002
「ハァァッ!」
「フッ!」
キィィンと剣と剣が交わって、金属音が限りなく広がる草原に鳴り響いた。
このゲームがデスゲームとなって既に3日ほど経過した。
多くのプレイヤーはその事実を受け入れる事が出来ず、絶望し、街に閉じこもっていた。
この世界からの脱出方法を探すため行動に出たプレイヤーはごくわずかだった。
俺も1日は塞ぎ込んでいたが、この事実を受け入れ、このゲームから一日でも早く脱出するため、行動に出ると決めた。
この二日間はノブナガとともに戦闘の特訓をしていた。本当はモンスターとの戦闘をやった方がいいのだろうが、【痛覚設定無効】によって、mobに与えられた痛みがどれほどなのだろうかと考えると、まだ恐怖である。
なので、ひたすらに対人戦闘をしてステータスやレベルを上げていた。
「ふぅ、シオン一旦休憩だ…」
「あぁ、そうだな…」
俺とノブナガは剣を鞘に収めると、草原に寝そべった。
「シオン、レベルの方はどうなった?」
「9だ。ステータスは…あまり変わってないな…」
俺は自分のアバターカードを見てそう答えた。
「そうだな、俺もステータスの方はあまり変わりがない。やはりmobとの戦闘の方がいいのか?」
「そうかもな…そろそろ覚悟を決める時だな…」
俺は身を起こしてそういった。
「行くか?ダンジョンに?」
ノブナガも身を起こして聞いてきた。
俺は腕を組んで考えた。
いつかはやらなければいけいしな、こんなところで怖がってたら男じゃねぇ、それに二日前、決めた筈だ、俺がこのゲームから全プレイヤーを無事に現実世界に帰還させるって!
「よし、行くか!」
しばらく歩いていると、だんだん周りが薄気味悪くなってきた。
「そろそろ近づいてきたな…シオン気をつけろこの辺りからmobが出て来るぞ」
「あぁ、わかった」
俺はそう言うと腰の鞘から剣を抜いた。
俺の剣は片手剣だが、どちらかというと細剣に近しいものだ。始まりの街のNPCの鍛冶屋で購入した初期装備だ。鉄の胸当ても購入し、見事に初期金は尽きた。
しばらく当たりを警戒していると、
「グッ!…」
突如背中に刺されたような痛みが走った。
俺の司会の右上にあるHPバーがわずかに減少していることから、何ものかに寄って攻撃されたと判断した。
「シオン、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。それより…タゲられたな…」
俺たちの視界の上方には、黒い生命体が数匹飛び交っていた。
その生命体は[サイトバット]と表示されている、その名前と見た目からして、コウモリのモンスターだろう。
「シャァァァァ」
そのコウモリのモンスターは俺たちを目掛けて接近してきた。
「フッ!」と、軽くかわし、隙の出来た体に剣を刺した。
そして、[サイトバット]は光と共に消滅した。
「ハァァァッ!」
ノブナガの方も、どうやら片付いたらしい。
この二日間の戦闘訓練も無駄ではなかったようだ。
その後も何度かmobと遭遇したが、難なく倒す事が出来た。
さまざまなモンスターと対峙したことで、ノブナガとの訓練よりもステータスの伸びが良かった。
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shion
Level 12
HP 250/250 MPーーー
STR 58
VIT 38
AGI 75
DEX 15
INT 10
スキルーーーーー
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俺はアバターカードを見て思った。
そろそろスキルと魔法を習得したいなぁ
スキルは特定の条件を達成することにより発生する。魔法の取得条件はまだ分かっていない。
しばらく歩いていると、ダンジョンの入り口に到着した。
「いよいよだな…行くか…」
「あぁ…」
俺とノブナガが中に入ろうとしたその瞬間…
「キャァァッ!」
ダンジョンの中から女性のものと思われる悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ!?」
「中からだ、いくぞ!」
「ああ!」
俺とノブナガは悲鳴の聞こえた場所を目指してダンジョンの中へと急いだ