化け猫の手がかり
最近忙しくて、毎日投稿が出来なくなっています…。
本当にすみません!
ー俺達はあるモンスターを追って、森の中を駆けていた。
そのモンスターとは、転がりながら必死に俺達から逃亡を図ろうとしているハリネズミ型のモンスター…《ロールオーバーヘッジホッグ》。
「何だ、ハリネズミって転がるのが普通なのか?」
「ん? アルトの世界でもハリネズミは転がるのか?」
「…嫌、何でもない」
だが、ここままでは一向に追いつけない…。だったら…!
「エルスカーネ!」
俺達の後方からエルスカーネが跳躍して飛び越え、《ロールオーバーヘッジホッグ》の前に立ち塞がり、盾を構えた。
「止まって下さい! 《シールドストップ》!」
防ぐのではなく、相手の動きを止めるエネルギー状の盾を召喚するエルスカーネ。
《ロールオーバーヘッジホッグ》は急停止する事が出来ず、エネルギー状の盾に激突し、後方へ軽く吹き飛び、転がりが解除される。
「アイム!」
「うん…!」
その隙を俺とアイムは見逃さず、エンゼッターと剣で尻餅をついた《ロールオーバーヘッジホッグ》を斬り裂いた。
斬り裂かれた事で《ロールオーバーヘッジホッグは》絶命する。そんな奴に俺は技能複写を使った。
〈特殊技能《球体》 《刺化》を獲得〉
〈技能《オーバーロール》を獲得〉
《球体》…? 成る程、ボールに覆われる能力か。
これは一緒に手に入れた《刺化》と組み合わせて、ハリセンボンが出来るな。…ウニの方が妥当か?
《オーバーロール》…? そのままの意味だと転がるのだと思うが…《球体》を使わずに使用出来るのか?
「《オーバーロール》!」
技能を発動すると、俺の身体は勝手に前のめりに飛び…そのまま勢い良く前転を始めた。
って、ちょっと待て…⁉︎
「って…おあああああっ⁉︎」
「ア、アルト様⁉︎」
「何やってんだよ、お前⁉︎」
メリル達に技能を試す為に使う事を言っていなかったので、彼女達は俺の行動に戸惑った。
あ、ヤバい酔ってきた…! ってか、止められねえ⁉︎
「み、みんな頼む! 助けてくれ! 止まらねえんだよ!」
「自分で発動した技能なのにですか⁉︎」
「全くもう…エルスカーネ、お願い」
「はい!」
アイムの指示に従い、エルスカーネは少し前に出る。
「《シールドブーメラン》!」
盾をブーメランの様に投げ、盾は転がる俺の目の前まで飛ぶ。
「《シールドフクセイシャン》!」
投げた盾を俺の前方に固定し、それで俺の進行を防いだ。盾に激突した俺の動きが止まった…。
「た、助かったぜ。エルスカーネ…」
目を回しながら、エルスカーネに感謝の言葉を口にする。
こ、これは慣れるまでに時間がかかりそうだな…。
「アルト様…手に入れた技能をお試しになるのは構いませんが、一言言ってから行ってください! 見ているこちらがヒヤッとします!」
「わ、悪い…」
エルスカーネに注意され、返す言葉がなく、ショボン、とする俺…。
確かに次からは伝えてからにしよう…。
その後、俺達は城下町へと戻り、昼食を取っていた。
あの洞窟での一件以来、エルスカーネは自信を付けたのか、ドンドンレベルが上がり、俺達とさほど変わらない程にまで来ていた。
ちなみに俺を含めたみんなのレベルは40台だ。
「にしても、あれだけビクビクしていたエルスカーネちゃんが数日で立派になったものだな」
「皆さんがレベル上げにご協力してくれたからですよ!」
「姉として鼻が高い」
「いつ、エルスカーネの姉貴になったんだよ、お前は…」
最近、エルスカーネの姉と自称し始めたアイムに呆れ、溜息を吐く。
「これで私も安心して、後方支援が出来ますね!」
「そうだな。メリルには後方からの攻撃、及び支援に徹してもらう事が出来る」
いつもメリルにも盾役としてやってもらっていたが、エルスカーネによって役割分担が容易になった。
「…アルトさん」
「ん? どうした、ルル?」
今まで口を開かなかったルルが突然話し出した。その表情は何故か呆れている。
「私達がこの国に来た目的…忘れていませんか?」
「…あ」
そ、そうだった! 俺達は化け猫の情報を得る為に来たんだった!
…ここ最近、エルスカーネのレベル上げに必死ですっかり忘れていたぜ…。
「悪い、忘れていた」
「でも、そろそろそっちに集中してもいいんじゃねえか? エルスカーネちゃんも頼りになってきたし」
「そうですね。早速昼食後、情報収集を再開しましょう」
「ああ。…ん? アルシエルさん…?」
コンディションブレスにアルシエルさんからメールが入ってきたのを確認し、俺は開いた。
メールの内容はこうだ。『忙しい時にすまねえな、坊主。お前等が探している化け猫について、知っている男が来たから待ってもらってる。可能なら、来てくれ。』…だった。
「化け猫について知っている男の人…?」
「こりゃあ、有益な情報を手に入れるチャンスじゃねえか⁉︎」
「行ってみる価値はあるわね、マスター」
化け猫について知っている男…。その情報にメリル、マギウス、アイムが釘付けとなり、装備屋へ行こうと言い出す。
罠の可能性…。アルシエルさんは白だが、その男が怪しいに越した事はない。
…だが、情報がない今、この手に乗るしか方法はない。
「仕方ねえ。今は行くしかないな…」
俺達は警戒しつつもアルシエルさんの装備屋へ訪れた…。
「おう、来たか。坊主達!」
笑顔で俺達を出迎えてくれたアルシエルさんに俺は早速例の件を尋ねてみた。
「アルシエルさん、化け猫について知っているという人は何処に?」
「あぁ、その人ならここに…」
アルシエルさんの言葉に反応するかの様にシルクハットを被った男の人が店の奥から現れた。
「どうも始めまして…私はガラン・リーガルと申します。あなた方が化け猫について知りたいという方々なのですね?」
「はい。俺は麻生 アルトと言います。…それでガランさん。化け猫についての情報とは?」
「そうですな。…実は私…見たのです。街の近くの森林で…化け猫と話す人間を…」
「やはり、アルシエルさんの情報は本当だったのですね⁉︎」
「嫌、信じてなかったのか嬢ちゃん…」
バカしてるメリルは放って置いて…。
「それで…その人間の姿は見たのですが?」
「いいえ…実は木の茎に阻まれて顔や姿までは…しかし、声は男のモノでした。会話も聞き取れず、気がついたら二人の姿は消えていました」
…森林か。
調べてみる必要があるな。
「その森林の場所わかる?」
「そうですね…」
アルシエルさんが取り出した地図にガランさんは指でトントン、と指した。
「此処です! この森林の中心部分で見つけました!」
この場所なら、今日にでも行けるな…。
「わかりました。情報提供ありがとうございました」
「だが、気を付けろよ坊主。この森林には凶暴なモンスターが結構いるぞ」
「…だったら、ルル。お前は此処にいてくれ」
「了解しました。皆さん、お気をつけて!」
俺達は装備屋を後にし、街の近くの森林へ向かった…。
だが、この時…ガランさんが不敵な笑みを浮かべている事に俺達は気がつかなかった…。
森林に着いた俺達は早速中にへと足を踏み込む。
森林の中に入ると早速、モンスター達に襲われたので返り討ちにする。
「アルシエルさんの言う通り、確かに強敵なモンスターばかりだな」
襲い掛かってくるモンスター達を殴り倒し、呆れる様に息を吐くマギウス。
「長居は出来ないな…。早く、森林の中心へ行くぞ」
その後も俺達は襲い掛かってくるモンスター達を蹴散らし、遂に森林の中心にへとたどり着いた。
「此処がガランさんがおっしゃっていた森林の中心ですね」
「…何もいないな」
辺りを見渡すが、人の姿や化け猫らしき姿も見えない…。
待つ必要があるか…?
「…」
そう言えば、森林に入った頃からエルスカーネの様子がおかしい…。時折、俯いている。
「エルスカーネ…どうかした?」
「い、いえ! 何でもありません!」
そんな彼女を心配してか、アイムが小首を傾げ、尋ねるが慌てた様に手を振るエルスカーネ。
彼女の不自然な動きに俺は眉を動かすが、再び、周囲を見渡した。
すると、遠くから複数のブーン、という音が聞こえてくる。
警戒しつつ、遠くに目を凝らすとそこには人間の頭サイズある蜂が複数こちらに向かって来ていた。
《ポイズンビー》…。猛毒針を持つ強力なモンスター。近づかれると厄介な相手だ。
「強力な猛毒を持つモンスターです!」
「近づけさせなければいいんだろう? 《エレキガン》!」
襲いくる複数の《ポイズンビー》にマギウスは《エレキガン》で打ち落としていく。
「はっ!」
「《ウインドカッター》!」
「《シールドブーメラン》!」
マギウスに続き、アイムは機関銃、メリルは《ウインドカッター》、エルスカーネは《シールドブーメラン》でそれぞれ倒していく。
彼等の攻撃を受け、《ポイズンビー》の数も残り僅かとなる。
「これで決めるぞ…! 《サンダーボルト》!」
俺の《サンダーボルト》を受け、残りの《ポイズンビー》も消滅し、奴等は全滅した…。
「ふう、勝てないワケじゃねえが此処まで来られるとキリがないぞ」
「捜索はまた後日としませんか?」
確かにみんな襲いくるモンスターを相手にして、疲労感を出している…。
「そうだな…一度、戻って…ッ⁉︎ エルスカーネ!」
俺は何かが放たれた事を感じ取り、近くにいたエルスカーネを突き飛ばすと俺、メリル、アイム、マギウスを取り囲む様に電気の檻が構成された。
「皆さん⁉︎」
「な、何だこれ…⁉︎」
俺が突き飛ばしたおかげで何とか檻の外に逃れたエルスカーネは囚われた俺達を見て、目を見開く。
「おやおや、いい反射神経をしていますね、お客様」
聞いた事のある腹が立つ声…。まさか…!
「奴隷の館の…!」
そう、奴隷の館の店主と奴の部下数人が歩いて来た。
店主は電気の檻に囚われた俺達を見て、ニヤリ、と笑った…。




