昨日の俺を今日の俺は知らない
部屋に入ると日記を開いた。
昨日は“kacetalk”というちょっと値段が高いケーキ屋さんで、洋梨のタルトを食べた、と書いてあった。
いーな。
あのケーキ屋さん、葵が美味しいって言ってたし。
「俺がこの味を覚えていたら…な…」
考えると悲しくなる。
ありえないことが俺のなかでありえる。
そんな事実に背を向けたくなる。
「だめだ…明日にはどうせ忘れるんだ、だから考えるのは止めよう。」
日記の今日の日付のページにシャープペンを滑らせた。
【夕飯のカレー、一番美味しかった!!!!】
今までの一番がわからないなら今日の一番を一番とすればいい。
カレー、美味しかったから。
日記をしまい、布団に潜った。
葵に『お休み』とLINEを送り、既読がついたのを確認して目を閉じた。
俺の中の記憶は何なのだろうか。
1日が終われば記憶は空いた穴からサラサラとこぼれ落ち、リセットされる。
砂時計のように、全て砂が落ちたらまたひっくり返る。
その繰り返しのような物だろうか。
ーーーー昨日の俺を、今日の俺は知らない。
今日の俺を明日の俺は知らない。
明日、俺は俺を忘れる。
「ん……」
「おはよー、怜」
「怜……」
俺、そんな名前だった………?
こんにちは!五白明無です!!!
完結しました!!!!!
短くてすみません……
まだまだ下手な小説ですが、これからも宜しくお願い致します!
次回作もご期待下さい!!!!*´▽`*




