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「いきなりの急展開に閉口するだろうから」
――――――
とある敵国の中心に囲まれた王国は、新しい花嫁を迎え入れました。
その花嫁は本来のお姫様を退かせて、王女の地位に座ったのです。
王子の愛に包まれ、沢山の人に愛された可愛らしい少女は正しく王国の花でした。
王女を愛した無数の人々。
哀しい『怪物』の胡桃割り人形。
狂った『傑物』の鏡の国の双子。
愛しい『魔物』の劇場のオペラ。
怪しい『化物』の群青紺碧の空。
寂しい『異物』のオートマトン。
王国の花に至る前に王女と逢瀬を重ねていた人々の愛憎が渦巻き、
やがて王国は王女を取り合う伏魔殿となって、
いつしか栄えた輝かしい国は、滅び去ったのです。
それも全て――王女が一途な愛を通さなかったがゆえの悲劇でした。