第二の人生の始まり
「おねえちゃん!お腹すいたぁ〜!」
「あはは、ゆり、それいつも言ってるじゃん。」
「そんなことないよ。罰としてコンビニでなんか奢ってよね」
「まったく、手がかかる妹だなぁ。」
『信号が、青に変わりました』
妹が走り出す。
その瞬間、信号無視のトラックが飛び出す。
キキィィィーーーーーーーーーーーーーー!
「ゆり!」
ドォンッ!
「おねぇ…ちゃん…、イ、イヤァァァ!」
…うるさいなぁ。頭に響く。
「いや、おねぇちゃん、おねぇちぁゃん!」
(ゆり、、、)
***
「んんっ、ふぁぁ、」
(知らない天井、病院?助かったのかな?)
「ん?…いや、ここどこ?」
目を開けた瞬間、視界に入ったのは白い天蓋。
ふわふわのカーテン。
見たこともない装飾。
金の装飾がされた柱。
(ここ、絶対病院じゃないよね?)
起きあがろうとした時、違和感に気づく。
ーー体が、小さい?
(……えっ?)
今視界に映っている手を『グーパーグーパー』する。
その手は、明らかに幼い子のもちっとした手である。
はねられたことで幻覚を見ているの?
だけど間違いなく自分の手。
「お嬢様、お目覚めですか?」
扉の向こうから、誰かの声が聞こえた。
(お嬢様?)
「失礼します。お嬢様、おはようございます。」
はっと顔を上げる。
扉が開き、見知らぬ女性が入ってくる。
「え、えぇ……おはよう。あ、あの、ど、どなたですか?」
その瞬間、女性は目を見開いた。
「ロゼッタでございます。どうなさったのですか、レイファお嬢様?」
(えっ…うそ、でしょ。)
「あ、ご、ごめんなさいロゼッタ。少し寝ぼけていたみたい」
「そうでしたか。体調が優れないようでしたら、すぐお申しつけくださいませ。レイファお嬢様。」
ロゼッタは一礼すると、着替えを取りに部屋を出た。
(まって……嘘でしょ。私、レイファに…なってる?)
***
私は日本で暮らしていた、ごく普通の会社員――山中こはね、25歳。
……表向きは。
その実態は。
重度の乙女ゲームオタク。
中でも人生を捧げていたのが
『今日も美しい姫君様』――通称『今日姫』。
円盤?全巻持ってる。
限定ドラマCD?保存用・鑑賞用・布教用所有。
推しのルート?暗唱できる。
(いや待って。ここ、天蓋ベッドじゃない??)
ヒロインはリリナ・クローネ、15歳。
可愛くて、優しくて、純粋で、ちょっと天然なところが尊い。
リリナは聖女で最終的には五人の攻略者と一緒に魔王を倒して王子と結ばれる。
そしてリリナには双子の姉レイファ・クローネがいる。
レイファは冷静沈着、美貌完璧、そしてこの世界で断罪される悪役令嬢である。
でも、確かレイファ見かけによらず、メンタルがボロボロだったはずなんだよね。
元々レイファは本当は心優しい女の子なんだけど、色々と裏で陰口を叩かれてたり差別的なことを言われて、心を孤独と寂しさで埋め尽くしちゃうのよね。
それに、悪役令嬢とかいうけど本当はある事件がきっかけなのよ。
確かあるパーティーでレイファが誰かの足に引っかかって、自分の持っていた飲み物がリリナのドレスにかかってしまったことで、周りの人たちがレイファを悪者扱いしたことがきっかけなのよね。
そして、そのパーティー事件で最愛の妹も自分のことがいらない存在だと思い込んで、レイファは壊れちゃったの。
だから、レイファはリリナを避け始めて冷たく接し始め、それが積み重なって断罪ルートに入って死ぬ。
流石に可哀想すぎない?
ほんと、全部周りの人たちが誤解したのが悪いのに。
…でも何よりも私が好きだったのが…
筆頭魔術師、ルーカス。
私の最推し。最愛。至高。
紺色の髪、知性枠。理論派。感情希薄に見せかけて激重。
あの告白。
「君を失うくらいなら、世界などどうでもいい」
(無理無理無理無理無理尊死。)
でもレイファの断罪ルートでは。
王子の隣で、冷たい目で魔法陣展開。
((自分=レイファ=断罪))
(推しに処刑されるとか聞いてないんですけど!!)
でもそんなことよりも、現世で私死んじゃったってことだよね?
あの子のためなら全然いいんだけど、あの子大丈夫かな?
今頃、メソメソ泣いてそうだなぁ〜。
まぁ、過ぎたことを考えても仕方ないし、この世界で断罪ルートを回避しないとだよね。
どうしたものか。あっ、でも今3歳だったはずだからまだやり直しが効くじゃない!
よぉぉし、絶対断罪ルートには入らないぞ!!
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初めまして、まかろん8507です。 『断罪予定の悪役令嬢なんですが、ヒロインが前世の妹でした。しかも筆頭魔術師に溺愛されています。』を読んでくださりありがとうございます。不器用ながら書いた小説ですのでおかしな点や、誤字もあるかもしれません。そんな時は、遠慮なく教えてください!その都度、改善していきます!!レイファちゃんの人生を暖かい目で見守ってください。




