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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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なんでもエルって付けりゃぁ良いってもんじゃないよ!

 脈拍つ血管の壁が治療されていく中、その背後に見えた巨大な肉の山。

小山のような影が激しく上下し、勇者達が立つ血管の血液を吸い上げては吐き出していた。


[心臓]それは体内の中心にあり、人間が死ぬまでの間、止る事の無い筋肉の塊である。身体の中では最も丈夫で堅い筋肉で覆われ、そこには常に血液と酸素を供給する血管と、心臓を刺激し心拍を作り出す神経が繋がっている・・はずだった。


「ん、もう!勇者さま?どうしてもと言うなら、大幅なレベルアップをする方法を御教えしますよ?そうすれば強力な魔力も筋力も簡単に手に入ります・・・どうです?」


少し落ち込んでいたオレを励ますように、悪魔が囁[ささや]く。


「金属スライムを狩り続けてレベルを上げるってなら御免だからな、あんなのに意味は無い」

ただのレベル上昇に意味は無い、時折聞こえる『勇者はレベルが上がった!』ってヤツにどれ程の意味があるんだ?


(神ってヤツが魔物の強さ・起こした悪事・悪行に応じて数値を付け、倒し・狩ることで一定数の数値を奉納?とかする事で身体を生物的にレベルアップするってのも・・気持ち悪いんだよ、オレは、なんか知らない間に改造されてるみたいで)


「むふふふふっ、そんなスライムを探して倒すなんて面倒くさい事。もっと簡単な方法ですよ・・それは!」

 ヤールはオレに顔を近づけ、口を尖らせた。(貴様!何をする!)


「口移しで私の魔力・経験値を勇者様に注ぐのデス!さあ抵抗しないで下さい!」

「抵抗するわ!」絶対ウソだろ!


 なんで口移しなんだ?なんでだよ!欺されないぞ!

 どこの世界に口移しで経験値とか魔力を渡すヤツがいるんだよ!

 この悪魔、絶対変な事目的に決まってる!解るんだからな!


「!・・・ああ、この場に[信じる心」が有れば信じて貰えるのに!」


・・・・オレは信じないぞ?

「ちなみに・・・どうやって信じさせるんだよ、そんなデマ情報」


「信じる心の前にロウソクの火を灯して・・」

 催眠術かよ!その下り、もうやったからな!

『信じて下さい・・そう信じるんデス・・』


 もういい!それよりも「・・なんだ、アレは」


 心臓に絡み付く巨大なナニカ。蛇の身体とムカデの足で心臓に絡み付き、その頭の部分は上部の血管に噛み付いて血液をすすっていた。


 神聖?そんなモノにはけっして見えない化物じゃないか、いいや・化け物に決まっている。

(そんで、アレが核なのか?)引き剥がしてしまえばいいのか?


「・・何者だ」

 勇者の[照明]に照らされた怪物が首を上げ、オレ達の存在を面倒くさそうに確認して心臓に絡み着く体を動かし顔を近づけて来た。


「お前こそ何者だよ、他人の心臓に寄生する線虫かナニカか?」

 吸血蛭とかか?寄生虫が人間の言葉を話すなんて聞いた事も無いが。


「お前は・・人間か?珍しい、こんな所で人間に出会うとはな。・・教会の人間か、オレに何か用か?」


 オレの言葉に答えるつもりは無いらしいが・・・

「そうだ、お前にはこの心臓を縛るのを止めて、早々にこの身体から出ていって欲しいんだ」

たとえ怪物でも、こちらの用事を聞くなら戦う必要が無いんだ。

 

「・・オレに心臓から離れろと・・お前は何者だ、オレに心臓を解き放てと言うお前は何者だ・・・オレを作った者か?オレを・・オレを天使にした人間が、なぜ異なる命令をする?何者だお前は!」


 会話が通じているようで、通じてない。戦うしかないか・・

それに、戦って倒せば解決するのか?


「ええ、戦って滅ぼすしかありませんよね?だってアレ、作られて間も無い人造天使のようですし、知能の方も単純な・・制作者の命令しか理解出来ないようですし・・


 フフッ、人間が神の言葉しか聞く事の無い、愚かな神の走狗を・・天使を作るなんて・・おかしいほどに愚かな事ですよね?」


 ヒトが祈る為に作られた偶像、本来目には見えないはずの神秘を形にした物が教会に立つ神様の姿だ。


『人間は弱いですからね、ハッキリと目に見える姿が無いと、心にある神様に祈る事を怠ってしまうのです。だから』

教会は神様のシンボル[象徴]を掲げ、神様の像を建てるのだと・・神学の先生に聞いた・・と思う。


「人間は・・教会は偶像を作って祈るのが好きなんだよ」多分な。

 悪魔は人間の行為がおかしいと笑う、でもな・おれは人間が弱い事を知っているから・・


(まぁでも)

「本物の天使じゃないなら、作られた物なら叩き殺しても問題ないよな」

 勇者はオオバサミを二つに分け、二刀の鋼刃を左右に握る。


「人間!ガギヱル様に刃を向けるのか?神の使いに牙を剥くのか!」

 勇者の戦闘態勢に蛇のような鎌首を上げ、いくつもの足をガチガチと鳴らした。


「!!ガギヱル!合成した生物に[ヱル]を付けて名付ける事で人工天使にするなんて!なんて馬鹿馬鹿しい!天使をここまで馬鹿にした神の使徒がいるなんて!この世界はなんて愉快なんでしょうか!ねえ!勇者様、楽しいじゃありませんか!」


[ヱル]と名付けて、使い魔を天使として人々の信仰を与える。言霊と呼ばれる[呪]に近い術らしいが、それって神・・天使への冒涜じゃないか?。


([名は体を表す]って言うからな、それに・・使い魔か。命令を聞くだけの生きた機械だと思えばいいんだよな・・アイツらとは違うんだよな?)


 考えるな、少し話しただけで情を移すな。

ガキヱルが身体をくねらせて立上がり、押しつぶすように突進して来た。


悪魔の名前の自由さに比べて、天使ってなんでエルって名前が多いんですかねぇ。

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