008
「なんと、プレダーの手下が…」
鉱石を回収し、ナズナ屋敷に戻った俺達は先程の出来事を報告していた
「あぁ、もしかしたら内通者がいるのかもしれない」
「分かりました、こちらで調べてみます」
「あぁ、頼む。あと、これが鉱石だ」
俺はメニューウィンドウを開いて鉱石を取り出した
「ありがとうございます、これで軍の武器を作成します。おそらく鉱石にあまりが出ると思うのでお二人の武器も作成出来ると思うのですがご要望は?」
なんと、鉱石で本格的な武器を作ってもらえるなら願ったり叶ったりだ。
今使っている剣はアリアさんから貸してもらっているので、戦闘で壊すわけにもいかないしな
「それじゃあ遠慮なく。普通の剣なんだが、できれば細剣に近い細くて重い作りにしてくれ」
「私は、普通の剣で、いいよ。でも出来るだけ、強度が高くて重くなるように、お願い」
「承知しました。直ぐに作らせるのでお待ち下さい」
そう言うとナズナは部屋を後にした。
「そういえば、なんでシオンは細剣見たいに細い剣に、したの?」
「うーん、最初に買った剣がそれっぽかったからですかね。なんか使いやすかったっていうか」
「でも、いいかもね。その武器、シオンの戦い方だったら加速からの突き技とか、使えるかも」
なるほど…そういう戦術もあるんだな…
しばらくアリアさんと話していると、部屋の扉が開きナズナが入ってきた
その手の中には二本の剣があった
片方は金色に輝く剣。もう片方は赤色の輝きを放つ剣だ
「こちらが、ご要望の剣でございます」
ナズナから剣を受け取ると、最初に買った初期装備の剣なんかだと比べ物にならないズッシリとした重みが伝わってきた
「ありがとう」
俺はメニューウィンドウを開いて一度剣をしまった
「では、二つ目の依頼に入りたいと思います」
「ああ」
「これからナズナ軍の屋敷のすぐ近くにある洞窟にある結界強化アイテムの『グラビティ・リング』を取ってきて頂きたいのです」
「そのアイテムの情報はプレダー軍には?」
「おそらく、伝わっていないと思います。が、シオンさんの言うとうり内通者がいるとしたら、当然漏れていると思います」
「なるほど…一つ質問なんだが、洞窟とダンジョンはどう違うんだ?」
「洞窟には基本的にモンスターは出ません。それが洞窟の特徴です」
モンスターが出ないと言うのなら、比較的楽な内容だろう。
気にするべき点はプレダー軍に情報が漏れていた場合、戦闘に至るという点だ。
「すぐに行ってきます」
俺は立ち上がって言った。
アリアさんの方を見るとアリアさんは頷いて立ち上がる
「行こっか」
再びナズナ屋敷を後にして、目的の洞窟に到着した
「これが洞窟か。ダンジョンとはやっぱり違うな」
ダンジョンは比較的薄暗い場所に位置しているが、洞窟は基本的に明るい所から入ることが出来る
中に入って少し進むと、すぐに目的の『グラビティ・リング』が置いてある空間を発見した
俺がその空間に入ると俺たちが来るのを待ち構えていたかのように黒ローブを着た男が三人出てきた。
「やはり来たか。ナズナ軍の助太刀共」
やはりナズナの所に内通者が居ると見て間違い無いだろう。俺は確信した
「悪いがどいてもらうぞ」
俺はメニューウィンドウを開いて真紅の剣を取り出し、低く構えた
黒ローブの男達も俺に向かって剣を構えた
「発動!【加速戦術】」
アクセラレーション・タクティクスは俺が習得した二つ目のスキルだ
その効果は戦闘において、AGIのステータスを3倍あげることが出来る
「ハァァッ!」
俺は地を蹴るとその勢いと三倍になったAGIで一気に敵との間合いを詰めて、1人の男の心臓に剣を突き刺した
「グッ!」
その男は短く叫んで消滅した
「コノッ!」
それを見た両サイドの男たちは同時に俺に斬りかかる。
俺は光のような速さで相手が剣を振り下ろす前に相手の胴体を真っ二つにした
「ふぅ…」
俺は『グラビティ・リング』を取り、メニューウィンドウを開いてしまった
アリアさんが近づいてきて言う
「すごいね、シオン、強く、なったね」
アリアさんが微笑んでそう言った
俺も照れ笑いをした。しかし、お互い一瞬で険しい顔つきになった
「ふん、やはり侮れんな。ナズナ軍の助太刀共は」
現在俺たちが居る空間のほとんどを黒ローブを着た男達で囲まれていたその数ざっと15人だ。
「クッ!」
囲まれたッ!
俺が剣の柄に手をかけるとアリアさんに止められた。
「大丈夫、今度は、私に任せて」
アリアさんはそういうと剣を構えて静かに発した
「発動【完璧戦術】」