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格闘ゲーマー、異世界へ。  作者: OTGY
第1章 試練編
6/11

俺の相棒がポンコツな件について

「おいインカム…聖地だって言ってたけど誰もいないじゃないか!?」


「ゴ、ゴメンナサイ…ボクがこの村を最後に見たのは20年前でしたもので…。」


廃墟を前にインカムは力無くうなだれている。


「まぁ、潰れてるものは仕方がないし……このぶんなら今日寝る場所には困らなさそうだな。とりあえず日が落ちる前に水を探そうか…。」


「ハ、ハイ〜!お手伝いしま〜す!」


そして崇英(あきひで)は周囲を捜索にかかった。

説明になるが、この時代は一家に一つ蛇口を捻れば水が出てくる水道なんてものがあるわけもなく、水は共同の井戸から汲んで水瓶に貯めておくのが普通だった。

皆が利用するための利便性を考えて井戸は村の中央に作られていたために発見は容易だったのだが、長年管理されていない放置された井戸はボロボロになっており、屋根も壊れていた。

水を汲もうにもつるべ落としの縄も切れていたので、近くの民家に放置されていた桶と縄を探してきてそれを結び、なんとか水を汲み上げたところで日が暮れ落ちた。


「なんか汚れた水って感じだなぁ……屋根が壊れてたから雨水100%か?それに蓋もしてなかったから土埃も浮いてるし……。」


「ご主人様〜、そんなの飲んだらお腹壊しちゃいますよぉ。」


「じゃあどうしろっていうんだよ!クソッ!」


崇英は今までの苦労が徒労に終わり、機嫌が悪くなっていた。


「ゴメンナサイご主人様……インカムはあまりお役に立ってませんね……。」


謝罪を告げる声を聞いて崇英はハッとした。

別に悪いのは相棒だけではない。疑うこと無くただ付いて来ただけの自分が文句を言うのはお門違いだと感じたのだ。


「いいよインカム、お前が悪いわけじゃないさ……それにお前達精霊は食事とかしないんだろう?人間の生活に思い当たらないのも仕方ないって。」


ご主人様と呼ばれ常に敬語で話されていたために自然と相手を下に見ていたのかもしれない。そう思った崇英は考えを改めた。


「ご、ご主人様…なんとお優しい…20年間寝て過ごしていた自分が恥ずかしいデス…。」


「今なんか聞き捨てならない事言わなかったか?」


「え?」


「いや、今20年寝てたみたいな事言ったよね。」


「あ、ハイ。いつか来る使徒を案内するようにと神様にこの世界に送り込まれたのが20年くらい前なんですが、とりあえず1年くらい世界を回って勉強したあとは……その……契約できる人もいなかったから暇だったので……寝てました……。」


前言撤回、想像以上にポンコツ精霊なんじゃないかコイツ?と崇英は思った。

ちなみに精霊は寿命が長く、食べなくても生きていけるせいですることが無いと怠惰が極まるケースがあるが、まさにその典型だった。精霊界に頻発するニート問題である。


「ま、まぁいい……とりあえずこの状態からなんとかするしかないか……。」


そう言って崇英は火の準備をし始めた。

民家の台所から火打ち石を探し出し、飼育小屋があったと思われる所から藁を運んできて焚き火の態勢だ。

なお、いくら家探しをしても食料は見当たらなかった。


「何をしてるんですかご主人様?」


「あぁ、沸騰させれば飲めるかもと思ったんだが、やっぱり無理そうだったんでな……蒸留してるんだ。」


井戸水を入れた鍋にもう1つの鍋を逆さまに重ね合わせ、上の部分をわずかに傾けて蒸気が冷えて水になって集まったところを竹筒を伝い、コップに入るようにした。最初に火打ち石で火をつけるのにかなり苦労したが、上出来だと言えよう。


「これで放置すればそのうち水はできるな……なぁインカム。お前火の番はできるか?消えそうになったら藁か小枝でも入れてくれればいいんだが。」


「ゴメンナサイッ!ボク……その……手足がついてないんデス!」


見た目からそんな気はしていたがどうにも使えないヤツだ……と崇英は思った。今の所空を飛んでるのと喋っているくらいしか特徴の無い四角い箱なわけだが、筐体の精霊とは一体何の役に立つのだろうか。


「そういえばお前、筐体の精霊だっていうけど一体何ができるんだ?」


疑問を口にすると、インカムはよくぞ聞いてくれたとばかりに目を輝かせた。物理的にモニターの表情的に見た目通りに。


「なんと、ボクを使うとゲームができるんデス!」


「は?」


「ご主人様の世界にあった古今東西の格闘ゲームがボクにはインストールされていますデス!」


「おお、そりゃすごいな!」


崇英は格ゲーキチガイだったのでその情報には素直に喜んだ。この状況ではあまり役に立ちそうもない能力ではあったが、電気文明の香りの無いこの世界では唯一、元の世界を感じさせるモノだったからだ。


「早速プレイなさいますか?」


「ああ、水が溜まるまで時間かかるしな。暇潰しに丁度いい。」


「わかりましたっ!変身!」


ドロローンという音がしたかと思うとインカムは発光し、大きくなった。それは白く、四角い、まさに鉄塊だった。


「まんまゲーム筐体だな……ってか椅子が無いぞ。まぁ膝立ちでもできるけどさ。あれ、これどうやってプレイするんだ?スタートボタン押しても始まらないけど。」


「あ、お金いれてください。」


「金取んのかよ!」

バトル展開は一体いつになることやらって感じですわ

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