HOPE計画ヲ阻止セヨ~HOPE-X~
醍醐は日朝新聞の社説を読んで驚いた。
「税金を浪費する宇宙開発は、コストの高い有人ではなく無人で進めるべきだ」
日朝新聞社は科学分野に熱心な新聞社だと思っていたのに、なんだこの社説は!
先月なんて、同社の科学雑誌スサイアから、日本の有人宇宙開発について、長時間に亘ってかなり専門的な取材を受けた。
さすがに記事では大幅にカットされてはいたが。記者の専門知識の深さや情報の速さに感心したほどだ。
醍醐は、昼の休憩時間に他の新聞も目を通してみる。すると・・・
経日新聞「有人宇宙開発は米ソや中国にまかせ、日本は独自の方法である無人で進めるべきだ」
日毎新聞「有人宇宙開発は人命にかかわる恐れがある。日本は無人で進めるべきだ」
なにかおかしい。
今までも日本のロケットが失敗すると大きく報道するのに、成功時はあまり報道しないなど、マスコミの対応に少なからず不満を持ってはいた。
だが、今回の足並みを揃えたような動きはなかった。
宇宙開発事業団某所
「HOPE計画は有人ではなく、無人機として開発を行なう」
また、米国からの圧力なのか。
現在開発中の新型ロケットH2Aは、現在のH2と違って、米国製部品がかなり入っている。
日米宇宙協力協定により、有人宇宙開発は米国の許可が必要だ。
やむを得まい。だが、一旦無人機で宇宙往還機を作れば、いずれ有人化することも可能だろう。
米国を根気強く説得するか、次のH3で米国製部品を無くせばいい。
まず、無人宇宙往還機HOPE-X開発開始だ。
北京中南海の某所
「日本が我が中国より先に有人ロケットを開発するのは許されない!」
「大丈夫です。日本のマスコミを使ってHOPE計画の無人機化に成功しました。
これで日本の開発は相当遅れるでしょう。しかも、日朝新聞が入手した詳細な技術情報もあります。
この技術情報を利用すれば、我国の神舟計画もスピードアップできます」
「よくやった。これで我国が世界で3番目の有人ロケット開発国になること間違いなしだな」
醍醐はまだ知らない。
日本の有人宇宙開発に対する妨害には、様々な反日勢力が潜んでいるのだ。