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機械は倒れた・・・ここはどこだ?

「行動・・開始!」

 二つに分かれて左右からの挟撃、右方向に走ったオレはすかさず[火炎]を放つ。

立ち上る陽炎の揺らぎと炎の熱、これだけでも攪乱の意味はあるはずだ。


 向こうではピョートルが盾を構え、機械の腕ギリギリ届かない場所で跳ね回り

上手く腕をかわしている。良し!


 ふところから鎖鎌を取り出し、鎖を掴み鎌を振る。狙いは当然、右後足。

「こっちだよ」ヤツの目の前に飛び出し鎌を飛ばす、伸ばした腕を盾で防いで手を放す。

ジャリッ!

 回転したL字の鎌は蛇のように足に噛み付き、その関節を捕らえた。


 急に足を捕らえられ、機械がその腕で鎖鎌を外そうとペンチのような手を伸ばす。

「そうはさせません!」体当たり!

 ピョートルが全身で突っ込み、ヤツの金属の体にぶつかった。


「馬鹿!」

 4つ足の一つを封じたからと言って、獣は倒れる訳じゃない。

左の腕が体当たりの反動で下がったピュートルの体を、薙ぎ払うように打ち飛ばす。


「[回復]!」「え?・・あっ[回復]」オレの使う回復と、ピョートルの回復が重なって光る。(ピョートルが反射的に回復するようになってたから助かった)


 一撃で瀕死にされたのか、グッタリとして意識を飛ばしかけたピョートルの体が起き上る。

・・・大丈夫だな、生きているな。


「すみません勇さん」

「気にすんな、こっちもアッチも必死なんだ。一瞬の失敗を引き摺ってたら、次ぎ動けなくなる」


(幸いまだ鎖は絡んでいるみたいだし、突っ込むだけだ!)

「ピョートル!動けるな?作戦は変らない、挟撃と攪乱、

しくじってもフォローし合うのがチームだからな」

 ピョートルの兜がうなずき、オレが走り出すと同時に走り出す。


[火炎][火炎]二つの炎がヤツの目を狙う。

(これで呪文4つ、まだまだいけるか?)


 クソみたいなレベルアップの声も、多少は今のオレに役立っているようでムカつく。

同時にピョートルの体当たりがヤツの左腕を弾く、

(あれなら反動も少ないな、良し!)


 騎士の攻撃を嫌がり左手を振り回し、右手だけで鎖を外そうとする機械の背後に回り

[氷結]狙うのは熱く熱[ねっ]したしたその顔面!


 ジュッ、空気中の水分が集まって氷りを作り、機械の顔で蒸発。

(膨張熱で割れたら・・なんて都合が良すぎる事は考え無い!)


 狙いはあくまで足、金属の体に皮膚感覚が有るなら目をつむってでも鎖はとれるだろうが、ヤツは機械。ガチガチとペンチが空振りを繰り返し、その隙を狙い、

鎌の刺さった関節を銅の剣で叩き付ける。


(あと1歩か)「ピョートル!」

 オレの叫びに顔を向けたピョートルは、ヤツの左足を叩く。

振動で反射的に左手に向いた機械の隙を逃さない。


「死ネェェェェ!」鎖鎌の刃が刺さった上に跳び、落下しながらの跳び蹴り!

ガキッ・・ン! 刃が完全に球体関節の隙間に入り込み、バチッと何かが弾けた。


「離れるぞ!」

 一人と二体が飛び退いて距離を取った、

 機械をよく見れば右前足にも鎖が絡みジャラジャラともがいている。


「よし、作戦成功。お疲れさま」

「?なぜです?まだヤツは・・」

 オレが石を掴んだ瞬間に気が付いたのか、なんだか非常にあきれられているような。


「お前も石を拾えよ、泥でもいい」遠くから投擲、敵の攻撃が届かない位置からの攻撃は

戦いの基本だろうが。


「・・その、勇さん。その戦いは・・あまりにも・・」

「勝ちゃぁいいんだよ、勝ちゃぁ。大体相手は機械だろ?仁義とか心とかは無いんだ」

ただ壊す、それだけなんだから。


 ぴぎぃぃぃぃ・・スライムのやつもあきれたような声を出しやがって。

 投擲・カンッ、投擲・・カンッ・・

拾っては投げ、拾っては投げる。どれくらい投げたのか肩が熱く痛む。


 二人の投石で機械は体中がへこみ、泥で赤い目は塞がっている。

ジジッ・・ジジッ・・オカエリクダ・・サイ・・ハカセ・・ハカセ・・


「勇さん・・」

「ああ解ってるよ」なにかすごい嫌な事をしている気分になって来ていた。

(戦いで敵に同情するなんて、馬鹿のする事だと思ってたんだけどな)


 ゆっくり近づき、その機械の首に剣を中てる。介錯って言ったっけ、

柄を両手で掴み渾身の力で振り落とす。


 ゴトン・・大きな石が転がるように落ち、光りの点滅がやがて尽きるまで

ハカセ・・ジジッ・・ハカセ・・ハカセ・・ジジジ・・ハ・・カ・・セ・・・


ふぅ「・・最悪な気分だ・・その博士ってやつを一発殴ってやらないと、気分が悪いな」

頭くらいは拾ってやろうとして屈むと、機械の背中が開いた。


 心臓?動力?体の中心の所に、まだ熱のある石・・鉱石が鈍く光っていた。

(コレが機械の魂ってヤツなら・・)頭よりこっちを持って行くべきだろう。


 オレが機械の心臓、動力の石に触れた時、目の前が深い霧に包まれ、周囲の音が消えた。


(ピョートル?・・なんだ?)倒したはずの機械は、そこから消えて無くなり。

深い霧は足元しか見えないくらいに白い。


「ピョートル!聞こえていたら返事をしろ!その場から動くな!」

(・・・返事は無い・・か)

 何かの魔法かトラップか、鉱石を取ったらどこかへ飛ばされるような術が仕込まれていたのだろう・・・面倒な。


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