十二月四日 谷本直毅
十二月四日 谷本直毅
笠井、まだ怒っておるのか? メールも電話も出てくれんからお前が縄紐購入しとらんか心配になってきた。コンビニの店員に、「お願いですからコンビニエンスなストアに縄紐だけは置かんで下さい」と頼んだら、「そんなもん最初から置いてません」と言われたよ。日本国は何と安心安全な国家なのか。少しだけ日の丸弁当の高感度が上がったぞ。
そんな弁当片手に俺は東京損保のセミナーに行ってきた。まずは十一年目の社員さんの話を聞いた。なにやら十年で三つの部門を経験するのが基本らしい。保険の内訳としては、六割くらいが車で、海運は七%程度なんだと。こりゃ間違いなくリーメンショックの影響受けるぞ。損保業界の先行きが楽しみだ。仕事のやりがいは、お客様に接してニーズに直接触れられる点、チームワークを感じられる点、お客様から感謝を与えられる点。辛かったことは、お客様に認めてもらわなければならんから、経験と知識、相手企業の理解、など様々勉強することがある点、仕事の性質上ミスが許されない点、を挙げてらっしゃった。もちろんその分やりがいもあるそうな。この人が東京損保を選んだ理由は、リーディングカンパニーであること、自由闊達な社風が気に入ったこと、なんだと。なんか、どこの企業も自由闊達というフレーズが出てくるのは気のせいか? もしや今年の流行語か?
お次は二年目の人事の女性社員さんに話を聞いた。利益のためでなく国益のために働けることが魅力的だと言ってました。企業目標として今後十年で収益三倍を目指すとおっしゃられておったが、そいつはたぶん無理ですぞ。下方修正必至です。学生ながらにそう思った。福利厚生はどこでもそうだがしっかりしてる。女性にも、少しでも長く働いてもらいたいというスタンスらしいから、働く環境としてはいいんじゃないかな。あとは、面接で何を見ているのかということも教えてくれた。取り組んだことや成績の大小ではなく、物事に対する取り組み方と考え方を見てるそうだ。入社してから仕事ができる人なのか、社風に合ってる人なのか、ということを考えながら選考してるんだって。学生には、自分が活躍できるフィールド、自分ができること、を考えてきてね、とおっしゃってました。具体例を織り込むと説得力が出るそうです。みなさん、積極的に参考にしましょう。なお、自己分析は必須だそうです。
今日の話を聞いて思ったんだが、笠井、お前このまま就活本番に突入しても、たぶんどこも受からんぞ。俺が言うのもなんだが、企業が新卒採用に臨む姿勢ってのは、なかなかシビアだきっと。おまけに今年はリーメンショック。もしかしたらお前のトンネルベクトルはマントルに向かって直進しておるのかもしれん。気付いた時には何もかもなくなっとるかもしれんわけだ。爆発するなら今しかないぞ。俺たちゃべつにお前がどうなろうが知ったこっちゃない。いい意味でも、悪い意味でも、人は人だ。だから、お前が暴れようと気になんてせんさ。出すもん出しとけ。吐くもん吐いとけ。そしたらきっと地盤が固まる。どんだけ奇形だろうが驚きゃせんせん。火噴いて地固まる。金ゼミ幹事より。
(追加) 笠井
言いたいこと言ってくれるじゃないか馬鹿幹事。山井もありがとう。選考頑張れよ。
俺だっていろいろ吐き出したいけど何を吐き出せばいいのか全然分からんのだ。役に入り込むのは得意でも、自分を客観的に見つめるのはあんまり得意じゃないらしい。今は悩むことしか出来んのだよ。これもまた青春であり人生なのだと粛々と受け止めるしかないな。時間が解決してくれるようなものだとは思わんが、時間がなければ解決できんのもこれまた事実。いずれにせよ俺はちゃんと前向いてるから、本番までには解決してみせるさ。俺は俺を裏切らない!