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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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生命ある者達の激闘


親友であるスノウを手にかけ、失った俺の中には悲しみがある。

だが、同時に新たな決意が芽生えた。


「罪だと…? フン、おかしな事を言う…。生きる為には生命を奪うのは当たり前の行為だ。罪など感じる必要はない」


「本当にそうか?」


俺の問いにサシェスは何?、と尋ね返してくる。

それこそが生命を理解していない証拠だ!


「人は食事を取る時…《《いただきます》》と《《ご馳走さま》》…と口にする。それは食事を作ってくれた者に感謝する意味ともう一つ…奪った生命への謝罪という意味も込められていると俺は思っている」


感謝と謝罪…。

対となるその二つの言葉だが、それは同時に思える。


何故なら生命ある者は…感謝と謝罪を経験した事ない者などいないのだから…。


「それが何だ? そんなモノ…ただ貴様が勝手に思っているだけだ」


「確かにそうだ。コレは俺の考えだけに過ぎない。だが、生命の重みは知っている。生命は一つしか存在しない」


「散っていった生命はちっぽけなモノだ。消した所で変わるモノでもない」


「生命に…大きさなんて関係ない!一つ一つが大切な生命なんだ!」


「…先程から訳のわからぬ事を…何が言いたい⁉︎」


いい加減、俺の話に苛立ったのか…サシェスは声を荒げる。

そんな彼に俺は言い放った。


「生命の重みを理解できないお前に…生命を奪う資格はない! 俺はもう迷わない…! お前が罪と向き合わず、生命を奪うと言うのなら…俺がお前を倒す! …散ってはいけない生命を守る為に‼︎」


例えそれでサシェスの生命を奪ったとしても…俺はその罪からも逃げない…!

それが俺の決心した…覚悟だ…!


「…まったくもって理解不能だ。やはり貴様は此処で消すしかないな!」


サシェスは左手にかぎ爪を装着する。

完全に俺の息の根を止める為に…。


「生命の罪を感じていると言うのなら…その醜き罪と共に地獄に落ちろ!」


「…落ちるのはお前だ! 生命を救えないと言う名の不可能…。打開して、可能に変えてやる!」


「ほざけッ!」


かぎ爪を構えて、サシェスが突っ込んでくるのを捉え、エンゼッターで防ぐ。

そして、エンゼッターとかぎ爪を何度もぶつけ合う。


《ファイアスラッシュ》を放つが、奴に避けられる。

俺から距離を取った奴はかぎ爪から斬撃を放つ。


エンゼッターでそれを弾くが奴はククク、と笑い出した。


「ほう、噂通りの強さだな。…ならば…! 《最速》…!」


「ッ…⁉︎」


技能(スキル)名と同時にサシェスの姿が消える。

それには驚き、身構えるが突如、背中を斬りつけられる。


「グッ…⁉︎」


背中を斬りつけられた数秒後、今度は前…右横…背後…。

数秒後おきに斬りつけられ、俺は後方へ飛びながら、《俊足》を発動する。


俺の素早さも上昇し、サシェスのスピードと合わせる事が出来、目にも止まらぬ速さで俺達はエンゼッターとかぎ爪をぶつけ合った。


周りから見れば、姿は見えないが凄まじい速さでガキン!、という金属音が鳴り響き続く。


「《最速》について来られるだと…⁉︎」


「遅いな…。お前よりもっと早い奴を俺は知っているぞ!」


「黙れェッ!」


俺の挑発に乗ったサシェスは叫び、隙の大きい振りを放ってくる。

それは簡単に避け、奴の腹に蹴りをブチ込む。


奴は吹き飛びながら、地面に倒れ、《最速》が解除される。

それと同時に俺も《俊足》を解除する。


「クソォッ…! 何故だ⁉︎ 俺が負ける要素などない! たかが無職(ジョブ無し)如きに…!」


「その慢心が…お前の敗北の決定打になる…。それすら理解できないお前じゃ、俺に届かねえよ…!」


「ウガアアアアアッ‼︎」


怒り狂った様に雄叫びを上げたサシェスは考えも無しに突っ込んできた。

考えのない攻撃は稀に予想外の攻撃を生む…。

だが、奴の場合は別だ…!


怒りに呑まれての攻撃は…読みやすい…!

エンゼッターにエネルギーを纏わせて…俺は奴を迎え撃った…。







ーノームと戦闘を行なっていたキリヤは奴の影による技能(スキル)に苦戦していた。


「ッ…!」


影の動きが予測出来ず、彼は攻撃を受け続けていた。

そして、ついに動きを封じられてしまう。


「ククク…我の技能(スキル)の前では貴様は無力に等しい。貴様は腕を動かす事ももう出来ない」


「…確かに見えなければ対応のしようがない。…そう、見えなければ…な」


ニヤリ、と笑ったキリヤは動けない身体からエネルギーを放出させる。

それにより彼を拘束していた影は消え去る。


「何…⁉︎」


「まだまだ…こんなモンじゃねえよ」


影が打ち破られた事に驚きを隠せないノーム。

そんな奴の反応を見つつ、右手に持つ銃を上空に向け…発砲した。


放たれた銃弾は真っ直ぐ空へと向かい、曇りきった黒き雲を貫く。

すると、雲の中で輝き出し、空を覆っていた雲を消し去り、陽の光が差し込んだ。


それにより…地面にはキリヤ達は建物、植物の影が見える様になる。


「陽の光により影は肉眼で捉えられる様になる。だが、陽の光が遮られれば、影が辺りを覆う。…だからこそ、お前の影による攻撃は捉える事が出来なかったんだよ」


ノームの攻撃のカラクリを淡々と話すキリヤだったが、それを聞いたノームは不敵な笑みを浮かべる。


「ほう…だが、それを理解した所で我の攻撃を防ぐ事は出来ん!」


そう言いながら、ノームは影を操り、影を複数の手に変え、キリヤに襲い掛からせた。

影が見える事で避ける事は出来る…。だが、キリヤは避ける仕草は見せず、その場に立ち尽くしている。


諦めたのか…!

ノームは勝利を確信し、気を軽く緩める。

それが仇となるとも知らずに…。


キリヤに迫った複数の影の腕…それはキリヤの姿が見えなくなるまで彼を覆った。

…しかし、数秒後…複数の影の腕を音を立てて、斬り落とされた…。


影の腕が全て斬り落とされた事でキリヤの姿が露わとなる…。

その彼の表情はしてやったりという表情をしていた。


「なっ…⁉︎何故、影を攻撃できるのだ⁉︎」


そう、物理的に影を触れたり、攻撃したりする事は不可能…。

だが、現にキリヤはそれを可能としている。


「確かにテメェの言う通り、影を触れる事は不可能だ。だが…俺の技能(スキル)には倒した相手を喰らって、相手の技能(スキル)を自身のモノに出来るんでな。…その時手に入れたんだよ…。《影斬り》という技能(スキル)をな」


「《影斬り》だと⁉︎」


「つまりコレでテメェの常識は通用しねえ…。此処からは俺がお前の常識を塗り替えてやるよォッ!」


ビームソードを展開した二丁拳銃をクルクルと、回し、キリヤはノームに急接近する。


負けじとノームは影による攻撃を放つ。

だが、それをキリヤは斬り落としていく。


「無駄だって…言ってんだろォッ!」


迫ってくる影を全て斬り落としながら、彼はノームの目の前まで接近した。


「このォォォォッ‼︎」


目の前まで来たキリヤに恐怖し、錯乱しつつナイフをブンブン、と振り回すノームだが、その様な攻撃にキリヤが当たるはずもなく、ナイフを弾かれてしまう。


ボトッ、とナイフが地面に落ちると同時にキリヤはノームを斬り刻んでいく、

十数の連撃を浴びせた後、彼はノームを蹴り飛ばした。


「さあ…まだまだいくぜェッ!」


完全に戦況がキリヤの方に傾くもキリヤは攻撃の手を緩める事はなかった…。






ー《ギガス》と戦闘中のメリル達も圧倒的に《ギガス》を押していた。


斧による薙ぎ払い攻撃を跳躍で避けたディムガルト、モルター、マスクド・ジェッターはそのまま《ギガス》の胸付近に接近し、それぞれの技を与える為に動き出す。


「《ツインスラッシュ》!」


「《鎌振り》…!」


「《ジェッタァァァ…チョップ》!」


三人の技で体勢が崩れた《ギガス》に今度はウィーズ、ルーク隊長、グレンが接近し、技の体制に入る。


「《スパイラルストラッシュ》!」


「《バスターブレイク》!」


「《灼熱連撃剣》!」


彼等の技が決まっていき、次にアイムとマギウスが動く。


「アイムちゃん!」


「うん…!」


アイムは《ギガス》に向け、《ナックルミサイル》を放ち、マギウスがそれに赤雷を纏わせる。


「「《エレキブラスト》!」」


アイムとマギウスの複合技…《エレキブラスト》が《ギガス》に直撃し、ダメージを与え、奴は蹌踉だす。


「メリル! 決めてくれ!」


「はい!…アナトス…!」


「命令しないで」


息は合っていないが、メリルは《スプラッシュ》、アナトスは《トルネード》をそれぞれ放ち、二つの技能(スキル)は一つとなり、大きな渦潮となる。


「《《スプラッシュトルネード》》!」


メリルとアナトスの複合技スプラッシュトルネードが《ギガス》の身体を貫いた。

奴は雄叫びを上げながら、地面に音を立てて、倒れ、消滅した。


「やった! やりましたよ!」


アナトスにハイタッチを求めようとしたが、面倒くさそうな表情を浮かべるアナトスを見て、メリルは踏み止まる。

そして、先に向かった俺の方を見て、彼女は心の中で呟いた。


「(後はお願いします、アルトさん…!)」







ーかぎ爪で攻撃をしてくるサシェス。

だが、俺はそれを避け続け、カウンターで蹴りを浴びせた。


奴は軽く吹き飛び、地面に転がった。


「…クソッ…! ぬっ…⁉︎」


地面を転がり、何とか立ち上がった奴だったが、《ギガス》が倒された事を感じ取り、驚愕する。


「ば…バカな…⁉︎ 《ギガス》までもが…!」


メリル達…やってくれたみたいだな。

だったら俺も終わらせないとな…!


「どうだ、サシェス? これがお前がちっぽけだと言った奴等の力だ!」


「黙れ! ならば、俺が貴様を殺し…奴等もその後を追わせてやる!」


「させねえよ、そんな事! お前は…此処で止める!」


エンゼッターの剣身にエネルギーを蓄積させ、俺はサシェスに突っ込んだ。

奴の目の前まで突っ込み、エンゼッターを振るう。


だが…。


「甘い…!」


奴のかぎ爪によって、エンゼッターは弾き飛ばされ、俺の手から離れてしまう。

武器を失った俺にニヤリ、と笑みを浮かべたサシェスはかぎ爪で俺を斬り裂こうとした…。


しかし…サシェスの身体に何かが突き刺さる音が聞こえる。


奴はゆっくりと下を見ると…。

そこにはレイピアが突き刺さっていた。


「な…何っ…⁉︎」


レイピアを持つ者…俺、麻生 アルトを見て、サシェスは目を見開く。


「こ、コレは…!」


「そうだ…。お前が素材としか見ていなかった…。スノウのレイピアだ!」


そう、スノウが消滅した時、このレイピアだけは消滅せず、この場に残ってあったので、俺はコレを拾っていたのだ。


「グッ…!」


俺は奴の身体からレイピアを抜き取り、再び構えた。


「今のは俺は大会に参加していたみんなの分…そして…!」


「や、止め…!」


「これが…スノウの分だ!」


「グアアアアッ⁉︎」


レイピアでフラつくサシェスを勢い良く突き飛ばした。

奴の身体は大きく吹き飛び、地面にバウンドして、近くの民家に激突した。


民家が崩れ、サシェスはその下敷きとなってしまった…。


荒げる息を整えながら、俺は手に持つスノウのレイピアに視線を移す。


「コレでいいか? スノウ…」


スノウの魂が篭っているはずのレイピアにそう語りかけ、俺は空を見上げた…。


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