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カン田との戦い、後編。必殺の一撃・タイマンのステゴロ勝負。

「クイレバーって言うのか?つまねぇ戦いをしやがる、弱ったヤツばかり狙いやがって」敵から攻撃の意思を感じ無いカン田は、大振りの攻撃を繰り返している。


(それを言うならクレバーだ、斧の大振りなんか当たるか!)

 最初に逃げた盗賊だけは体力がある、こいつも[炎]で。


「させるかよ![加速]!」

 カン田の[加速]は部下の動きも加速させ、カン田の跳び蹴りが勇者の体を直撃した。


?!(なん・げほっ・・だと!?)こいつ魔法なんか使えたのか!


「驚いているな?驚くなよ?オレは盗賊の頭だぞ?

どれだけ兵隊から逃回っていたと思っているんだ?」

 この変態姿の男、カン田の捕まらない理由はこの[加速]か。


(息が出来ない、クソッ頭が・脚が・・)ふらつく体に[回復]の輝きが、

回復の命令なんて出してない・・が、助かった。


「勇さん、大丈夫ですか!」ピョートルが駆け寄り[回復]を続ける。

「・・ありがとよ・・油断した、もういい。身を守り続けていろ」


 弾くようにピョートルをどかし、カン田の方を見返す。


「痛テテテ、この速度で跳び蹴りなんかする物んじゃねぇな、体中擦り傷だらけだ。さぁ続きだ、

続き、ガンガン行こうぜ!」


 素早さの上がったカン田の動きに翻弄[ほんろう]され、残った盗賊の動きもうざい。

(どうする?手が無い訳じゃないが、集中する時間をどうやってとる?)


「勇さん!協力しましょう!あちらの男だけなら足止め出来ます!」

「・・・?」何を言い出しているんだ?薬箱のくせに、戦うだと?


「勇さん!勝てるなら手段を選ぶ事は無いはずです!勇さん!」

「ピキィ!」 ピョートルとスライムが叫ぶように声を上げる。

『負けたく無い』と言っているように。


 すぅぅぅ・・・はぁぁぁぁ・・


(判断しろ、冷静な判断を。こいつらは魔物だ、信じるな・・・が、負けたく無いのは人間も魔物も同じ・・か?)利用しろ、人も物も魔物も・感情すらも利用しろ。


・・そうだな、負けたく無いなら手段を選ぶ事は無い。

「わかった、先ずはアノ盗賊、それは変らない。足止めだけしろ、必ず、一撃で倒すからな」


 勇者の言葉でピョートルが走り出し、盗賊の前に立ち向かう。


「じゃあお前はオレの相手か?楽しくやろうぜ!」高速の斧と捕らえようと手の平を開く。


 ただ速いだけの直線攻撃、よく見て判断すればそんな物・・速いだけだ。

 ただの1歩、恐れず進み開いた手をかわしその腕を掴む。

 後は背負うよう頭と体を曲げ、勢いを殺さず前転させた。



 一瞬、世界は回転し、背中に強い衝撃が走る!下敷きになった男が無ければ、骨が折れていた。

(お前は後だ、待ってろピョートル!)


 ゴワン!カン田の激突で地面が揺れる、その中から立上がった男に驚き盗賊の動きが止った。

男は倒れたままのカン田を無視し、盗賊に目を向けると歩き出している。

 そして盗賊の足元には魔物が、逃げようとする動きを邪魔する。


「死ね」勇者の体が沈むと盗賊の脇腹が爆発した、熱く強く激しい衝撃。

盗賊が倒れる瞬間、自分を殴った男の拳から煙が上がっているのを見た気がする。


(はぁはぁはぁ・・・熱ッ、なんとかなったな・・)

 拳を当てる瞬間に魔力を開放、使った魔法の約4倍くらいの威力はあるっぽいが、

実戦で使うには敵が止っている必要がある隠し技。


(まだ・・未完成だな、いずれ動いている相手にも使えるようにしてみせる)


「さて、待たせたな、1体1だ。カン田、起きているんだろ?」

「ピョートル助かった、今からは回復だけしてくれ」


「へっ、知ってたか。さっきの技はなんだ?すげぇ威力に見えたが?」

「教えると思うのか?」


・・・「「へっ!」」二人の男が笑い、大男が立上がる。斧は捨て拳を固め、勇者も武器そ捨てた。


「斧を持ってたらお前ぇには当たらねぇからな、そっちは持っててもいいだぜ?」

「無手の相手に武器を持って勝つ、それで強者を名乗れるか?」


 ガッガツ!男共の拳がぶつかる、筋肉の塊を勇者が打ちのめし、巨大な拳が勇者の顔面を打ち抜く。


 正面からなら・くると解っていれば耐えられる!

歯を食いしばり、気迫と気合いで痛みを精神で凌駕[りょうが]させる!


 根性だ!ここで退いたら、おれはもう自分より強いヤツとは戦えなくなる!


「倒れねぇよな、おまえは」

「そっちこそ、なんて堅さをしているんだよ」勇者は鼻血を親指で弾き、拳を固める。


 骨がきしみ、奥歯が悲鳴を上げ、拳が硬い石を握るように開かない。

ガツ!ゴス!ガキッ!グシャ!


 なんど殴り、殴られただろう。頭が真っ白になるほどの時間、オレ達は殴りあった。


[回復]・・体に柔らかい光が掛かり、失った痛みが体によみがえった。

「・・・すまん、ちょっとたんまだ」


 ?カン田が不思議な顔でオレを見た、すまん。水入りだ。


「ピョートル、回復なんて言ってない・・・『なんで勝手なことをした!』」


「勇さんがボロボロだったので・・倒されると思って・・殺されると思って・・」


・・「わかった、親切か・・そうだな・・わかった・・」

(そう言えば・・『回復だけしてくれ』って言ってたな・・そうか・・)

 この感情をピョートルに向けるのは間違っている、それは解っているが。


「カン田、すまない。仲間が水を差した、二回だ、二回殴れ」

「へっ良い仲間じゃねぇか、そう邪険にしてやるなよ」


(解っている、解っているが。男の喧嘩が解らないのか、と思っただけだ)


「いい顔だ、二回だな。歯を食いしばりな・・・・・と思ったが、・・オレも・・もう限界だ・・・」カン田の緊張が解け、巨体が前のめりに倒れた。




ステゴロのタイマンなんて、解る人いるのかなぁ・・

[素手]で[一対一]の喧嘩って事なんだけど・・

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