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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第七章 コルドブーム編
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コルドブームへ


 《ボーンアンデット》討伐クエストを終わらせた俺達はクエスト達成報告を終え、ギルドホームに戻り、そのまま就寝についた。



 ーーそして、翌日…。


 通信紙が配達され、それを受け取った俺は昨日の化け猫について何か、情報が載っていないかと読んだが、全くと言って載っていなかった。


「…化け猫…ですか?」


 朝食を取りつつ、唯一事情を知らないルルに昨日の出来事を話すと彼女は首を傾げた。


「あぁ、まさか噂の化け猫と遭遇するなんて、思ってもみなかったぜ」


「それに強かった。私もマギウスお兄ちゃんもメリルお姉ちゃんも戦闘不能になった」


「…アルトさんがいなかったらと思うと…ゾッとします…」


 一度敗北を経験しているメリル、アイムマギウスは化け猫の強さを思い出す。正直俺も勝利したとは言えない。

 あのまま奴が苦しまなければ、俺も確実に敗北していたのは間違いはない。


「やっぱり、俺達はまだ強くなる必要がある。…今日はレベル上げにでもいくか」


「そうですね。最近はクエストや依頼などで全然レベル上げをしていませんし」


 朝食を取り終えた俺達はそれぞれ支度し、近場の狩場へ向かおうとする…だが、そこへ…。


「アルト君!」


 数人の兵士を引き連れ、ギル隊長が俺達の前に現れた。彼は焦った表情で俺たちを見る。

 何かあったのか…?


「ギル隊長…? お久しぶりですね。何かあったんですか?」


「ウィーズ殿が…!」







 その先の言葉を聞いて、俺達は驚愕し、急いで、帝都ガイールへ向かい、医務院の病室へ駆け込んだ…。


「ウィーズ!」


 病室の扉を開くと、そこには体の至る所に包帯が巻かれ、湿布を貼られているウィーズの姿があった。彼は先程まで眠っていたのか、ベッドに座り込んでいた。


「…アルト…」


 俺の姿を見て、少し笑顔を作るウィーズだが、その表情は暗い…。

 彼に歩み寄った俺は何があったのかを尋ねる。ギル隊長からは、ウィーズが大怪我を負ったとしか聞いていなかったからだ。


「…帝都ガイール周辺を偵察していると…噂の化け猫に遭遇したんだ」


 化け猫だと…⁉︎


「討伐の為に動き出した私達だったが…奴の圧倒的な力に私の除く部下達は…殺害された」


「そ、そんな…!」


 それが、ウィーズの表情が暗い理由か…。確かに目の前で部下を殺されて、自分だけが生き残ってしまった彼の気持ちもわかる…。

 大切な部下を守れなかった悔しさが…。


「…私が弱いばかりに…大切な部下を失った…。騎士隊長失格だな」


「ウィーズ…」


 俯く彼にかける言葉が見当たらず、沈黙が流れてしまう。


「ウィーズ、化け猫の見た目は?」


「見た目の色は夜の暗闇でよくわからなかったが…確かに私達が遭遇したのは噂の化け猫だった」


 その場に居合わせたヴェイグが彼に尋ねると見たままの事をウィーズは答えた。


「…実は昨日の夜、俺達もその化け猫と対峙した」


 俺達も化け猫に出会ったと知り、ヴェイグ達は驚愕の表情を浮かべる。

 この短時間で立て続けに被害者が続出している…。それも奴が広範囲に活動を開始したという事だろう。


「君達も逢っていたのか⁉︎」


「…俺達も後一歩の所で全滅に遭っていたかも知れない。…実際、メリルとアイム、マギウスが戦闘不能になっていた状態だったからな」


「よく無事だったね」


「…」


 無事…確かに無事だった。嫌、助けられたと言ってもいい…。


 あの時、アイツが苦しまなければ、俺は殺されていたかも知れない…。そして、アイム達も…。


「…兎に角、ここまで被害が広がっているんだ。何か手を打たねばならんな」


 今まで黙って話を聞いていたルーク隊長が口を開いた。

 彼の言う通り、出没していた地帯から更に距離のあるこの辺りに出現したとなると、被害がさらに出るのは明確だ。…何かの手は確実に打たなければならないだろう。


「…やっぱり、初めてあの化け猫が出現した一帯を調べた方がいいんじゃねえか?」


 マギウスの提案に俺達の視線は一斉に彼に向かう。

 当の彼はえ? と俺達を見渡す。


「俺…何か変な事言ったか?」


「…言われてみれば、初めて出没した場所を調べた方が何か見つかるかも知れませんね」


「…どうして、そこに気がつかなかったのでしょう…?」


「まさか、マギウスに指摘されちまうとは…」


「お前等、何なんだよ⁉︎」


 ルル、アイム、俺の順に言葉を発するとマギウスはツッコミを入れる。


「…マギウスお兄ちゃんの癖に生意気…」


「アイムちゃん⁉︎」


 そんな俺達のやり取りにウィーズはクスリ、と笑う。…どうやら、元気が出たようだな。


「ヴェイグ、化け猫が初めて現れた場所の近くに街や村とかあるか?」


「…実は、その事なんだが…」


 コンディションブレスを操作し、ヴェイグはある情報を俺のコンディションブレスに送ってくる。

 送られてきた情報を確認すると、俺は眉をしかめる。


「コルドブーム…。山脈の向こうにある小さな国だ。ガイールとは過去に同盟関係にあったのだが…」


魔虎牙(まこうが)軍の登場により、奴等の土地となってしまったコルドブームはガイールと敵対関係となってしまった」


 …成る程。それが聖凰騎士団と魔虎牙(まこうが)軍の争っている理由の一つか…。

 …だが、待て…?


「待ってくれ。…軍の奴等は基本的な拠点を持っていないんじゃなかったのか?」


「…それはあくまでの噂だ。…基本的の拠点はコルドブームだ」


 敢えて、嘘の噂を流して、こちらの目を欺いていたってワケか。


「じゃあ、化け猫は軍の奴等と関わっている可能性があるかも知れないって事だな」


「あぁ。こちらを潰す為の生物兵器を作っているのかも知れない」


 生物兵器…。ただでさえ、〈モンスタードラッグ〉の一件があるのに此処で化け猫か…。問題が山積みで嫌になる。


「化け猫の正体が〈モンスタードラッグ〉でモンスター化した人間だと言う事は考えられないか?」


「確かに、その線も考えられるな」


 マギウスの言葉に俺は頷く。正体が不明な以上、断定する事は出来ないが…。


「それにコルドブームは亜人を奴隷として扱う制度がある様なんだ」


 亜人を奴隷に…だと…⁉︎

 奴隷、と言う言葉にマギウスの目の色が変わり、彼は拳をギュッと握り締めた。


 そんな彼を尻目に俺はある事を決めた。


「…調べるしかないな。…そのコルドブームを…」


 俺の提案にメリル達は目を見開く。おそらく危険だと思い込んでいるのだろう。


「何を言っているのか、分かっているのかい⁉︎」


「先程も話した通り、コルドブームは軍のテリトリーだ。…君がザイールの人間だとバレたら何されるかわかったものじゃないぞ⁉︎」


「そもそも簡単にコルドブーム入られるかどうか…」


 …やはり、検問とかあるのか…。

 くそッ…此処まで来て八方塞がりかよ…!


「アルト君達、五人分なら…何とかなるわよ」


 病室の扉が開かれ、ガルナとカイリが入って来た。


「ガルナさん! カイリさん!」


「お前等…どうして…?」


 何故、彼女達が此処に…?


「ウィーズさんが化け猫に襲われたと聞いて来たけど…まさか、アルト達まで襲われていたなんて…」


「それよりもガルナさん。私達ならば、どうにかなるとはどう言う意味ですか?」


「…言葉通り。私達が貴方達の通行許可証を偽造してあげるわ」


 通行許可証の偽造…。確かにそれなら、怪しまれずにコルドブームに入る事が出来るな。


「…ガルナ、頼めるか?」


「残念。もう発行済みだから」


 え…マジかよ…⁉︎


「アルト君の事なら、お見通しだよ!」


「でも、これは中に入る事が出来るだけ…。危険なのは変わらないわ。気をつけてね」


「…あぁ! ありがとう、二人共!」


 俺が二人にお礼の言葉を言っていると、ヴェイグから溜息が聞こえる。


「…止めた所で君は行くだろう? …無茶だけはしないでくれ」


「わかった。…ウィーズ…。お前の部下の仇は俺が必ず取ってやる…!」


「アルト…! すまない、頼んだよ」


 ウィーズの笑みを確認した俺達はガルナか偽造した通行許可証を受け取り、馬車に乗り込み、コルドブームへ向かった…。


 絶対に突き止めてやる…! ウィーズ達の為にも…!


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