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格闘ゲーマー、異世界へ。  作者: OTGY
第1章 試練編
4/11

異世界への旅立ち

BBCPやりすぎて筆が進みませんでした!

「さて、大体の説明は終わったね。そろそろ君には向こうの世界に行ってもらおうかな。」


ひとしきり説明を終えた神はそう言って崇英(あきひで)に旅立ちを促した。


「ちょっと待ってください。闘って稼いで来いというのはわかりましたが、俺はリアルファイトは経験ありませんですよ?」


崇英はゲーセン通いしか能の無い貧弱一般人である。徹夜でオフライン対戦会を遊び倒すくらいの体力はあるが、スポーツや筋トレ等には縁の無い人生を送ってきたのだ。格ゲーのトレーニングモードなら毎日やっているが。


「そこに関しては心配しなくていい。僕と繋がりを得て使徒となった君は”特別な力”を行使できるようになっている。あとは使い方次第だけど、君ならうまくやれると信じているよ。」


「特別な力…?」


「詳しい事は向こうの世界に用意した迎えが説明してくれるからね。では、君の旅の無事を僕はここで祈っているよ。行ってらっしゃい!」


崇英の周囲に光が立ち込める。

あまりの眩しさに目を塞ぐと、何か吸い込まれるような感覚があり、やがて光が収まった頃に目を恐る恐る開けると、そこは先程までの真っ白い空間ではなく、草と岩しかない広い平原だった。


「ここが異世界か…」


地平線まで視界の続く原っぱという大自然の景観はビルや家が隙間無く立ち並ぶ現代社会で暮らす崇英にとって新鮮な光景に映った。


「そうデスよご主人様!」


突然の声に崇英が振り返ると、そこには小さなテレビ、いやアーケードゲーム筐体のような物が空中に浮かんでいた。何気にモニターの部分に点と線だけで構成された表情と言えるような顔があるのが見て取れる。


「ようこそいらっしゃいましたご主人様!ワタクシ、契約によりこの世界でご案内を努めさせて頂きます2D格闘ゲームの精霊”インカム”と申します!コンゴトモヨロシクデス!」


点と線でニッコリと笑顔のような表情を浮かべたモニターが喋っている。奇異な光景ではあったが、神との対話もモニター越しで似たようなモノだったので崇英はもう慣れたものだった。


「あ、ああ。君が2D格ゲー神の言ってた迎えってヤツかな?こちらこそよろしく頼むよ。」


「ハイ!とりあえず色々ご説明がございますので、街に向かいながらお話ししますね。向こうの方向にまっすぐお進みください!」


そう言って箱は先導するように前を進み始めた。

あわてて崇英が後を追うと、インカムは崇英の歩調に合わせ速度を緩めて並び歩くと、この世界について語り始めた。


いわく、この世界の名前はハローワールドということ。

文明度は地球でいうところの中世レベルであること。

精霊と人間達が共存する世界であること。

精霊が人間を見定め、それに宿る事によって精霊の力を行使できること。

精霊は人間に力を貸し、人間はそれに感謝の心を抱くことで精霊の力が増すこと。

力を増した精霊はいつか神に召し抱えられ、神の世界に旅立っていくこと、そしてそれは精霊達にとって最大の栄誉であることなどだ。


「人間は精霊に感謝し、精霊は人間の心で成長する、か…なかなかほのぼのとした世界じゃないの。」


「そうでもないんデスよご主人様…精霊は万物より産まれますが、それに対して人間達の数が少なすぎるのデス…。人間達はその生い立ちや生き様などで波長の合った精霊としか契約できないんデスが、人間と契約できない野良精霊はその辺の虫とか魚とか生きてるものならもうなんでもいいやと契約する者が後を立たないのデス…。そしてそういったものは知能がありませんので、得られる力とかも微々たるものでして…。」


精霊の世界も就職難のようであった。


「ということは人間と契約できた精霊はエリート街道みたいなもんなのか?」


「そうデスね!契約してない精霊は目に見えないので誰からも認識してもらえない透明な状態デスが、そこかしこに存在して漂っていますよ?」


「マジか。それでインカム…だったっけか。前の主人とかはいたのか?」


「イ、インカムは2D格闘ゲームの精霊ですから…その…ご主人様がこの世界に来るまではまだ一度もご縁がありませんで…。というかこんな電気も無い時代に格ゲーがあるわけないじゃないデスか…格ゲー神様に産み出されてここに送り込まれてから20年…波長の合う人は誰もいないし、取り憑く動物達もおらずでやる事がなくて暇で死にそうだったのデス…」


どうやらインカムと契約できる人間が今までに誰一人としていなかったらしい。そりゃ中世に格ゲーはないわ。


そんな事を話しながら歩いてる内に数時間は経過しただろうか、崇英の歩調が段々と重くなってきた。


「なぁインカム、俺ちょっと疲れてきたんだが…一体街までどれくらいかかるんだ?腹も減ってきたしちょっと休憩したいんだが…。」


「え、ボク人間用のご飯とか持ってないデスよ…このペースでいくとあと丸一日はかかりますが…」


異世界生活初日、まず最初の苦難がやってきた。

(・∀・) インカムちゃんのAA

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