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繰り返す戦い。

 純度が足らないのだ、動力となる機構を動かすべきエネルギー。

ロボを動かすエネルギーの出力が足らないのだ。


 その為にはもっと純度の高い魔石が、魔力の内包量が大きく、ロボに入るほどの純度ある魔石が必要なのだ。


 今日も少ないエネルギーでロボが動かせるように、機構の改良をする。

まだ足りない、まだまだ使用エネルギを減らせるはずだ。


 今日も機構の改良を繰り返す日々、純度の低い魔石でもロボが動かせるように、足周り、腕周りの関節を改良。まだ足りないのか。


 低い純度の魔石を圧縮して機構に搭載する、失敗だ。圧縮した魔石では出力が安定しない。

クソ、なぜ金貸しは投資しない。世界を変える発明が目の前にあるというのに。


 来るヤツは私を馬鹿にする学者か、奇人と笑う新聞記者か、私の発明を盗もうとする盗人、

そんなヤツしかいないのか。

 私のロボを理解してくれる人間はいないのか・・・


・・・・


 男がやってきた、そいつは私の襟首を掴み拳で脅す。理由はわからないが、私の孫か?

私には家族はいないはず、親戚筋かもしれない。

 まあいい、とにかくその男の持っていた物だ。私が求めていた物を男は持っていた。

私は頭を下げ、丁寧に説明するとそれをくれると言う。


 これで私のロボが動く、男が何者であってもいい。

 私は世界に自分の正しさを証明出来るのだから。


 ズキッ!頭が痛む、頭を刺されたような痛み。目が霞む、痛みに手を額に当て頭痛を振り払うように頭を振った。


「大丈夫ですか勇さん!」


 どこだ?なに?なにが起こった?

「勇さん!オレも戦います、指示して下さい!」

?ハァ?なんだ?敵?前?ロボ?


 体当たりされて頭を打ったのか?それともヤツの魔法で幻覚を見たのか?

「勇さん!」


「スマン、混乱させられた。手を貸せ、ヤツの・・足を潰す。」

「勇・・さん?」

「お前にも手伝ってもらう、オレがヤツの右後足を潰す。左はまかせた、攪乱してくれ」


「ハイ!」「ピギャァァァ!!」

 ピョートルの気合いの入った返事と、スライムの体を逆立てるように波立つ返事。


「いくぞ!」

 二人が分かれて左右から挟み撃ちにする、右に走ったオレはすかさず[火炎]を放つ。

立ち上る陽炎の揺らぎと炎の熱で、ヤツのガラスの目を眩ませる。


鎖鎌の鎖を掴んで鎌を振りまわし、右後足を狙って投げつける。

 伸ばした腕は盾で防いで、捻り絡ませるように手を放す。

 ジャリッ!回転したL字の鎌は牙を立てる蛇のように足に噛み付き、その関節に刃を立てた。


 足を捕らえられ、ロボがその腕で鎖鎌を外そうとペンチの手を伸ばし鎖を摘まむ、その瞬間。

「そうはさせません!」体当たり!

 ピョートルが全身で突っ込み、ヤツの金属の体にぶつかった。


 [氷結]とっさにオレはヤツの腕を凍らせて動きを止めた。

 足の一つを封じたからと言って倒れた訳ではない。左腕が固まり、体当たりの反動で下がったピュートルの体を、薙ぎ払うように打ち飛ばす。


「[回復]!大丈夫か!」オレの使う回復がピョートルの打撲を治していく。

「すみません・・・」


「気にすんな、まだ動けるだろ。ならやるぞ、突っ込みすぎるなよ?」


(幸いまだ鎖は絡んでいるみたいだし、突っ込むだけだ!)

 しくじってもフォローし合うのがチームだ、いちいち謝っていたらキリが無い。


 ピョートルの兜がうなずき、オレが走り出すと同時に走り出す。


[火炎][火炎]二つの炎がヤツの目を狙う。

(これで呪文、5つまだまだいける)


 同時にピョートルの体当たりがヤツの左腕を弾く、

(あれなら反動も少ないし、よく考えたな)


 ピョートルの攻撃を嫌がり、左手を振り回し右手だけで鎖を外そうとする。

その背後に回り[氷結]!狙うのは熱く熱[ねっ]したしたその顔面!


 ジュッ、空気中の水分が集まって氷りを作り、機械の顔で蒸発した。

 ガラスの目が曇り、ロボの動きの精度が落ちる。


(あと一息だな)

「ピョートル、左腕の動きを邪魔してくれ」

 おれの指示の頷きが帰ってくる、そしてワザとロボに姿が見えるように飛び出して左腕を叩く、左腕への攻撃を払うようにロボが腕を振った。


「隙だらけだ、死ね!」

 鎖鎌の刃が刺さった場所に、跳び蹴りを放つ!

 ガキッ・・ン! 刃が完全に球体関節の隙間に入り込んで鎌はその足を切断した。

バチッ!銅線が電気を放ち火花が飛ぶ。


「離れるぞ!」

 一人と二体が飛び退いて距離を取る、機械をよく見れば右前足に鎖が絡み、ジャラジャラと動きを邪魔している。


「よし、終わったな。」

「?なぜです?まだヤツは・・」

 オレが石を掴み、ロボに向かって投擲。カッキィィィン、石が金属に跳ね音を立てる。

「お前も石を拾って投げろ、泥でもいいぞ」

 敵の攻撃が届かない位置からの攻撃は、戦いの基本。


「・・その、勇さん。いいのですか?・・あまりにも・・」

「勝ちゃぁいいんだよ、相手は機械だ。心とかは無いんだから」

ただ壊す、道具のように。


 ぴぎ!・・スライムもあきれたような声を出すが。

「ご主人が怪我するよりいいだろ?」と言うと「ピィ」と肯定っぽい返事が。


 投擲・カンッ、投擲・・カンッ・・

拾っては投げ、拾っては投げる。どれくらい投げたか良い感じに壊れている。


 投石でロボの体中はへこみ、泥で赤い目は塞がっている。

 ジジッ・・ジジッ・・オカエリクダ・・サイ・・ハカセ・・ハカセ・・


「勇さん・・」

「ああ解ってるよ」


「介錯してやる」柄を両手で掴み渾身の力で振り落とす。


 ゴトン・・ガラスの目の光りが点滅し、やがて力尽きるように

ハカセ・・ジジッ・・ハカセ・・ハカセ・・ジジジ・・ハ・・カ・・セ・・・


「・・最悪な気分だ・・」

機械の背中をこじ開け、まだ熱のある鉱石を引き抜いた。

そしてオレが鉱石に触れた時、目の前が深い霧に包まれ、周囲の音が消えた。


二回戦目。こういうのは、読者さん的にはどうなんでしょうね。

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