表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

或る令嬢の願い事 中編

わたくしの通う魔法学院は魔女様もご存知の通りそれぞれの属性の名門の子息子女は勿論、魔法が扱えるならば身分関係なく籍を置く事ができます。

学院内はより優秀な宮廷魔導士を育成する目的のもと実力至上主義ですので、身分を原因に貶める不届き者は爵位関係無く除籍処分が下されます。

わたくしの家の者が代々学院に在籍する理由の半分はこういった学院生としての本分を忘れてしまった愚か者を粛清する為でもございますの。

加えて名門だからと慢心しているのならば無名の家の者が台頭する可能性などいくらでもございます。

王族の方々も視察にいらっしゃいますし、皆日々己を磨く事を怠ることはありません。


わたくしはその中でも、他属性の中でも使い手は希少だとされる光属性の使い手でいらっしゃる平民のニーナさんと、光属性の名門であるリュミエール侯爵家のジゼル嬢に注目しておりました。

ニーナさんは礼儀正しく勤勉な方で、休み時間でも常に勉学に励んでいらっしゃいます。実技でも疑問に思う点が少しでもあればすぐ先生に質問をされてますし、わたくしは彼女の真面目さと学習意欲を好ましく思っております。

ジゼル嬢は自他共に厳しい方ですが清廉潔白な方で理不尽な事はおっしゃいませんし、同じ光属性魔法を扱うニーナさんを気にかけていらっしゃいます。

ニーナさんもジゼル嬢を慕っていらして、よくお二人で行動している姿を見かけます。

あの厳しいジゼル嬢がニーナさんにだけは笑顔をお見せになられるのです。


ああ!なんと尊く美しい光りに満ちたお二人なのでしょう!わたくしはニーナさんとジゼル嬢を視界に映す度に心の奥から湧き上がる激しい感情を抑えきる事が出来ず、最近では手記に認めておりますの!


わたくしの学院生活はこのお二人のおかげで満たされていると言っても過言ではありませんわ。




ですが、ここ数日ジゼル嬢の様子が明らかにおかしいのです。

おかしくなった起点となる日、急にジゼル嬢が倒れられまして、結果としては勉強に打ち込み過ぎたが故に寝不足であるとの事だったのですが。

この日を境にニーナさんを遠ざけるような事をしたり、他の名門の子息の方々にすり寄るような行動を取られたり。

ジゼル嬢は潔癖な面があるお方ですから、殿方に対して距離を詰め過ぎるなどはしたない事は一切なさらないのです。

ましてやあれだけ仲の良いニーナさんを邪険に扱うなどありえません。

皆様子がおかしいと思いつつも成す術が無く、歯がゆい思いをしておりました。


わたくしは家の書庫で文献が何か無いか読み漁り、その中に本来の魂とは別の魂が絡みつく事があるとの一文を目にしました。

眉唾だとは思いましたが決めつけて実行しないより行動してみるしかないと、わたくしはジゼル嬢に気付かれぬよう髪の毛を拝借して闇魔法の儀式に使うヒトガタに巻き付けて調べてみました。


すると、ジゼル嬢とは全く別の魂の気配を感じ取ったのです。

何とか引きはがせないものかと試行錯誤しましたが、ジゼル嬢の魂を少しでも傷つけるような事があれば最悪彼女は命を落としてしまいます。

この国にそのような高等な魔法が使えるのは最早魔女様しかいらっしゃらないと結論付け、今に至るのでございます。










話の途中で出された魔女の使い魔お手製のお茶とお菓子を口に運びながら、レティは詳細を話し終えた。

魔女はその金色の瞳でレティを見据える。


「事の詳細はわかった。……で、あんたはいつまで()()()を通してあたしと喋る気なんだい?」


魔女にそう指摘され、レティはびしりと固まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ