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百合のこと

——百合は少し独特な子だった。

好きなものを隠さずに好きと言い、学校でもいわゆる推し活をしてた。

推しのことになると少しだけ声が大きくなることはあった。

でも、決して明るい子だったわけではなくて、どちらかと言えば隠キャに分類される方だった。

彼女が私に合うと勧めてくれた漫画やアニメは私にピッタリで、ハマった私は一緒に推し活をしたりもした。

楽しそうに話してくれるのが嬉しかったし、楽しかった。

それを周りはどう受け取っていたのだろうか。

うるさかったのか、妬ましかったのか。

最初はコソコソとこちらを見て話し、あざ笑うような女子が増えた。

気にはなってたけど、わざと気づかないフリをしていた。

それがまた女子を不快にさせたのか、どんどんエスカレートしていった。

ありもしないことを先生に言いふらし、私たちは意味が分からないことで怒られることが少しずつ増えた。

段々と先生の印象が悪くなっていく私たちに機嫌が良くなったのだろう。

階段の上から水をかけられたり、靴箱に見たくもない嫌なものが詰め込まれていたり。

漫画のいじめのようなことが本当に起こっていった。


最初に耐えられなくなったのは、私だった。

学校なんて単語を聞きたくもないくらい。

休むと決めた時、1人で過ごす百合に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

百合は「気にしないで、ゆっくり休んで」と言い、毎日電話もしてくれた。

2週間ほど休むと少しはマシになったから、学校へ行くようにもなった。

でもその時には私へのいじめは消えて、百合だけが過度ないじめを受けていた。

私をいじめていた女子は何事もなかったかのように私に笑う。

(気持ち悪い)

私は自分へのいじめが無くなっても、百合とは一緒にいた。

大切な親友だから、失いたくなかった。

そして、私はまたいじめのターゲットにされた。

また2人でいじめられることになった。


それぞれの担任にいじめを訴えたが、すでに先生達からの信用がなくなっていた私達の声は耳に入れてもらえなかった。

代わりに私達をいじめる女子達の評価が上がっていった。

そこで百合の我慢の糸が切れたのだろう。学校へ来なくなってしまった。

そして、先週の金曜日。

百合が自殺する直前に一本だけ電話があった。

でも、私は塾があって電話に出られなかった。

代わりにメールが一件だけ入っていた。

『ごめんね、もう耐えられない。でも、美樹だけは私が絶対守るからね』

メールを読んだ時、ものすごく嫌な予感がした。

それでも塾を途中退出なんかすれば、親から何を言われるかわからない。

だから遅くはなるけど、と私は塾が終わってからすぐに百合の家へ走った。

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