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匂いの強い花と、堆肥の臭いで隠している地下には何がある?

 毒消しが、はたして酒の酔いを覚ますのか、それとも別の何かがあるのかは解らない。

(それでも、一応・・飲んどくか)・・・飲んどきます。


「勇!?・・ジョンさん、一体?」

オレは自分の口にひとさし指を当て、[静かに]とジェスチャーを取りながら

「なんでも無い、上等の酒で酔っ払っただけだ」と


 変わりに手でふところを押さえ、ゆっくりと毒消しを取り出して砕き、口の中で噛むように苦い種やら茎を飲み込んでいく。


「そっちはどうだった?ちゃんと肉は出たか?」

今度はベットを整え、シーツを丸め、人が寝ている様な形を作って毛布を被せる。


「え?ええ、ちゃんと焼けた肉でした。すら・・いむ、も野菜を戴きました」

 不思議そうな返事だが、何となく察したように周囲を見張る。


 壁・天井・床・ベットの置かれた壁をトントンと指差し、その指を耳に向ける。

(盗聴されている、多分な)


「そうですか、それは・・良いお酒だったんですね」

 ピョートルは喋りはそのままに頷き、武器を握った。


「ああ、明日朝には館を出るから、良いベットで寝られるのも今日だけだ。ぐっすりと寝ることにするよ・・ああ、酔いが良い感じだ・・そうそう、一応武器の手入れも忘れ無いように・・ああクソ・・眠い・・」


 オレは窓にゆびを指し、両手で開くジェスチャーをして、相棒にはベットを差した。

「夜中トイレに行くかも知れないから、扉の開く音がしても寝ていていいぞ」

(大きな音がしたら、来てくれよ?)


「ハイ、寝ていればいいですね?」無言でうなずくように返事が返って来る。

良し、「それじゃあ寝る、お先に」


ベットの上に上がり、シーツをかぶり武器[鎖鎌]の鎖部分や握りを確かめ、鱗の盾の状態を確かめる。


(かなり酷使しているからなぁ・・)薬草も使い切っているし、この頭の奥がチリチリする感覚・・(クソッ)どこでオレの人生が狂ったんだよ!


・・勇者になった時から?勇者にされた時から?・・クソッ、神ってヤツがいるなら、そいつこそオレの敵だ、

(オレに力が有れば・・ヤツらに、神とかに、オレの人生を左右されない程度の力があれば・・)


 厄災を引き寄せるような神の嫌がらせに呪詛を吐きながら、道具の確認を終え、

「う~~、トイレトイレ」

 素早く部屋の入り口から飛び出し、トイレの場所まで小走りした。


・・・・台所・書斎・掃除用具入れ、忍び込んでも問題無さそうな場所に入り込み、引き出しを開け、箪笥を開く。

 つぼ・床・壁・絵画の裏・花瓶、あらゆる所に手を突っ込み。

・・・「小さなメダル・・だと?」


 あと箪笥[たんす]に、[不思議な木の実]を入れる家人の気持ちがわからない、育てるつもりだろうか?

(怪しいからスラヲに喰わせて様子を見るか?、スライムなら死にはしないだろうけど)

不思議な木の実てのは、結局なんの木の実なんだ?


 ロクな物は無かったが、これ以上を求める事は出来ないので部屋に戻り。「あ~あスッキリした」と言いながら、即窓から飛び出す。

 怪しいのは確か、中庭だったよな?


・・・・・

 臭い、これだけ多いと、どんな花の匂いでもムワッと来る。

ユリ・薔薇・ラベンダー・菊・あとは、よく解らない巨大な花。それらが混ざるように植えられ、離れた場所で作っている堆肥の匂いと合わさり、目眩がしそうな匂いになっていた。


(真ん中奥に有るのは・・人口池か・・貯水用か?・・じゃあ怪しいのは、庭師の道具小屋か・・)

馬車が入れるような倉庫だろう。


 馬小屋とは別に立てられた倉庫には普通麦や豆、塩が保管されている。

(窓が無いのも湿気を避けるため、それは解る)

けど、屋敷の内側にあるのに、あのかんぬきは何だ?柱のように太く城門を守るような太さのかんぬき。


(一体なにから扉を守っているんだ・・・入るしか・・無いか・・)

 ただ広い倉庫には麦・豆・塩・芋と塩漬けが置かれ、一見は普通に見えた。


(それでもな・・)よく見れば、無数の足跡が壁の一点に向かって続いている。倉庫の中に不自然に立っている小屋、壁に隣接しているクローゼットのような小屋に足跡が続いているのはおかしい。


(それに・・・小屋まで続く足跡に、戻って来る形の、爪先が扉に向いた足跡が無いのはなぜだ?出入り口が他にある?なんだこれは)


 万が一の為に口に釘を含み、屋敷で見つけた乾燥果実と乾燥肉をふところに移す。

(後は毒消しと・・)


 捕らえられ武器を失った時に釘は役に立つ、針1本でも何も無いよりマシな場合もあるからと慎重に準備して小屋の扉を開いた。


(・・床・・・地下か?)床のボロ布を引っ張ると、木の床に金属の取っ手が付けられ引くと地下への階段が口を開く。


 益々嫌な感じがする、本来なら踏み込まない・踏み込んではいけない場所だろうな。


(邪神像~~~め!あんな物に係わるから・・)

最初見た瞬間に叩き壊しておけばよかった、クソ!ここでも後悔するのかよ!


 神がいるなら、今度からは、常に絶対正解だけを選択させてくれよ!


 持ち出したのは自分だ、ヤツらの計画・邪悪な行いを潰すと決めたのも自分だ。

でもな、邪神像に係わったせいで、どんどん深い沼に引き込まれている気がするんだ。


明日の44話は、グロテスクな表現があります。日曜日にいやな気分を持ち越したくない無い方や、気持ち悪い話が苦手な方は、飛ばして下さい。

45話の前書きの粗筋で補完しますので、お願いします。

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