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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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 新しい武器、[呪われた勇者の力]

 勇者の力を使えない、そして戦いの才能が無い。

 そりゃぁ・・・切り捨てされるさ、ああ・・そうだったんだな。


(・・ちょっと待て、それじゃあ)

「ええ、たとえ商人に転職してたとしても、勇者因子が消えるわけでは無いので・・」


 頭が真っ白になった、なんだよそれ!その使え無いクソッタレ因子のせいで自由になることも出来ず、死んだらアノ国王の前で復活して捉えられ、拷問が待っているのか?そして魔王のヤツ等にも敵対者として狙われるのか?


 ・・吐きそう、なんだよ・・オレの人生は、全部地獄しか無かったのかよ・・

「それじゃあ、産まれた瞬間から『戦って死ね!』『死ぬまで戦い続けろ!』って言えよ!なんで・・なんでオレだけが、、、クソッ!」


 神の神兵とか・・本当に人間じゃなかったんだ。戦い潰れるまで酷使される奴隷だったんだ・・オレは。


「ですからね?勇者様、生きる為には自分を追う者は殺し尽くし、教会?とか言う奴らを滅ぼすしかないのですよ。少なくとも・・魔王軍と魔王を相手にするよりは・・ね」


「悪魔め!そんな事が出来るかよ!」そんな事。

(ああ、だからそんな話を。勇者因子とか言う話を言い出したのか、人間の敵対者にする為に・・)


「いいえ?何度も言いますが、私にとって人間も魔王も関係有りません、私にとって大事なのは私の勇者様ただ御一人。その為に邪魔な存在・勇者様を悩ませる存在は全て私の敵。

私の名に賭けて勇者様にお誓いします」


 つまり・・おれが生き残る手段を、ただ教えてくれただけ。そんな事・・信じられるか。

(・・でも、信じるしか無いのか・・)


「じゃあ、魔王を倒すって言っても付いて来てくれるのか?」

「もちろんですよ、私の勇者さま!」


 ヘッ、全世界が敵で。悪魔と魔物だけがオレの見方か、ハハッ頭が割れそうだよ。


「・・ピョートル、そしてヤール。お前達がオレの仲間でいてくれるなら、オレはお前達を守る。たとえ相手が人間でも、世界を守る救世主だろうと剣を振る」


 そうだな、答えは単純だ。味方を増やして敵を減らす。オレは、オレの仲間の為の勇者をやればいい。そう言う事か。

 あと抱きつくな悪魔、お前の呟きに欺されたわけじゃないからな!


「よいしょ」


 オレの中で世界が二つに分かれたのが解る、敵と味方。オレに勇者の適正があるなら敵が人間だろうと・魔王だろうと打っ倒す。


(いや、違うのか。滅ぼし殺すくらい、怒りの感情に身を任せるんだったか?)

 出来るかどうか、自信は無いけれど。


 頭のスイッチを切り替える、[敵を憎み、殺し尽くす]ふぅ・・そう考え、想像し思い込め。


はぁぁ、頭に嫌な事・最悪の情景を思い浮かべる。


・・ジリジリと首の後が重くざわめく、悪意・殺すべき敵。

 目を閉じ、暗闇に潜む足音に悪意を向ける。

『死ね』目を開いた瞬間、振り抜いた鋼刃に遅れ3体のマミーが両断され上半身が床に転がり落ちた。


(酷く気分が悪い・・これじゃあ、八つ当たりだ)


 それでも、手に残る魔物を切り裂いて倒したはずの感覚は、紙人形を切った程度の抵抗しか感じ無い。いくらでも斬り殺せる、枯れた藁の茎を狩るように簡単に、そんな感じだった。


「・・・コレか?」こんな気分の悪いモノが勇者の力か?

「イエス!イグザクトリィ」その通りでございます。ってこと?


(自分の力・・多分違う)勇者の力に飲み込まれそうになる。

自分が凡人だから解る、どれだけ努力しても手に入らない力の片鱗。


 深い怒りの感情と強力な力、暴走させるには相性が良すぎるだろ!


何もかも殺したくなる感情がトリガーで、なんでも殺せる力が手に入る。こんなモノが勇者かよ。


「『力無き正義や理想は無意味』・・か」そして人間は力に振り回され自滅するのだろう。


「おま・・ハァ・・さて、と。スラヲ・・くん、良い感じに腹は満ちたか?・・その腹に沈んだ金貨を吐き出したまえ、キミ!」

 なんだよ、その不満そうな顔は。まるで『これも僕の物!』見たいな目で見上げても駄目だぞ?言う事聞かない子は、ピョートルさんの言いつけるからな?


 ペッ!ぺぺペッ!渋々と言った感じで金貨とかを吐き出した。

「・・ほら1枚やるよ」光り物が好きな生物は多い、そんな習性があるなら1枚くらいやってもいいよな?


 手に置いた金貨をにゅるンと飲み込んで跳ねていった、これが世間でスライムを倒した時に手に入る金って事になるのか?まさかね。


(フゥ・・「お前ら」とか、少し力が手に入ったくらいで偉そうになる所だった。これも勇者の力の副作用とかだったらすごい嫌だな)


 驕り[おごり]慢心、それは今まで最弱無能と自分を見つめてきた勇者が、底知れない[勇者の力]に触れることで、他者を簡単に蹂躙できる力を手にしたような気になっていたからだろう。


 それは奴隷のように虐げられてたある日、突然世界最強の力を神に与えられ、自分が本当に強くなったような[勘違い]。

 

 神が気紛れに力を奪い・もしくは与えた力を消滅させるかもしれないのに、自分の力だと錯覚するような愚かさだ。


(コレは、オレの強さじゃない。ただのズルだ、解ってる)

 与えたモノがいれば、奪う事だって出来る。当然、力を封じる方法だってあるだろう。でも、解っていたって力に溺れるのが人間だ。


・・・転職はあとで考えるとして・・

「今は前に進むだけだ、ピョートル!ゴラム!ホフメン!ヤール!もう砂食いもどっかに行っただろ、行くぞオアシス!こんな死体臭い場所とはオサラバだ!」


 あとで戻って来そうな匂いがプンプンするけれども!

(そうだよな、今は新しい武器を手に入れた程度に考えればいいんだよな)


 新しい武器、[呪われた勇者の力]の一部を手に入れた。



勇者とは祝福された存在なのか、それとも戦いに呪われた存在なのでしょうか。

少し考えて見ました。

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