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音が消えるのは、何もいないから

作者: 小道けいな

 東京の某所、私は地下鉄に乗る。

 そこの地下鉄は普段使うところではない。


 休日、近くであるイベントに参加するために、私は来ていた。


 それは月一であるサークルのようなものである。サークルというよりイベントというのは、主催者は決まっているが、どこで、いつあるかは毎回違うし、来る人も固定されているが、増えたり減ったりするのだ。


 私も増えて固定された一人。


 なお、今回、初めてのところだった。

 とはいえ、秋葉原の近くであり、にぎやかである。


 いや、にぎやかだったというべきだろうか?


 日中は食事処に事欠かなかったが、夕食はファストフードくらいしかなかった。


 私が帰るころには町から人が消えていた。

 休日だからか夜は早く来るようだ。


 皆、JRなどに向かうところ、会場から近い地下鉄の駅を選択した。


 それが最短で帰宅することができ、費用もかわらないからだ。


 駅に到着してふと思った。

 本当にこっちの方は誰もいないな、と。


 階段を下りて、切符売り場に出る。そこで切符を買い、すぐそばの改札に入る。

 きちんと上りか下りか確認した。まあ、地下に下りる際に確認はしていたが、再度しておく。


 かまぼこ型のトンネルの中に、上り下りのホームが側面に沿ってあるタイプだ。

 そのため、反対側だった場合、連絡通路を通らないとならない。


 古く、小さな駅なため、連絡通路はたぶん狭くて、天井が低いだろう。


 普段でもそういうところは少し嫌なのに、このような人が少ない状況で通るのはどこか気味が悪い。いや、むしろ、変な人に遭うという確率は下がるだろう。


 一方で、何か違うものと出会う可能性はあるかもしれない。


 幸い、きちんと私が乗る方向だった。


 ホームに出ると、真ん中には黒い線路が上下分並んでいる。


 私は自分が降りる駅の階段が近いところに移動する。ここの改札は端だから、真ん中の方に行く。


 ホームには私は一人だ。


 人をよけたり、誰と擦れ違うとか、反対側のホームの人が暇そうにしていたりもしない。


 その上、改札にも駅員はいないようだった。


 音がなかった。

 いや、シーンという音が響く。


 私はふと、思った。

 本当に誰もいないのだろうか、と。


 人払いの結界でもあって、私はどこかに紛れ込んだのではないかと非現実的なことを考えてしまう。

 なぜならば、そこが、古い地下鉄であり、駅舎も古いものだったからだ。


 壁には水が這った跡があり、照明も薄暗い。

 トンネルの方に目を向ける。


 正直言って、何か見えたら嫌だと思ってしまう。

 音を探っても、特に何もない。


 シーンという音が返り、何もない。

 動くものは私だけのようだ。


 いくら夜であっても、休日であっても、駅員の気配すらないほど静かなのだろうか?


 私はまた、不安に駆られる。

 そもそも、霊感など私にあるわけがない。


 それでも怖いと思うのは場所がらだろうか?


 ふと、トンネルから音がする。


 地下鉄の車両が近づいてくる音だ。


 それに伴い、空気が押し出されて私に覆いかぶさる。


 反対側のホームを見た。

 誰かがホームに向かってくる音がする。


 それが本当にある音なのか、誰かいるのだろうかと疑問がわいた。

 来る電車も本当に電車なのだろうか、と。



 アナウンスが入った。

 その瞬間、夢は覚めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品の後半の雰囲気は怖かったです。 全体的に文章がバラけた感じで、ちょっぴり読みにくいと感じました。助詞の選択、主語述語、語尾の選択など。読んでいて「?」と引っ掛かる部分がところどころあり…
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