お葬式(美樹視点)
家に帰ると両親に怒られた。
どうして塾からまっすぐ帰ってこなかったのか、どこへいっていたのかと。
私が泣き腫らした顔に、泥だらけで百合の遺書が入ったビニール袋を握りしめているのに気づくと、2人は怒るのをやめて事情を聞いて来た。
学校を長い間休む時に説明していたから、私と百合がいじめられているのを知っている。
だから素直にメールのことから遺書までのことを全て話した。
幽霊は信じない両親だが、証拠として百合の遺書を持っている事と百合のお母さんが眠ってしまっている事を伝えて、見に行ってもらうと百合のお母さんはようやく目覚めたところだった。
幽霊はまだ半信半疑らしい。
父は百合の両親に百合の死を伝え、母は私に付き添ってくれた。
遺書はまだ開けていない。
私たちみんな、心に余裕が持てなかったから。
土日は私たち家族と百合の家族で過ごした。
金曜日の夜のうちに既に百合の死体の捜索願いを出していたらしく、日曜の夕方ごろに見つけたと連絡が入った。
その日のうちに二つの家族と百合の親族だけでお葬式をした。
百合の顔を見ることはできなかった。
(でも、そろそろちゃんと向き合わなきゃだよね…)
——美樹は百合の遺書を読むことを決めた