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ビバ☆就活体験記  作者: マナブハジメ
第一章 「説明会と、学園祭と、木工用ボンド」
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反省文  三木森

 反省文  三木森


 おっつー。みんなのマスコット的哺乳類ミッキーだよー。

 いやあ、楽しかった。めちゃくちゃ楽しかった。楽しすぎて調子に乗った部分が多々あります。謝るつもりはこれっぽっちしかないのですが、「反省文を書け」と谷本に言われたので、渋々書いてます。自覚症状がないから何を謝ればいいのか分かんないってのが本音なんだけどね。

 まず、学祭期間を通して俺の宿泊所と化していた洋平の下宿先よ、ありがとう。洋平はシャワー派らしいが、俺は湯を張る派だからな。いちいちお湯を溜めて申し訳ないとは思ってない。結局全員ノンシャワーで済ませたんだから、結果オーライだな。ただ、風呂の中で大声出して歌ったことについては反省してる。谷本から聞いた話じゃ、あの後、お隣さんから苦情があったらしいね。深夜だったからまずかったのかな。次からはもっと浅い時間に風呂にしよう。

 学祭当日は、ピカチュウ大量発生の件、ご苦労だった。

 洗濯物がネズミばっかりだったからまさかとは思ったけど、そのまさかでした。あのピカチュウ衣装は、金ゼミで代々受け継がれているらしいよ。俺はサイズが合わなかったからすぐ脱いで金ゼミTシャツに着替えたけど、里央やお姉さま方はめっちゃ可愛かったと思う。金ゼミの乙女が初日しかコスプレしなかったのは、ちょっともったいなかったな。

 クレープはまさかの大繁盛でびっくりでした。アボガドが一番人気だったらしいけど、途中までタコワサがトップだったんだって。まさかのまさかでしょ。だってあれ、まずいじゃん。正直なところ。俺が「不味いよー。不味いよー」って連呼してたのが逆によかったのかも。俺は客のためを思って心から忠告してたのに。二日目の午後からは、洋平、里央、谷本で店番してたね。俺の客引きどうだった? とりあえず部活の奴らには一人三クレープずつ買ってもらったから、上出来でしょ。ちなみに、テコンドー部の一番人気はコーヒーゼリーでした。関係ないけど、俺の先輩後輩に、里央、モテモテだったよ。紹介してって言われたけど、とりあえず断っておいた。別れたら俺に連絡くれ。そしたら次々にメンズを紹介してあげる。

 それにしても、笠井の演技は進歩がないよな。観に来い観に来いうるさいから足を運んでやったのに、まったくもって俺たちの期待値を上回らんじゃないか。絶対、ピカチュウ姿の里央の方が注目されてたね。笠井の演技はちょっと大げさすぎるんだな。俺たちがいたから気合入ってたのかもしれないけど、そんなの言い訳にしちゃ駄目だ。勝負の世界は厳しいんだよ。でも、全体のストーリーは面白かったと思う。なんか自然に拍手ができた。そして、自然に甲子園風船が飛ばせた。笠井の晴れ舞台のためにわざわざ用意しておいたんだぞ。ピュウピュウうるさかったけど、静かちゃんよりはいいだろう。俺一人で五十個くらい飛ばすつもりだったんだけど、金ゼミメンバーが手伝ってくれたから手間が省けたよ。ありがとう。舞台上で笠井が立ち尽くし、ふるえながら顔を強張らせていたのは、涙をこらえてたんだよな? 「よっ、笠井! この大根役者! ブラボーブラボー」っていう俺の声援が身にしみたんだろ? 甲子園風船を飛ばすという粋な計らいをしてしまった俺を許しておくれ。あと、演技中に間違えて、二、三個ピュウピュウ飛ばしたのはすまなかった。役者さんに謝っておいてくれ。ついでに、風船に息込め過ぎてパンパン割ったのも悪かった。役者さん、ビクッ、ってしてたな。(笑) まあ、ご愛嬌ってことで。

 さあ、触れたくないけど触れてやるか、二条院。金ゼミ専属メイドさん就任おめでとう。久々に腹がよじれました。三日間限定だったのが実にもったいないぞ。今度から、お前は何かあったらメイドさんに変身すればいい。クリスマスに、忘年会、新年会、ゼミの打ち上げ、追いコン、新歓、と使える場所はたくさんあるから。無駄毛の処理さえしっかりしてれば、ガムテープでぐるぐる巻きにされることもない。悲鳴をあげずに済むわけだ。なんだかんだでメイドさん衣装を受け入れたあたり、二条院も自分のポジションがわかってきたみたいだな。(笑) カメラはうまいこと撮れましたか? なんか、いいカメラだったらしく、お姉さま方にちやほやされていたのがちょっと羨ましかったです。それなのに二条院が学祭を通して、しょんぼりしてたのは、あれか。あさみんの人形劇か。メイドさん姿で来場し、あさみんの会場に汚点を残してまったことを嘆いているのか? 心配するな。他の客たちは、お前とあさみんが同じゼミに所属してるなんてこと知らないから。あさみんだってそんなに気にしてないと思うぞ。確かにあさみん、こっちあんまり見てくれなかったけど、べつに二条院のせいじゃないって。照れてただけだって。あさみんはきっと、恥ずかしがり屋なんだって。

 あさみんの人形劇は本当によかった。俺たちは手話とか分かんないからあれだけど、人形劇自体がおもしろかったから、めっちゃ楽しめました。あさみんも終始笑顔で、楽しんでるな~、って見てて思った。稽古の成果、出てたと思うよ。二条院が講演三十分前くらいから人形劇人形劇うるさかったから、早めに行ったつもりだったんだけど、既にお客さんがそこそこ入っててびっくり。わかりやすいように、ピカチュウとメイドさんを連れていったから、俺たちの場所、見つけやすかったでしょ? 八列目くらいから二条院が必死でベストショット探ってたけど、気にせず手話を続けるあさみんの集中力は一流だね。もしかしたら、カメラに気付いてなかったのかな。二条院は衣裳注目度抜群の癖に控えめでさ、俺が、最前列行って撮ってこいよ、って言っても遠慮してちまちま撮影してたから、大声で「あさみ~ん」って呼んでしまいました。ごめんね。初めて二条院に本気でどつかれたよ。あいつもテコンドーやればいいのに、っていうくらいの鋭さでした。ここまで振り返ったけど、俺、あんまり悪いことしてないぞ。

 後片付けは、七割終わった辺りでもう打ち上げ状態でしたね。先輩方が、なぜあんなにたくさん、不評予測であるはずのタコワサを作ってきたのかが分かりました。在庫がまだあるにもかかわらず、タコワサクレープの販売を途中で打ち切った理由も分かりました。全ては打ち上げ一次会のためだったのですね。先輩方の計画的無計画、お見逸れいたしました。あさみんが合流した頃には、みんな半分デキ上がってましたね。やたらとタコワサをお勧めしていた俺を許して下さい。里央と洋平はコーヒーゼリーばっか食ってたけど、あんな苦い半固形物のどこがうまいんだ? 三百字以内で説明しなさい。

 居酒屋鳥丸での二次会は、全体的に調子に乗りすぎました。店員に、「もうちょっと静かにしてください」と怒られたんだが、声がでかいことのどこが悪いのかよくわからん。俺はしらふでもあんな感じだぞ。生きてるだけで怒られなきゃならんとは不条理極まりないだろう。途中から笠井も合流していたらしいけど、全然気付かなかった。俺の粋な計らいに感動しすぎて、近くに来るのが恥ずかしかったのかな。でもみんな、楽しそうに打ちあがっていたのでよかったです。そろそろ右腕も疲れてきたから、まとめ的一文に入ろうかな。

 二条院。カメラ分解してごめんなさい。今度、ボンド貸してあげます。

 反省文お終い。



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