表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
118/693

砂漠で生きる人達と日常。

「こっちも酔いが回る前に、日陰を・・」

 爺さんの家に転がり込んだ男が2人と魔物と悪魔、さすがにこの状態はよろしく無い。


が、すでに壁に寄りかかってウトウトしているホフメン、壺に入り出てくる気配の無いスラヲ、そしてさっきからオレの手をウネウネ握るヤール。


「仕方ない、少しだけ休ませてもらう」せめて人間のホフメンが起きるまで床を借りるしかないか。あと手を放せ!


 うとうとと船を漕ぎ、意識が落ち何かの気配を感じて目が覚める。

 乾燥でまぶたが固まり唇がくっつき顔が張ったように痛い。


「ああ爺さん、また誰かを、スミマセン起きてください。」

 瞼[まぶた]は開かないが、若い男の声に顔を向けた。・・だれだ?


「あんた旅の人か?ああ!顔も洗わずに寝ちまうから・・ちょっと待ってな」

 濡れて良くし絞ったタオルを渡され、ゴリゴリと顔を拭くと目脂と塩味が。


「すいません、少し酔っ払ってしまって。他のヤツも直ぐに起こしますんで」

「・・ああ、そうしてくれ。・・って素直なんだな、怒るやつもいるってのに」

 オレの開けた目に男が写る、多分40・・50歳か?腕の太い男だった。


ハハハ、「勝手に家に上がって寝てしまって、タオルまで借りて怒るやつなんて・・はは」そんな失礼なことは出来ませんよ。


 背中がやたら生ぬるいのは・・・(コイツ!起きて背中に張り付いてやがったのか)

 ヤールは、家の人間が帰ってきたのがわかっていたくせに、オレの背中にギリギリまで張り付いていた感じだ・・何がしたいんだよ。


 睨んだら『うふふ』見たいな表情で返してくるから、どうしようも無い。クソッ!悪魔め!


「・・汗を流すなら銅銭浴場を教えるよ、銅銭2枚で手桶1杯だ。タオルで拭いて頭から被れば、顔の張れは少しはましになる。


 目もそうだが、よその人間が昼間町をうろうろしていると顔が焼けてそうなるんだ。砂漠の光りと熱でやられてな。だから兵隊とか商人でも無い限り、町の人間はガキでも昼間はうろうろしないんだよ」


 だからオレ達が旅人だと・・姿・行動・全部が余所者丸出しだったわけだ。

「あと、砂漠に長くいるつもりなら油を塗っときな。慣れないと気持ち悪いだろうが、身体中が焼けて腫上がるのを防げるからよ」


「ほんといろいろ教えてもらって、すいません・・ありがとうございます」


 スミマセンより・ありがとう、そう言えってのは・・誰に聞いたんだっけな?


「こっちこそ、オヤジの相手をしてもらって・・ああ、ほら、オヤジも起きろよこんな所で寝て・・腰が痛くなるって言ってただろ。全く」


 急がしそうなので一礼してから外に出た、外は日が暮れ始め、昼間とは全く違って人が多く、屋台からは食い物を焼く煙が上がっていた。


(腹はまだ脹れてるし・・銅銭浴場だっけ?行って見るか)

 背中に張り付く変態は水浴び無しと確定し、腫れぼったい顔をなんとかする為にも、後学の為にも浴場に急いで歩く、どんな物なんだろね、本当に。


・・・・・

 細い木で組まれた囲いの中に布を張っただけの壁、その中に男達が連れ入り。

入り口で手桶に入った水を受け取る。


(・・あとは布の中で服を脱いで身体を拭けって事か)

 布壁の中から水を被る音と共に、外に続く溝に水が流れて行く。


・・隣は・・池?小さいが貯水池か?

「貯水池が気になるか?旅の人、大丈夫だ。アレは野菜にやる水だ、毛の入った水なんて売ったりはしないよ」

 池を見ていたオレに列に並んでいた男が教えてくれる、毛の入った水って。


「もしそんな物があったら言いな、風呂屋のオヤジが袋叩きになるか風呂屋が消し飛ぶか。どっちにしても2度と風呂屋が出来なくなるからよ。」


 砂漠で水を商売にするヤツは誠実でなければいけない、水は命であり時に金と同等の価値がある。色々な部族が水を奪い合い、殺しあっていた歴史もあった彼等からすれば当然の事なのかもしれない。


「・・・ヤール、お前は外だ。覗くなよ?」

 色んな意味でヤツは危険だ、悪魔の前で服を脱ぐとか・・・本能的な危険しか感じ無い。


「そ!・・そんな!やはり仲間といっても新入りは虐げられるのですね!アットホームな職場と聞いていたのに!優しい勇者様が丁寧に手取り足取り指導してくれると信じていたのに!」


・・・そんな職場は世の中には存在しない、平均年齢が若い職場は離職率が高いだけだ。週休二日と完全週休二日を勘違いする労働者のようなような事を言うなよ悪魔のくせに。


「・・頼むよ」信用はしてるから、一応な?


 一瞬不満そうな顔を作っても、直ぐに微笑んで「私の勇者様にお願いされては聞かないわけにはいきませんよね?ではワタシは外にいますので、ごゆっくりと」

 フラフラと列から離れ、囲いの外に歩いていった。


 入り口のオヤジに銅貨を渡し、全員手桶水を買う。桶は出口で返すのだろう、次々と水が桶に汲まれて運ばれて来ていた。


・・服は籠に入れて・・そう言えばピョートルは・・鎧の上から水を浴びていた。

「あ、ええスラヲを抱いて眠れば身体中を綺麗にしてくれるので、今は汗を流すだけですよ。勇さんもいかがです?」


 いやいい、時々寝ている時、ヤツにくっつかれた経験があるが・・寝小便したような感じで目が覚めるから・・ちょっとな。


 それにしても・・スライムを風呂の代わりにするなんて・・やはり魔物の生態は興味深い。


 手拭を水で湿らせ、身体を拭く。そして水で手拭を軽く洗い、更に身体を拭く。

最後に水を頭からゆっくり浴びると身体が冷やされる。

(少し物足り無いが・・十分気持ちいいな)


・・・まぁこんなもんかな、

 手桶の水を空にして、濡れた手拭で身体を拭くと自分の着ていた装備が汗で濡れていた事に気付く。身体を拭いたあとに、汗で濡れた装備を着るのは辛かった。


外が暑すぎて、砂漠の情景が頭に浮かぶ。本物の砂漠とは違うのでしょうが、生きるのは大変だと思いますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ