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悪魔か機械か、倒すぞピョートル。

「それで?その悪魔の家ってのをなんとかすればいいんだよな?」

戦闘を行くスライム乗りは振り返らず、背後からはリリパット達。


「そうだぞ?悪魔だぞ?人間。悪魔はオレ達を追い掛けて居場所を奪ったんだぞ」

 オレのズボンを掴む地精だけが返事を返してくる・・のはいいが、ズボンを放せ、伸びる。


「その悪魔に住処を奪われて、森の浅い場所に集まってたって事か」

森を出れば人間の領域、こいつらなら簡単に狩り尽くされるだろう。

 特に集団で集まっているなら、狩る方からすれば願っても無いだろう。


「・・人間が住み着いた時から、この森はおかしくなった。

オレ達だって喰わないと生きてはいけない。なのに悪魔には話も通じない、霧を出し森を変え、

ただ我々を追いやり、追い出したのだ」


『生存競争に負けただけだろ』と口から出そうになった、が悪魔とやらを持ち込んだのが人間なら、その始末は人間が着けるのが道理だろうなぁ・・・・どこの馬鹿だ面倒な事をしやがって。


「この先だ、この霧の先に悪魔の家はある。オレ達はこの霧に迷うと元の場所に戻ることが

出来ない。人間はここにある道を通っていけば家に着く。悪魔は霧の中に入る物を排除する。

恐いなら引き返していいぞ人間、そして二度と森に入るな」


「安い挑発だ、そうやって他のヤツも追い出していたんだろ?」

でないと、この霧の中に家があるとは言えない。強い悪魔で脅し、生存領域を守る。

頭を使ったいい手じゃないか。


「悪魔は強い、オレ達は勝てない。それでも行くのか人間」

「地精、お前は良い奴だ。お前達はこの霧が晴れるのを待っていろ、人間の強さってヤツが、

悪魔に負けないって事を証明してやる」


 そうすればこいつらは、人間を恐れて森の奥から出て来なくなるだろう。

 魔物と人間は殺し合う関係だが、出会う事が無ければ殺し合いも無いからな。


「ん」地精ノッカーがオレの手に回復薬を渡し、ズボンから手を放す。

さて、弱い悪魔だといいけれど。


 蛇行するように道を進み、立ち枯れた木々の間を歩く。

しばらくして変な感覚、ゴワァンと耳鳴りのような、失神する寸前の血圧低下に似た感覚が来た。


「ようやくお出ましか、どれだけ待たせるんだよ。ピョートル、大丈夫か?」

 感覚の狂いはピョートルにも有ったように、頭を振って目眩に耐えている。


「いつも通りだ、お前は後衛で身を守れ。回復と言ったら回復だ」

 頭を振ったあと、うなずくのが見える。これで良し、さて悪魔はどんなヤツだ?


 カシャン・カシャン・キィ・キィ・・四つ足のソレは赤い目を光らせ、ハサミ?

ペンチのような手を、開けたり閉じたりしてこちらを観察するように立ち止まった。


「オマタセいたい・・イタシマシタ・・ドノヨウA、ゴヨウデショウ?」

「機械?なんだお前は?」

 金属の塊が手足を持ち話す、機械か?こいつが悪魔か?


「ワタシ・・ワタシハ・オ・オ・キャク様、ハカセハ・オヤスミチュウデス・・

ヒヲアラタメ・・オネガイ・・シマス・・」

「博士ってヤツが悪魔なのか?それともお前が悪魔なのか?」


「ハカセ・オヤスミチュウ・タイキョ・クダサイ・タイキョ・タイ・・タイ・・タイ」

ギュィッ、何かの間接が音を立て、赤いガラスの眼球が点滅し光る。


 機械が腕を突き出し、体を回転させ殴って来た。(話の通じ無い・・ね、

こいつが悪魔で正解か・・)


 なんの理由でこんな機械を作ったのか、なんでこいつが他人を排除しようとするのか

は作ったヤツに聞けば解るだろ。

 ならやる事は一つだ、こいつを壊す。そのあとで博士ってヤツに話しを聞けばいい。


ガキッ!ンンンンン、堅い!

 全身金属鎧の堅さと腕の早さ、体ごと回転させ振り抜く金属の腕は鉄の棒で殴られるように骨に染みる。

「回復」叫ぶ度に回復の光りが体を包む、何度同じように吹き飛ばされたか、

その度に回復で立上がる。


「オカエリクダサイ・オカエリクダサイ・オカエリクダサイ」

四つ足の突進で体を吹き飛ばされ、何度も何度も鉄の腕を振り下ろされる。


(こいつ、舐めやがって!)攻撃自体は稚拙、そのスピードで振り回し・重さで押す。

まるでこちらを殺すつもりが無いのか、とにかく無茶苦茶に振り回し、

押し潰すような攻撃ばかり。


「勇さん!オレも戦います、指示して下さい!」

「指示はした、身を守れ、命を大事にしろ。・・・・

回復だけでも十分助かっているから前にでるな!」


 動きは読める、だが攻撃が通らない。あと一手、あと一手が足らない。

「勇さん!」

「うるさいぞ!自身を守るのに専念していろ!」

 ガブっ・・・スライムがオレの足を噛んだ、・・・ああ、そうか・・


 ピョートルの目がオレを見ている、この顔・マスクで見えないが、解る。


「オーケー解った。この機械退治、受けたのはお前だったな。

その本人が戦わずに見ているのは苦痛だからな」


 あの目は[決意]の目だ、アレ以上オレが無視をしていたらこいつ・・

ピョートルはオレを無視して突っ込んでいただろう。


(そう言えば、こいつの顔をまともに見たのは今日が始めてか?)

 背後をまかせていたのに、顔もまともに見ていないとは・・何をやっているんだオレは。


「だが、命令には従ってもらう」

「勇さん!」

「最後まで聞け、あまり前に出るな。ここまでは同じだが・・ヤツを見ろ、ヤツの四つ足を・・・」


 1本、右後足の動きが鈍い。使い過ぎて関節が摩耗したのか、それともサビか、

傷か、とにかく後足に何かある。


「・・・ピョートル、ヤツの攪乱を頼む。オレはあの足をなんとかしてみる」

折れなくても弱らせる事が出来れば、動きを鈍らせる事が出来る。


「とにかく攪乱はしても、前に出すぎるな。ヤツの攻撃はかなり痛いからな」

「大丈夫です、素早さには自信がありますので。な!」「ぴぎゃ!」

・・スライムが元気に答え、振るえてるのは自信の表れか?


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