プロローグ
どうして俺だけ異能もチートも持たずにこの世界に転生させられた!?
せっかく異世界転移したと言うのに、これではただの雑魚とかわりない。一緒に転移されたクラスメートはそれぞれ個性的な能力を授けられ、すでにそれぞれが最前線で活躍していると言うのに。
しかし、俺だけは雑魚から始まり、コツコツと積み上げるのみ。努力しかない。主人公など到底遠い。
だが、俺は諦めなかった。どうせ異世界、失うものなど命だけ。毎日毎日無茶なクエストをこなし続け、遊ぶ間もなく鍛練、訓練、トレーニング。肉体は悲鳴をあげ、争いなど知らなかった身体には次々と傷が刻まれて行く。
それでも数年たてば名も知られ始め、気付けば俺は──
──最強の冒険者に、成っていた。(チートは除く)
◆◇◆◇◆◇◆
俺は、異能もチートも持たずに異世界に投げ出された。当然ながら苦労もしたし、命の危険にさらされたこともある。
正直俺を転移させたやつはぶっ殺したいが、娯楽もなにもなしのトレーニングと膨大な量を受け続けた実戦訓練の成果により、俺は強くなり、有名になり、金も貯まった。
元より稼ぐため、鍛えるために冒険者をやっていたのだ。生活も安定し、実力も問題ない。もう、日日命を懸けて戦う必要などないのだ。
ギルド脱退の手続きは済ませた。必死で引き留められるがそんなの関係ない。
ギルドを脱退すると言うことは、実質冒険者を引退すると言うことである。ギルドに所属しなければクエストは受けられないのだから。
そして、俺は長く続けてきた冒険者を、最強の地位を投げ捨て辞めたわけだが──