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11話 「転生冒険者、ストーカーにあう 2」

 3日間。

 この間、俺はなるべく外に出ないよう努め、ひたすら作戦実行に向けて動いていた。

 青山と話したあと一応他にも考えてはみたのだがやっぱり一番やりやすいのは最初に思いついたものだった。

 俺自身、あまり実行したくはないのだが仕方ない。

 顔を上げるとそこには俺が幾度となく入ることを嫌がり、断り続けた建物がある。

 少し話が逸れるが、俺達が住むこの街はこの世界において1、2位を争う大きさであり、なにより人も多い。さらに初心者冒険者を大量排出することからか、冒険者の数も男女問わずかなり多い。というか普通の住民よりも冒険者の方が多いかもしれない。

 戦いに明け暮れる冒険者。そんな彼らに少なからず本能的に発散したくなるものがある。

 ストレス?そんなもの誰でも発散したいに決まってる。自分自身あまり考えたくもないのだが所謂「性欲」というやつだ。

 それを解消するためだけに存在する店。夢という脳の中で再生される1種の映像をいかがわしくしてしまう、淫夢とでも言えばいいだろうか、そんなことを可能としてしまう場所なのだ。

 しかもそれを行うのはほとんど女性。「認識」を変化させる魔法を使う人達である。

 そう、「魔法」を使うのだ。

 つまり営業側も冒険者なのである。

 この店の利用者も男女両方であり、なによりこの店での出会いから恋に発展し、本当に男女の関係を持った人達がいるという伝説まであるらしい。

 ちなみに1度友人にほぼ無理やりこの店に入らされたときに所謂「このあとめちゃくちゃ〇〇〇〇した」の現場を見るハメになり(店の中でするのも許されているらしい)トラウマになったのは言うまでもない。

 しかし作戦実行のためだ。今日のみは我慢することにする。夢の設定も可能なので上手く設定すればそんなものも見ずに済むだろう。

 あとは頼んだぞ――――




 参ったなぁ。

 まさかあの彼がこの店に入っていくなんて。前から異常なほど嫌っていたのに何がどうなっているのやら。

 流石に同じように入るのは嫌だし今日はここで待つとしよう。気配遮断もしなくていい分、魔力的にはかなり楽だ。

 明らかに罠なのは分かっているのでどうするか。なるべく私は「私」のまま見つかりたくない。いや、見つかってはならない。

 ……先にやってしまおう。

 彼のためならば、一時的に私でない状態になるのもやぶさかではない。

 私は必ずこなしてみせる。

 だから、待ってて、()()()()

「現れたわね、ストーカー!!」

 この言葉を最後に意識は遠のいた。




「現れたわね、ストーカー!!」

 目の前にいる魔法使いの前に飛び出していく。

 相手はやはり気付いていたようで咄嗟に行動しようとする。

「……まぁ、そうなるね」

 相手は動きを止めた。当然だ。

「いつの間に君だけに有利な魔法阻害結界なんて張ったんだい?」

「昨日の夜、かな」

 私は雄人君のためならば犯罪以外ならばなんだってする。昨日作戦を伝えられたその時から考えてはいたのだ。

 相手が記憶に干渉出来るレベルで認識阻害をかけれるなら当然魔法使いなのだ。

 ならば最初から有利な場を作り出してしまえばいい。

「さて、そんなことはいい。なんで彼をストーキングなんてしたの」

「私の目的の達成のためさ。その為には彼が必要不可欠だからね」

「……なに、あんた魔王の幹部かなんか?」

「いいや、違うとも。確かに君達は1人魔王幹部を葬った。しかしそれは決して戦いによるものではなくただの不意打ち、そこに彼が関わっているわけではないのに彼を殺す理由はない。寧ろ君を殺さなければならないはずだよ」

 私は固まった。

 何故あのことを知っているのか。

 確かにあの時クリーネさんを偶然にも倒した。不意打ちによって。

 あの時から彼を尾けていた?あの場の本当のことを知るのは私達とクリーネさんだけのはず。

「あんた、本当に何者よ」

「そうだね、敢えて言うならば……魔女かな」

「あぁぁぁ!!やっと出てこれた……!おい青山、どうだ、上手くいった……か?」

 雄人くん早いなぁ!でもありがたい。

「そこの黒ローブババアがストーカーよ!」

「青山よ、ババアって歳には見えないぞこの人!」

「私まだ21だよ!?君ひどくないかい!?」

「残念だったわね、私の女の敵はみんなババア扱いなのよ!」

「青山、それはどうかと思うぞ!?」

「君たち私を捕まえようとしてるんじゃないの?」

 そうだ、忘れてた。

「そうよ、雄人君をストーキングする理由は何!?」

「雄人君に魔王の幹部システム壊してもらおうと思って」

 魔王の幹部システム!?何それ言葉が現代的!

「つまり俺はどうしたらいいんですかね」

「魔王の幹部倒して?」

 何言ってんだこのババア。

「あんたさっき、幹部を倒せたのは偶然だったって言ってたわよね。なんでその倒すことにすら関与してない人に幹部倒しを求めるの?」

「その話をしようと思うなら私のことを知ってもらう必要があるけどいいかい?」

「その話長くなる?」

「場合によっちゃなるね」

「俺帰っていい?」

「なんで本人が帰ろうとしてんのよ」

「長い話は嫌いだからね!」

「君にとって結構大事な話になるから聞いてくれないかなぁ!?」

「いやね、ストーカーに急に君にとって大事な話とか言われても逆に怖いだけじゃん?青山もそう思わね?」

「完全に変な話をして攫おうとしてるようにしか聞こえないわね」

「こんなストーカーが言うのもなんだけど君たち性格悪いとか言われたことない?」

 俺はそもそも誰かにこんな当たり方をしたことがないので言われたことがあるわけが無い。青山?あいつは知らん。

「はぁ、わかったわ。じゃあ2日後に君たちとちゃんとした場を設けて話をする。なんとしてもあなた達2人には伝えておきたいから」

 ん?俺じゃなくて俺たち2人?なんでだ。

「なるべく君たち以外には聞かれたくないから場所は私が決めたいところではあるんだけれど、今回は君たちに決めてもらってもいい?私が一方的に押し付けるのも嫌だしね」

「それならまず私たちがあなたの話を聞く義務はないってことよね?行こう雄人くん。こんなやつの話」

「わかった、じゃあ2日後に俺たちの家で。場所は分かるだろ?」

「ちょっと雄人くん!?」

「うん、ありがとう。君ならそうしてくれると思ってた。じゃあ2日後に」

 そう言って彼女はテレポートのような何かで消えた。

「雄人くん!なんであんなやつの話を聞くの!?君をストーキングしてたんだよ!?」

 まぁ確かに自分をストーキングしていた相手の提案を呑むなんて普通しないだろう。

 ただ……

「あの人の目さ、すっごい真っ直ぐだったんだ。本当に何か大事なことを伝えたいんじゃないかって、ただそう思っただけ。ダメだったか?」

「ダメに決まってるでしょ!?もう……」

 なんだかあの人の目はすごい真っ直ぐだった。何か、大事なことを抱えているような、そんな気がしてならなかったんだ。

 俺はこれまでの生活で何故なのかはさっぱり分からないのだが相手が本当にそう思ってるのか、思ってないのかというのが分かるようになっていた。

「あぁ、もうわかったわよ。君のいうことだからきっと大丈夫だと思うことにする」

「うん、助かる青山。ところでさ」

「ん、なに?」

「お前さっきから『きみ』とか『雄人くん』とかいつもと呼び方違ったけどどうかしたのか?正直『雄人くん』はちょっと恥ずかしかったんだが……」

 そう言ってから約5秒、その空間の時間が止まった。

「……テレポート」

「あっ、おま、ちょっと待て!!」

 5秒後、青山は急に煙を出しながらテレポートで消えた。

 普通に呼び方が違ったから気になっただけなんだが……正直女子からそう呼ばれるとか最高すぎてありがとうございます状態でもあったからそのままにして欲しいとか言いたかったんだが、改めて考えるとそれは流石にキモいわ。

 ……帰るか。

 ちなみに青山はテレポートでさっさと家に帰っていたらしい。さらにこの1日、青山からは完全に距離を離された。

 俺が何やったってんだ畜生め。

クッソお久しぶりです。割と真面目にキャラ設定とか忘れそうだったなんて言えない。

ちなみに少し真面目路線で走ることにしたのです。ネタは思いつかん。

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