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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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竹竿と鎖鎌の根性対決!

「さて、キミはここまで習い始たばかりの武芸で良く戦いました。ですが、そろそろ武器を持っていただけませんか?そうじゃないと」

 ヒュンッ!


 風を切るソレは音速の壁を越え、簡単に石の床を割った。


「ボクの武器は、見ての通り竹竿です。ですが、ソレを極めて隊長に任命されるまでになりました。貴方の実力は十分見せて頂きましたので、次ぎは戦いの中で貴方自身を見せて貰いませんか」


 今竹竿と鎖鎌の戦いが始まる、笑うような細い目から見える光に答え、オレは鎖鎌を持ってきてもらう。その間のインターバル、オレはただ自分にあるかも知れない[根性]の姿、輪郭を掴もうとしていた。


(なんか違うんだよなぁ・・なにか)それが解らない、ヤマトの[根性]あれは本物だ。

反面で自分が使った・・と思う[根性]は上辺だけで・・熱さが無い・・と思う。


(でも、本気だった。この拳に込めた物・・熱は)

手をグッと握って見たが、今はそこに[根性]の欠片も残っていない・・気がする。


「勇さん、どうぞ」鎖鎌を持ってきたピョートルに「ありがとうな」と礼をして頭を切り替える。

今は考えるのは止めよう、本物が目の前にはいるんだ、考えるより観察し体で覚える野が先だ。


 鎖鎌の重みが懐かしい、鎌の手触りもジャラリと鳴る鎖の冷たい感触も。

(なんでだろな・・・顔がにやけてしまうのは)


「それでは、双方準備が出来たようなので・・・始め!」


 お互いが一礼し、勇者は鎖鎌の分銅を振り回す。

ヒュンヒュンと風を切る分銅は、遠心力と自重で攻撃力を上げて獲物を狙う。


「ひゅぅ!」手首を跳ねさせ分銅を飛ばす、まずは牽制!

 その顔面を狙った一撃どう躱す?


カツン!鉄の分銅を簡単に弾き飛ばす竹竿!

 そのまま腰溜めにした体勢から男の竹竿が、引き抜かれるようにして横薙ぎが飛ぶ!


(アレはマズイ!)本能が体を後に跳ばし、再び分銅を回す。

・・・(服が・・切れた?)

 竹竿の一撃で、分厚い武道着の腹が切れ、腹筋が空気にさらされた。


「どう・・なってるんだ?なんで竹で鉄を弾いて服が切れる?何を・・どんなカラクリだ?」


 オレの分銅はさまよった鎧の体をぶち抜く、兜にも穴を開ける程度の威力はある。それをただの竹がはじき飛ばせるはずが無い。


「おかしいですか?ただの人の手が岩を砕く事が出来るのに、竹竿が鉄を弾く程度のことが出来ないと?」微笑むような表情と[解りましたか?]と言うような話し方。


(・・・これで解った、この武道着を切ったのはアノ男なりの牽制。ワザと外したんだよな?)

自分の持つ竹竿は人間が斬れる、それを教えるために。


「(もう少し探りを入れて)なんて考える必要は無いですよ、答えは[根性]です。

[根性]を流し込む事によって拳は岩を砕き、竹竿は鉄を切る。教えたはずです、根性は生命力だと」


 [根性]・・なんでも有りだな、竹の軽さとしなやかさを持った鉄の剣かよ。

それもズルじゃない、練習と熟練によって手に入れた、威力の増す技。マジかよ!


(そう言う武器として考えるしかないか!)鎖を握る手に力がこもる、鉄を切るって言うなら範囲の外から戦うしか無いな。


「ああ、言い忘れてました。鎖さん・・今はヒロシさんですか?攻撃魔法も使って下さい、でないと勝負になりませんから」

 坊主頭を光らせ、細い目をさらに細くする男。


「オレはここでは回復以外の魔法を使ってないと思ったんだけど・・どこで解った?」

 魔法なんて、魔法使いか神官の特技だ。怪しいだけの流れ者になぜ魔法が出来るって思うんだ?


「見た目・・ですかね?たまに魔法の才能がある人を見かけると何となくそうじゃないかな・・って感じるんですよ」


(おれには魔法の才能は無いけどな)じゃあ試しに[火炎]そして[火炎]下級魔法しか使えない事は秘密にしたい、だから二つの[火炎]で牽制し。

(その炎に隠して分銅を打つ!)


「それは駄目です」

 男は火炎一つを簡単に躱すと分銅を隠した炎を両断した、そして分銅を竹竿で巻き込み魚釣りの様に引いて近づいたオレの腹を蹴り跳ばす。


・・・グヘッ!・(この威力・・これも根性か)胃袋がひっくり返りそうな強力な蹴りだった。


「そうです、竹竿に流した根性が40、全身に30、蹴りに30と分けて使う事で部分部分の強化が可能になります。ちなみに服を切った時は30くらいでしたよ?


生命力・根性を目に集中すれば見えるようになりますから参考にして下さい」

 巻き付いた鎖を払い飛ばし、スタスタと距離をとる。


(・・親切・・なのか?)根性のレクチャーを実戦形式で教えてくれている、なんでだ?


「弱いからですよ、貴方がとても。・・・椰子与様が貴方の事を化物と言い、この目で見たら一般男性と同じ程度にしか見えませんでしたから、少し貴方の本気を引きだそうと思いましてね」


「へぇ・・オレを鍛えて実力の上限を計ろうって事か」まったく。

 親切な話だ!


 根性を目に集中だと?体に分散集中させて強化とかそんな事できるのですか?


「ヒロシ!そんなしち面倒臭ぇ事は考えるな!根性ってのは腹に力を込めてグワッとすればいいんだぜ!」

 復活したヤマトが拳を握り、力を込める。


・・・「応!こうだな!『根性!』」下っ腹に力を込め、根性!と叫ぶ。

 全身に力がわき上がり、噛み締めた歯と開いた目に薄らとヤマトの体を包む蒸気のような物が見えた。


「・・・ひろし君、それでは・・」呆れたような関心しているような顔の男の方に向きを変える。・・(竹竿の色が変わる程の[根性]それから体を包んでいるのが・・)

ハァハァハァ・・シンドイ。


「全力で全身に根性を込めるからです、それでは直ぐに倒れてしまいますよ」

 軽くゆっくりと竹竿を振り、男の竹竿が勇者の体に触れる。


 バチッ!小石が弾けるような音と、体に触れる前に止る竹竿。

(ハァハァハァ・・・・『根性!!ォォォォ!!』)


 今度は根性だけで竹竿を押し返す、燃費は悪いが何とか・・でき・・た・・

(意識が持って行かれる・・クソッ)ハァ。


 息を吐き出し気合いを抜くと押し返した竹竿が肋に突き刺さり、体が吹き飛ばされる。ガハァ!(息が・・全部持って行かれた!)


「根性を抜き過ぎです、私が手加減してなければ胸の所が陥没してましたよ?」

 サラリとおっそろしい事を言う。


「ですが、根性は掴めたようですね・・思っていた物とは違いますが、それでどうします?まだ戦いますか、先ほど見えたでしょう根性の違いが」


 高め・練り上げた根性を纏い、さらに戦いで必要な箇所に集中して強化する。確かに解り始めただけの今のオレには勝てないだろう・・が、


「戦うさ!ここからが、いいとこだろ?」

 戦いの中で学ぶ事は多く、学べる時間は短い。殺し合いではそもそも学ぶなどという余裕すら無いんだ。

 格上の相手だからこそ、戦う。理由はこれで十分だ!



どこかの人が竹竿を鉄のようにして、煙の人と戦っているのを思いだしまして。こんなのも有りかなって、どうでしょうか?

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