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格闘ゲーマー、異世界へ。  作者: OTGY
序章 旅立ち
3/11

俺のせいで世界がヤバい!

「2D格闘ゲーム神…!?」


神の告知に崇英(あきひで)は驚いた。

驚いたが、どこか納得いくものがあったのだ。

自身の刺された記憶と、目の前にある血に染まったゲーム筐体。そして頭の中に響く声である。


「そう。僕達”神”は君達人間の”想い”から産まれる存在でね。格闘ゲームの信者さん達の信仰によって産まれたのさ。まぁたった20年くらいの歴史しか持たない弱小の神なんだけどね。」


20歳という年齢は崇英よりも年下である。しかし自らを弱小と名乗る神は確かな存在として崇英の前に姿を顕現させていた。


「夢…じゃないんだよな?俺はなんでここに?」


「君に用事があるからだよ。」


神はそう言って背筋を正したような仕草を見せると(実際はモニター内の影のような薄暗い存在なので姿はよく見えないが、崇英にはそう見えた)ゲーム筐体に映像を流し始めた。


「君が死んだ後のテレビニュースの映像さ。何が起きてるかわかるかい?」


崇英が映像を覗き込むと、そこには「ゲームセンターで青年が刺殺」「暴力的なゲームが原因か?」「ゲームが成長期の精神に及ぼす悪影響」等のテロップが流れるのが見てとれた。


「端的に言おう。君のせいで世界は滅亡するんだ。」


「な、なんだってー!?」


思わずM○R的リアクションをとってしまう崇英だったが、そうでもせずにはその言葉を受け止められなかった。


「君の死を受けて世論が動き、法律が改正され、暴力的なゲームは若い子に悪影響を及ぼすといって規制が始まるんだ。表現の自由が狭められてクリエイター達は作品を作れなくなり、そして直接の原因となった2D格闘ゲームは衰退していく。」


「そ、それがどうして世界の滅亡に…?」


「僕は2D格闘ゲームの神と言ったよね?新しい2D格闘ゲームが産み出されなくなった事により、僕は人々の信仰を失い、いずれ力を失い消えていくだろう。つまりは”僕の世界”の滅亡だ。ここまで言えばわかるだろう?」


思ったより小規模な滅亡だった。だが滅亡する当人にとっては大事なのだ。

そして崇英は理解した。つまるところ自分のせいで2D格闘ゲームの歴史が途絶えるのだという事が。

崇英は許せなかった。自分の愛した、生涯を捧げたとも言える2D格闘ゲームが何より自身のせいで滅びてしまうという事が。

逡巡ののち、背筋を正して崇英は応える。


「すいません許してください!何でもしますから!」


「ん?今何でもするって言ったよね?」


そう言って崇英は神に全てを委ねた。聖人のように澄んだ眼差しからその覚悟が視える。

彼は立派な2D格ゲーの狂信者だった。迷いは無かった。決してホモなわけではない。申し訳ないが風評被害はNG。


「ありがとう。君ならそう言ってくれると思っていたよ。では、君には責任を取ってこの滅亡の未来を回避してもらいたい。」


「わかりました。何をすればいいですか?」


「具体的には君があのゲーセンで死ぬという因果を修正するために、神秘の力が必要なんだ。僕は前にも言ったように産まれて間もない弱小の部類の神だからね。自分だけでは力が足りないのさ。だからこれを集めてもらいたい。」


「神秘の力…ですか。」


「力を持つ者同士が競い合った時、世界から報酬が与えられる場所がある。君には得点、もしくはスコアと言った方が通じやすいかな?ちょっと変わった言い回しをすると残虐行為手当ってところだね。」


「スコアを稼げって事ですね。」


「簡単に言うとそうなるね。僕ら神々が信者の信仰によって成長する以外のやり方は、他の神々に罰せられたりするんだ。生贄を捧げて貰って魂を喰らったりとかね。それは悪魔の所業だ。僕みたいな弱小の神では簡単に罰せられて消滅させられてしまうだろう。だからこその君だ。僕の使徒である君がスコアを稼ぎ、それで得た力を僕に信仰によって捧げる。使徒として強くなった君の信仰が僕に直接影響を与える分には罰則は適応しないのさ。レート的には大体100のうち35くらいの上前をハネさせてもらう。」


「それってネツカ台の集金レートと同じですよね?」


ハードディスクを搭載し、店は昔ながらの基盤を購入したり載せ換えの必要なくソフトをメーカーからダウンロード購入し、プレイヤーも複数のゲームからやりたい物を選んでプレイできる新型筐体、それがネツカだ。但し1ゲームプレイする毎に店は35円くらいの通信料金を徴収される。

ちなみに50円ゲーセンでも手数料は同じであり、100円と比べて儲け率に約4倍の差がある。電気代だけで赤字になりかねないので50円ゲーセンでもネツカは100円という店も多いのだ。


余談になるが、ネツカ台には複数のゲームがインストールされているが、これにはちょっとした落とし穴がある。新作ゲームの稼働日にワクワクテカテカしてゲーセンに行ったらネツカ台を極悪非道のマイナーゲーム勢に占拠テロされてプレイできず濁ったりする事も稀によくある事なのだ。顔振勢(カオティックブレイカー絶対許さない。


「君が結果的にこのネツカ筐体に血を与えた事によって僕との繋がりができたから因果により集金額(ピンハネ率)もそうなったのさ。ちなみに消費税も適用されるからそこからさらに5%ってとこかな。大体残りの60%が君のモノとなる。最近税率が上がるような話が出てるからその時はまた取り分の相談をするよ。」


神の世界も租税があるようだった。

ゲーセンこぼれ話を無理にでも混ぜていく立ち回り

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