17、マスクに変身したよー。本当だよー。
ヒュー、ヒュー。
窓を開けて寝ていたみたいだ。今日は風が強いな。
今、朝の七時。なんで、僕がいつも家にいるかって? それは、預言者に変身して、宝くじ一億円当てたから僕は自由なのです。
窓の外を眺めます。
道行く人がチラホラと見えます。
「今日は皆、マスクをしているね。空気が乾燥しているからね。よし今日はマスクになろう」
僕は街へ出てうろついていると、お姉さんがお店を宣伝するチラシ入りのパッケージされたマスクを道行く人に配っていました。足元に大量のパッケージされたマスクがダンボールに入っています。
ピッカピカー。
僕はマスクに変身し、そのマスクがたくさん鎮座するダンボールに紛れました。
ほどなくして、僕はお姉さんによって20代前半とおぼしき男性に配られました。
すぐに僕は装着されます。
「このマスク、フィット感、抜群」
気に入ってくれたようです。
さあ、今日はどんな出来事が起きるかな? 僕が期待を寄せていると訪問者が現れました。
「ねえ、ここ通らせてよ」
「君、誰?」
「僕? 僕、埃」
「だめ、だって僕はマスクだもん。空気とかは除いて誰も通らせないよ」
僕がお断りすると埃は今来た道を帰って行きました。
すぐにまた、訪問者が現れました。
「ここ、通ってもいいでしょ」
「君、誰?」
「僕? 僕花粉」
「だめ、誰も通さないよ」
花粉もすぐに諦め他の場所へ飛んで行きました。
懲りずにまた、訪問者です。
「ここ、通らせて」
「誰であろうと、だめなんだよ」
マスクの僕がそう言うと、その子は泣き出しました。
「僕、本当にマスクの先に用があるんだよ。僕はここを通らないと死んじゃうんだよ。お願い通して」
僕はその切実な願いに、通してあげることにしました。
僕はその子が通る際、名前を聞きました。
「君の名前は何だい?」
「僕? 僕インフルエンザウイルス」
「じゃあ、この先の旅を頑張ってね」
僕はエールを送りました。
「うん、この先の長い旅、僕頑張るよ」
そう言って、マスクである僕を通り口の中に入って行きました。
何日かして、僕を装着している男の人が体調を崩し熱を出し、しばらく寝込んでしまったので、僕は男の人が眠っている時に変身を解き、家へ帰ることにしました。
今回もいろんな出会い、別れがあったな。
僕は擬態できる虫に変身し、感慨にふけりながら葉っぱに擬態し眠りました。




