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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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砂漠の料理は変わっている。

「ああ!そうですね、私の食べた物では・・獣肉で[甘い豆の潰した物]を挟んで揚げた・・アン・・なんとかでしたか?不思議な味でしたよ」


 ・・ああ砕き肉で固形乳製品を挟み、さらに固形乳製品で包んで揚げたやつ、とかな。『なんでも揚げたらカロリーゼロ!』とか言って揚げようとするのは止めてほしい。


「・・団子・・甘い団子を揚げたやつ・・うう」甘い・油・軽く振った塩と赤くて辛い粉・・うう思い出してしまった。


[お叱り]で頭痛が痛いし、思い出して吐き気がする。本当に邪神の・・うう


「駄目です!可愛らしい女神様に叛意のような事を考えては!頭が『ボン!』ってなりますよ!」


 そう、その女神様ってのは、天に唾する事を許さない。天誅・天罰、きっちりと殺しにかかる・・本当に恐ろしい女神様なんだ。

(ふー・・恐れ・恐縮し・怯える事は許されているからな・・)


 頭痛は警告、酔っ払いでも頭痛が始まれば口を閉ざす。

 阿呆だけだ、頭が吹っ飛んだヤツは・・別に死なないが、記憶とか味覚とか嗅覚とかの感覚がおかしくなるだけ。


「お陰であの・・不思議食料が『めちゃ美味い!良い匂いだ!』とか言い出すんだが」 

そして本物の信者に[生まれ変わって]しまう、なんて恐ろしい話だろうか。


 パチッ・パチッ・・・

「お互いカドの取り合いですね・・」

「ああ、ホフメン。そっちもかなりやりこんでいるなぁ・・」


 痛みを忘れる雑談と、リバース。頭を使い、口で会話を楽しむ・・何だか久し振りにゆったりした時間だ。


 勇者が二敗した所で仰向けになった、降参の合図で腹を見せると(何やっているんですか?)見たいな顔でピョートルが覗きこんできた。


「・・寝る」

「では、ピョートルさん。私とリバースしませんか?」


「・・少しだけなら」ピョートルがホフメンとリバースを始め、スラヲが勇者の腹に乗る・・少しだけ冷たく感じるのは、スライムの放射冷却だろうか?


・・寒い、腹が冷える・・

 体温を奪う液体生物をどかし、馬車の外に目を向けた。

暑さは最大、空気もカラッカラ。馬車を写す影だけが伸び始め、あとしばらくの我慢だと言っていた。


「・・あと数刻で日暮れか・・」眩しく照り返す砂の上をドスッ・ドスッと歩むゴラムは疲れを知らないように歩き続けていた。


「大丈夫か~~」頼りになる仲間の背中に声をかける。


「問題無い」短く返すゴラムは本当に問題の無いように、ペースを落とさない。


「二度ほど戦闘になりましたが、ゴラムさんの投砂と私の槍で何とかなりましたよ」

 と言う事は、ピョートル・・スラヲは出られなかったか。


「砂が焼けているんだ、無理は必要ない」

 少し落ち込んでいるようなピョートルと、全く気にしてない感じのスラヲに声をかけ・・スラヲをピョートルの横に置く。


「その代わり、日が落ちたらしっかり戦えばいい」昼の戦闘はホフメン・夜の戦闘はピョートル。交代で戦い、休めば体力的にも安全に戦えるだろう。


 それより・・やってみたい事があったんだ。

「気分を変えるぞ!」・・・・

『゛オ゛オ゛オ゛オ!!!!掛って来い・や!!!』


 勇者が叫び、[なに?!]見たいな顔で仲間に見られる。


 声に驚き、砂から飛び出したのはカニとサソリ鎧と巨大ミミズ。

「良し!カニとミミズ、お前達は逃がさん!」

 ホフメン・ゴラム!殺るぞ!


カニの腕を両断し、巨大ミミズを輪切り、サソリ鎧を斬り飛ばして・・・

「カニは回収だ、ミミズも、鎧は・・いらないや、捨て置こうか」


・・・・


「さて、ここに取り出したる鉄の板。そこに種油を塗りまして・・ゴラム君、手を出してくれ・・」


 ゴラムの手の平に鉄の板を置いてしばらく待つ・・塩の用意は十分か?では!

 砂漠の熱と太陽で、十分に温まったゴラムの身体は近づくだけで熱い。

ならば、そこに鉄の板を置けば・・


 じゅ~~~~、蟹が!緑の蟹が赤く焼ける。


「熱い熱い熱い!勇・熱い・止めてくれ」

 ゴラムが声を上げ、鉄板を落とそうとした!


「熱いのはゴラムの身体だ!落とすんじゃ無い!」

「・・・・・」


「あ・・本当・・だ・・?」

 ゴラムが不思議な・・今までに無い顔をして軽く混乱しているようだった。


 いやホント、熱いのはゴーレムの身体だからね。一度焼けたゴーレムの身体で蟹を焼いて見たかったんだ。ほら・・美味しそうに焼けてるよ?


 仲間達が変な目で見てくるぞ?おかしいな、空気を変えるつもりが、おかしな空気が入ってきたようだね。


「蟹の身は身体を冷やすって言うだろ?それに・・ミミズ肉は珍味だって、味は良いはずだよ」


 小さいミミズは良い出汁がでる、良く泥を抜き・料理すれば味の詰ったジャーキーのような風味ある・・らしい。


「・・ゴラムさん、すいません。こんな勇さんで・・」

そう言いながらピョートルが蟹を掴み・・口に入れた。


「スラヲも食べなさい、蟹は美味しい・・カニは・・美味しいですよ」

相棒の言葉でスラヲが手?を伸ばし、蟹を取り込んだ。そして跳ねた!


 ほら!やっぱり美味いんじゃん!塩もかけて食べろよ!あと酒も少しくらいなら飲め!蟹も肉?も[呼べば、向こうからやって来るんだ]うーばーってやつだ!


 手の熱が落ちた所でゴラムには寝転んでもらい、腹に鉄板を置く。

(なんだよ、『もう・・好きにして下さい』みたいな顔は、お前も蟹を食え!) 


「以外と・・ミミズは・・アレだな」堅い、良く洗った方がいいんだが、水が勿体ないから・・少し臭かったな。


 最後に丸芋を輪切りにして鉄板に乗せ焼き、果実酒をかけて香りを加える。


「・・なんでしょうね・・ユウさんは、変なのか・・料理が上手いのか・・私の目に疑問ばかりが・・」

 とか言いながら、ちゃっかり食ってるホフメン。良いじゃ無いか、砂漠の今しか出来ない料理なんだぞ!



まったり時間を楽しむ勇者たち。

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