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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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砂漠の流星。

拳聖直伝とヤツは言った、ただの武闘家では無いのか?コイツは一体?


「砂漠に流星有りといわれた拳聖椰子与様、その家に代々伝わる砂上の足運び。そして砂の上にあっても威力を落とす事の無い拳。[流砂功]砂の地でなお加速する拳打に反応など、お前程度の偽物には無理と言う物だ」


 砂地で威力が上がる技だと?


(たしかに鎧より、動き安い武闘着といい・身の軽さといい・武道家は砂漠に強い職業だとは思うが)


「やしよ・・様?」


誰だ?剣士・剣豪・剣聖・剣神、色々な人間がそう呼ばれて来たが、その人間も多分どこかで拳聖と呼ばれた人物なのだろうか。


「その昔、この砂漠の地では鉄の武器・防具は重く、熱く、人間には戦う武器が少なかった。

 だから人々はより軽く、より動き安い姿で魔物と戦うしかなかったのだ。


 そうした武の中より生み出されたのが[流砂功]だ。その中でも最も強く、数多くの魔物を倒したとその人こそが、我が拳の祖、砂漠に在れば魔王すら屠る。そうまで言われ伝わる砂漠の英雄、拳聖椰子与様だ」


・・・砂漠、砂地の英雄か、ここで戦うのは不利だが・・


「貴様、何がそんなに珍しい。この髪が、目がそんなに珍しいか」 

なぜか、より怒りを増した武闘家が滑るような足運びで走り、流れるような拳を振るう。


(髪?目?珍しいのか?)それよりオレは、その技の方に目が行く。

・・というより、目を離せば背骨まで響く拳で殴られる。


「いや、別に。珍しいのはその技だ、砂地以外でも使えるなら是非とも教えて欲しいと思ってな」


 地形に対応して速度を増すとか・足の踏ん張りが出来るなら、攻撃も回避も有利に動ける。有利に動け・戦えるなら、生き伸びる事も逃げる事もしやすくなるだろう。


「・・どうかな、偽勇者の言葉など私は信じないぞ。どうせお前も心の中では気味が悪いと思っているはずだ。そうだろう?ヤツらと同じだ」


 素早い動きからの水平蹴り、拳の動きに注意していたオレの体を腕ごと蹴り飛ばし、堪えようとした足が砂沈む。


(蹴りもあるのかよ・・それに)

「さっきからオレだけを狙って無いか?魔物を倒すんじゃないのかよ!」

ずるいぞ!ピョートルはガードを固めてるのに、オレばっかり狙って!


「魔物は後でも倒せる。今はお前を殺し、死体を教会に持ち帰るの事が最優先だ!」


 倒して連れ帰るとか言ってたのに、いつから殺す事に決めたんだよ!


「pー魔法を当てられるか?こっちは攻撃が速過ぎて受けるだけで余裕がない!」

なんとか無力化して逃げる隙を作らないと。


(こっちは砂地で足を取られて動き難いっていうのに)


「すみません、私の魔法もあたりそうにないです!」

[爆破]なら衝撃くらいは与えられそうですが、と。その結果、砂を巻き上げ敵が有利になる事も考えての答えだな。


(それに魔法を唱え始めようとしたら、確実に止めにくるだろうな・・・よし)

「[爆破]を頼む、守りはオレがする。いつもと逆だが詠唱中の心配はするな」


 怯ませる事ができれば、成功だ。ヤツの武装は薄い、ジワジワと体力を奪ってやる。


・・・ピョートルが集中を始め、その動きに合わせてヤツの攻撃がオレから相棒の向かう。

(よし!計算通り!)


 二つの刃を重ね、×を体の正面に作って前にでる。

盾では無く、刃の守りで敵の攻撃を撃ち返す。


 一つ!二つ!、三つ、連続の拳を剣の刃で弾き、隙があればこちらの片刃を突き出す。

(なんだコイツ!剣の刃が恐く無いのか?)


  真正面から突っ込み、目の前で拳と剣が打ち合い火花が散る。

 手の甲に薄い鉄のを付けただけの手甲、その手で剣を受け流し、弾き・払い落とす。


(目が良いとかそんな物じゃない、なんだこの反射神経は!)

 剣を持って逆に追い詰められている。やつのインファイトと距離を詰める早さでオレとの距離が近い、近ぎて相棒が魔法を撃てないでいる!


「pー後に跳びながら[爆破]しろ!オレを巻き込んでいい!」

こっちはヤツが近すぎて、動けない!


[爆破]魔力が集中し、爆破の光りが目に写る。オレが背後に跳んで逃げようとしたその時、オレの武器を持つ手に重みが加わった。


?(コイツ!オレのハサミを掴んでやがる!)

 衝撃!爆破の衝撃が体を打ち、爆音が耳をつんざく。

くそっ、耳が!


(イカレてるのか?相打ちを狙いやがった!)

オレが耳鳴りで一瞬耳を押さえた瞬間、胸と腹が吹き飛ばされる。

!?バサミを掴んでの跳び蹴り!


 ハサミの持ち手が、輪のようになっていなければ武器を奪われていた。そういう技なのか!?

どれだけ訓練すればそんな戦い方ができるんだよ!


「魔法相手の戦いも当然やっている、舐めるな偽者!」

自らもダメージを負い、さらに追撃で跳び蹴りをくれて得意満面。なにがそんなに嬉しいんだよ!


(・・でもな、ダメージ覚悟ならこっちも慣れてるんだよ!)

「[爆破]を続けろ相棒!ダメージは向こうにもある、根性勝負ならこっちにも分があるはずだ!」


 口ではそう言ったが本当の所は防具を新調し、武闘着相手なら守備力もこっちが上。ダメージを負う覚悟で耐える勝負なら、こっちに勝ち目がある。

 根性勝負?そんな曖昧な計算で命を賭けられるか!


 片手のハサミを腰にしまい、武器を盗られないように強く握る。左の丸盾を胸の前で構えて防御力勝負に切り替えた。


[爆破]二人の間に衝撃が走り、爆音を振動が骨に響く。

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