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勇者パーティを追放されたけど・・オレ・・勇者なんだけど・・  作者: 葵卯一
トラウマの砂漠を越えろ。
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砂漠の掃除屋、砂食いの中から金属が。

「イエイエ!アレはアレで人間には利用価値のある魔物なんですよ?」

・・・ホントかよ、ただ臭いだけの魔物じゃねぇの?


「砂食いは確かに砂漠の掃除屋ですけどね、それはつまり砂漠で死んだ人間の装備も持ち物も、全てを腹の中に溜め込んでいることも・・・ある、と言う事です。」


 ああ・そうか、魔物は人間を殺すが装備や金は奪わないのが普通、なら砂食いの腹には食った人間の死体も・・特に消化できない金属、錆びず丈夫な金属であるほど消化されず、腹の中に残りやすいわけか。


「砂の深い所で糞として排出される事も有りますが、とくに大きな個体ほど、身体の中に食べた物を長く溜め込む習性があると聞きます・・つまり」


「あの馬鹿でかい砂食いの中にはお宝が・・・」有るとは限らないが、可能生は高い。

「人間が討伐する場合、準備を整えて1匹ずつ静かに倒しているようですね。体液の匂いは我慢しているのでしょうか?」


 もしそうなら、希少金属目当てに地道に狩るのも悪くない。


「そんな事より!今は後を見てくださいよ!」


[加速]の切れたゴラムを追う巨大な砂食いが身体を起こし、口を開けて飛び掛かろうと狙いを付けていた。

 

 別の事に集中して忘れてた!う~~んと・・・[爆破]は止めておくとして・・ヨシ!

(なら[氷結]の魔法はどうだ?)

 高い気温のせいで威力は落ちるが、熱い砂に生きる魔物なら少しはビビるだろ!


 揺れる馬車の中で勇者は集中し、氷りの矢を飛ばす・・・?

 氷りは砂食いの口に入り込み、魔物が身震いして一瞬動きが止った。


 ほとんど効いてない感じだが・・・

(大氷結とか・極凍結の魔法を使える魔法使いなら、あのバカデカイ砂食いの内側から氷らせれば殺せるのか?)その時の魔法使いは、1度食われる必要があるけど。


 特にヤツの背中、砂漠の日光に当てられている部分を内側から氷らせれば・・


 砂食いの動きが止った瞬間に[加速]が掛けられ、ヤツを振り切る。

(全く、こんな炎天下でバカ熱い場所でマラソンとか、バカしかしないぞ!)

 こんな暑さで運動会なんてさせるんじゃない、殺す気か!


 お陰でオアシスの町に行くつもりが・・ピラミットに来てしまったじゃないか!

 階段を登るとさすがに追って来れないのか、飛び上がった砂食いの1匹を全員で倒しそれ以降は砂漠に動きが無くなった。


「うう、ボクの槍が」

「ホフメン、武器は戦う為にある物だ。体液で多少臭くなっても手入れしてやればまた使える。

敵が臭いからって武器を使わないなんて本末転倒だろ?」


「勇さんはいいですよ!魔法で戦ってたんですから」

 だって、オレのオオバサミが臭くなったら嫌じゃん?


 涙目のホフメンに睨まれた、ゴラムなんか拳で戦っていたのに不満も見せないんだよ?そんなに気にするなよ。


 ゴラムは身体に着いた臭汁を砂で擦って落としてた、そういえばヤツは砂漠で戦ってたんだよな、なら対処の仕方だって・・


「ヤツらはオレの身体が栄養にならない事を知っている、殴れば戻っていく」

 と言う事らしい・・つまり今回は車輪の音に釣られて来たのか・・しゃーない、ヤツ等の縄張りは迂回して・・・縄張りってどこからどこまでだろう?


「魔物の死体が無い所は要注意と言う事で良いのでは?」

「そうするか・・あとな、スラヲが臭くなったら困るからつまみ食いは程々にな」


 スライムの消化力がどの程度かは知らないが、相棒が臭くなると困るからな?

ピョートルの足元で、動きの止った砂食いの身体を取り込んで・・おかしい?スライムの体積より明らかに大きい砂食いを食ってやがる!


 とか思ったら、半分ほど取り込んでからペッ!と吐き出した。

(消化出来る分だけ消化したのか?)スライム、謎の生物だ。


 ほのぼのとした空気を浸蝕するピラミットからの空気、カビ臭く埃っぽい中に死体の匂いが混じって侵入者を拒絶していた。(うん、ヨシ!さっさと立ち去ろう!)


・・・?スラヲが吐いた砂食いの身体に金属の光りが・・・


 方針変更!「スラヲくん、もう少し頑張って食って見ないか?」あと金属は吐き出すように。

「勇さん?スラヲのあまり変な物を・・」

 ピョートルも途中で気が付いたのか、家族の貪食[たんしょく]を眺めて口を閉じた。そうだよな、スラヲが食べてくれないとオレ達で解体することになるからな。

金は大事だ。


 まずはオレが見張り、スラヲの食事を邪魔する魔物が来ないように追い払う。

(と言っても、砂食いの悪臭で他の魔物は近づいて来ないよなぁ)

 で仲間はピラミットの入り口の影で休憩、砂漠の死体処理蟲を食っている仲間・・実はスライムってすごい種族なのではないだろうか?



「はぁ・・暑い。ホフメン、ゴラムの影で見ているだけでいいからな。あと水を」

「ハイ、それでは」「ゆう、おれが解体しても、いいぞ」


「ゴラムの提案はありがたいが・・臭い仲間とクソ暑い砂漠を進むのはな・・それに町にも入れ無くなるから」

 認識阻害の魔法でも、この悪臭はどうにもならない気がする。そうだろ?


「・・視覚と脳の認識を鈍らせる魔法ですから、強力な刺激を受けると違和感に気が付きますね。人間は少しの違和感からでも警戒する事もありますから」


 1度警戒させてしまったら、あとは疑い観察し仲間を呼ぶ。

いくら認識阻害が完璧でも、追われる者としては同時に複数の目にさらされる事は避けたい。


「捨ててもいい金属棒でもあれば頼むんだけどな、今はいい。スラヲは大事な仲間だからな、喉?を詰らせないかどうかだけ気を付けて見ていてくれ」


 緑色の身体が青く染まったら要注意だ。


 あと絶賛活躍中の騎スライムを三角座りで眺めているピョートル、弟が急に活躍して注目を受けてショックをうけた兄のような気持ちは解るけど!そんなに暗い顔をするなよ。いや解るけどさぁ!




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