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#1
時間は緩やかに流れる。
また一枚カレンダーを捲り、小さく息をもらした。
そうだ。泉純さん元気かな……。
彼女の方も、あれから音沙汰無し。仕事で忙しいと思うので、何となくこちらから連絡するのを躊躇ってしまった。でもいつも謎の焦燥に駆られて、彼女の存在を想起させる。
意を決してスマホを取り出した。アドレス帳を開いて名前を探す。元村だから、ま行の一番最後……。
画面をスクロールしたその時、前方に影が見えた。
大きくはない。むしろかなり小さい。地面に屈むようにして、誰かが蹲っていた。
人通りもない夜遅くだ。スマホを仕舞い、慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
柵を片手で掴み、腹部を押さえている。若い女性だとすぐに分かったが、その顔を見て驚いた。
「あなたは……」
思わず頭の中が空っぽになるが、女性が苦しそうに呻いたことで我に返った。
「いたた……」
「どうしました?」
何だろう。発作か何かか、まさか通り魔に刺されたとか?
焦りのせいで少々突飛な推測ばかり浮かんでしまう。ところが、女性が言ったひと言で全てを悟った。
「……じ、陣痛が始まっちゃって」




