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004


「つまり、リュウが習得した【エリア開拓】のスキルで作っていた村を別のプレイヤー集団に襲われたって事か?」


「うん…ここは我々の領域(テリトリー)となる。ここを立ち退け、さもなくば貴様らの命はないって言われて…」


何という集団だ。このゲームで死んだら現実世界でも死ぬんだぞ、人の命をなんだと思ってるんだ。


「その集団は何のためにリュウが作った村を奪ったんだ?」


と、俺が聞くとリュウが答えた。


「多分、あの村のすぐそばにダンジョンがあって、そこに武器作成に使えるアイテムがあるからだと思う。あいつらの誰かがそんなこと言ってた気がする」


ここまでのリュウの話を整理するとこうだ。


まず、ゲームが開始して【エリア開拓】(街や村を作成できる)のスキルを習得したリュウは現実世界の友達らと村を作っていたらしい。


デスゲームと化しても村づくりを続けていたリュウたちの前に、8人ほどの男プレイヤー集団に襲撃され、村を渡せと言われたそうだ。


「それで、リュウの友達は大丈夫なのか?」


「うん、多分…唯一武器を持ってた私がおとりになっている間に逃げてくれたはずなんだけど…」


リュウはうつむきながら言った。


「それで、どうしてリュウはダンジョンに?」


「あいつらに肩を斬られて、気絶しちゃったみたいなんだ、それで目が覚めたらダンジョンに放置されて…」


俺は泣きそうになっているリュウの頭を撫でた。


「よく頑張ったな、怖かっただろ」


頭を撫でるという行為は俺自身、幼い頃からよくされてきたものだ。


「さて、リュウの仲間が心配だ。もしかしたら捕らえられているかもしれない。それに、そのプレイヤー集団は絶対に許せない。命の大切さを教えてやる」


「行くのか?シオン」


ノブナガが聞いてくる。


「ああ、リュウの友達が心配だ。それに、そいつらは危険なプレイヤーだ。簡単に人の命を奪いかねない」


俺がそう言うとノブナガは笑って言った。


「そうか……ま、俺も行くけどな!当然俺の方がレベルもステータスも高いし、相手も集団だ、友達一人で行かせるわけないだろ?」


俺は確信した。現実世界でも仮想世界でも、持つべきはいい仲間なんだな、と。


「よし、今日はもうくらい。mobにタゲられると厄介だ。明日の朝、夜明けと共に出ようと思うんだがいいか?」


俺がそう言うと、リュウとノブナガが頷いた。


「今日はここで寝泊まりするとするか」


リュウを残して俺とノブナガは部屋を出た。


ノブナガが隣の部屋も取ってくれていたのでそのまま隣の部屋に入る。


メニューウィンドウを開き、全ての装備を解除したところでアバターカードのスキルの部分が点滅していることに気づいた。


俺はそれをタップして、内容を確認する。


そこに書いてあった内容は



ーーーーーーーーーーーーーーーー


スキル習得


【片手剣専用スキル カウンターブレイク】


相手の攻撃を受け、反動を利用し攻撃することにより通常斬撃より威力高


相手の攻撃の威力が高ければ高いほどカウンター時の攻撃力上昇


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


初スキルがようやく出た。


片手剣専用スキルか、さっき[ソードスパイダー]にやったアレがそのままスキルに反映されたのかな


このスキルは対mobでも対人戦闘でも使えそうなスキルだなよしよし


備え付けのベットに横たわって初スキル習得の余韻に浸りながら俺は眠ってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「もうすぐ着くよ!」


「あぁ、分かった」


予定通り早朝に出発した俺たちは、リュウの村を目指して始まりの街を出て南にずっと進んでいた。


草原地帯からやがて森林地帯へと変わり、少し進み、もうすぐ着く、という所でそのプレイヤー集団の一人と思われる男が立っていた。


「悪いな、嬢ちゃん。ここから先は我々の領域(テリトリー)だ。お引き取り頂こう」


「そういうアンタたちこそここから出て行ってもらうか。ここは彼女達の村だ」


俺が言うと男はリュウの存在に気づく


「なっ!?お前生きていたのか!」


「あぁ、お陰様で死にかけたけどね」


「チッ!小癪な、我々は多少の犠牲を出してもこの世界を支配する、いくらかのゲームがデスゲームだとしてもな」


それを聞いて俺の中で何かが切れた。


「下がってろ、リュウ」


俺は短くそう言って鞘から剣を抜いて構えた。


「そうか、引く気はないか。なら仕方ない、少し痛い目を見てもらうぞ。ちなみにこの私はレベル28だ」


「ハンッ!」


「ハッ!」


俺と男の剣が交わり、キィィィンと金属音が鳴り響く。


男はノブナガと同じような大型剣を使っていて、一撃の攻撃力は高い、だからこそ、俺は【カウンターブレイク】の発動タイミングを計っていた。


俺は男の攻撃を難なく交わし続け、挑発した。


「レベル28と言うのはその程度か?いくら数字が大きくても技術がないと意味がないだろ?ゲームっていうのは実力主義の世界だ。大した実力もないくせに支配だのなんだの語ってんじゃねぇ、それに、俺は人の命を軽く見たお前たちを許さない」


「な、舐めるナァァァァッ!」


男は声を荒げて大きく振りかぶってきた。


今だっ!


俺は素早く唱えた


発動(アクティベート)!【カウンターブレイク】」


男の大型剣を受け、その反動を利用して剣を返し、男の腹に剣の腹をぶつけた。


「グハァッ!」


当然斬ったわけではないのでHPバーは僅かに減少しただけだが、戦闘不能にする事が出来た。


「な…何故だ、何故この程度の奴に…」


「なぜお前が俺に勝てないかって?それは、覚悟の差だ。お前はこの世界を甘くみている、この世界はもはや現実そのものなんだ。それをしるべきだ」


俺はそう言いリュウ達の方に向き直った。


「急ごう、リュウの仲間たちが心配だ」


「うん!」


「ああ」


俺たちはリュウの村を目指して再び走り出した


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