺のきらめく大学生活、一ミリたりとも無駄にはせんぞ! このような心構えであるから書いてみた。

 以上。


(追加)  笠井


「俺のきらめく大学生活一ミリたりとも無駄にはせんぞ!」か。笑っちまうな。笑っちまうけど、不覚にも二条院に同意。俺もそう思う。だからさ、俺、決めました。今日で俺の就職活動お終いにしたいと思います。思うというか、お終いにします。

いろんな業界のセミナー行ったり、リクルーターの人と話したり、自分の中で探り探り就活してきましたが、なんか違います。ノーって感じだ。今まで俺の事を心配してくれてた人が、もしいたなら、ありがとう。そういうわけで、俺は金融志望でも何でもないから。あえて言うなら、役者志望だから。んじゃ、そういうことで。

 すずめ百まで踊り忘れず。されどたれか笑わんや。


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