007
「それで、俺たちは何をすればいいんですか?」
あの後アリアさんと話し合い、NPCクエストを受けるとこのゲームについて新たな点が何かわかるかもしれないという事で俺がクエストを受諾した。
するとクエスト開始の通知が現れ、そして現在俺とアリアさんはナズナに案内され大きな屋敷のような建物のとある一室にいた。
「我々ナズナ軍はこの近くにあるダンジョンに封印されているテンペスト・ドラゴンの結界の維持をしています。しかし近頃プレダー軍…先ほどの黒ローブの集団がテンペスト・ドラゴンを利用し世界を支配しようとしているという情報が入りました。なので結界を維持する我々ナズナ軍と復活を望むプレダー軍、両軍による戦争が起きようとしているのです。なのでお二人にはやって貰いたいことが3つほどあります」
「と、いうと?」
「一つ目は軍の戦闘力強化の為の武器素材集めです。近くのダンジョンに鉱石があるので皆さんにそれを取ってきて欲しいのです。もちろん我が軍からも同行させます」
「なるほど、分かった。今すぐ出発しよう」
俺は座っていた椅子から立ち上がって言う
「そうだね、そのテンペスト・ドラゴンが復活したら、私達にも影響、出るから」
封印されるレベルのしかもドラゴンと銘打たれるモンスターが仮に復活してしまったらプレイヤー側にもその脅威は振るわれ、最悪の場合死に至ってしまう。
そんなことになってしまってはゲーム攻略どころではない、なんとしても阻止しなければ
「ありがとうございます!では、我が軍より二人を同行させます、入りなさい」
「「失礼します、ナズナ様」」
ナズナに呼ばれ、二人の白ローブを着たNCPが部屋に入ってきた
「この二人を同行させます、どうかお気をつけて」
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「フッ!」
「ヤアッ!」
「フンッ!」
屋敷を出た俺たちは目的のダンジョンを目指して道中のmobと交戦しながら進んでいた
アリアさんを筆頭に順調に進み、ようやくダンジョンに到着した
中に入り、進んでいると突然mobが現われた
推奨レベル15の蛇のモンスター【スピードコブラ】
その名の通り素早いのが特徴のモンスターで、その鋭い牙に噛まれると、毒による麻痺状態になるのが厄介だとされている
「シャァァァァッ」
【スピードコブラ】が素早く左右に移動しながら接近してきた
だが、スピードなら俺も劣っていない
左右に移動する【スピードコブラ】の移動地点を先読みし、移動してきたそれを斬った
よし、アリアさんとの特訓で確実に強くなっている!
その後もmobを倒し続け、目的の鉱石がある最深部に到達した。
この最深部にはmobがポップしないので素早く鉱石を回収し、戻ろうとすると
「どうやら奴の情報は当たったようだな」
最深部の入り口に黒ローブを着た二人の男が立っていた
「貴様らは…プレダー軍ッ!」
白ローブのNPCの1人が声を上げた
頭上の表示を見ると、やはりNPCの表示があった
『ヤツ』とは一体誰の事なのだろうか?
「生きて帰りたければその鉱石を我々に提供しろ」
プレダー軍の1人がNPCらしい言い方でそう言い放った
俺は前に出て言った
「悪いがそうはいかない。テンペスト・ドラゴンも復活はさせない」
俺がそう言うとプレダー軍の二人は武器を取り出した。1人は斧、もう一人は剣を取り出し俺にそれぞれ武器を向けた
アリアさんも俺の横に並び、そして耳打ちをした
「シオン、斧の方は、私が引き受ける、剣の方、よろしく」
「はい」
俺も剣を鞘から抜き、剣を持っている方に向けて構えた。
表示されているレベルは24、俺のレベルは20相手の方がレベルが高い
レベルは…だ。
「ハアッ!」
俺は地を蹴ってNPCに斬りかかった。
俺がNPCに斬りかかっていくのを見て、斧を持っていた方は阻止しようと斧を振りかぶる
しかし、その斧は一瞬のうちに破壊された
アリアさんが目にもまらぬ速さで剣を斧に当てて破壊したのだ。
「君の相手は…私、だよ」
アリアさんはそのまま一回転して勢いをつけ、NPCの体を真っ二つにした
剣を持った黒ローブのNPCはアリアさんに向かって剣を振った
キイィン
その剣が当てたのは俺の剣だ
俺はAGIをフル活用してアリアさんの前には入り、その剣を受けたのだ
「発動!【カウンターブレイク】」
俺は己のスキルのコマンドを唱え、受けていた剣を返し、NPCの体を肩からバッサリと切った
NPCといえど、やはり人を斬るのはにが重いな……
「シオン、帰ろ?」
アリアさんが優しげな笑みを浮かべて言ってきた
この過酷で娯楽の存在しない世界での唯一の癒しはこのアリアさんが戦闘後に見せる優しげな笑顔だ。
「そうですね、帰りましょうか」